「ねんどろいど」シリーズ1000番記念
展示会レポート 2002年からの歴史を
振り返る

 11月10日まで、秋葉原のアキバCOギャラリーで開催中の「ねんどろいど」シリーズ1000番記念展示会(https://special.goodsmile.info/nendoroid1000event/ )。このイベントは上海やロサンゼルスなどでこれまでも開催されていたものが、いよいよ本拠地と言える秋葉原で開催ということになったものです。
 会場の壁全面、足元近くまでねんどろいどがずらりと1001体並んでいます。
 ねんどろいどは2002年2月にスタート、現在ではフィギュアの1ジャンルというよりも、ねんどろいどだけで1つのジャンルともいえる存在になっています。作品のマルチメディア展開が発表される際に、アニメ化やコミック化などと並んでねんどろいど化が発表されることもありますし、ねんどろいど的なデフォルメ(でもねんどろいどではない)はさまざまな作品で使用されるようになり、海外でも非常に高い人気を得ています。中国ではデフォルメの基本として捉えられているそうですし、アメリカで人気のFUNKOのPOP!も明らかにねんどろいどの影響を受けています。
 そんなねんどろいどをまとめて、しかもその最初からを一挙に見る機会というのはなかなかありません。印刷物等と違って、立体のものはこういった展示の準備も大変で、とてつもない手間がかかるのです。特に可動フィギュアだと事前にパーツやポーズの固定を数カ月がかりでやる必要があることも。
 そんなレアな機会の展示会場から、いくつか見どころとミニ知識をお届けしましょう。
1000番記念なのに1001体? ナンバリング最後尾は1412!?
 今回の展示は1000番記念ですが、会場にあるのは1001体。これは「ねんどろいど ネコアルク 「「換装!ブーブー顔」編」がナンバリングの0番だから。これは06年2月のワンフェス会場で販売され、その2カ月後の06年4月に1番の「ねんどろいど ネコアルク 「換装!謎のジェット飛行」編」が登場しています。
 ねんどろいどには毎月ものすごい数が展開されているので、現在はすでに1200番を突破しています。また、同じ番号のバリエーションも多いので、実際の商品種類はもっとあります。
 なお、現在ねんどろいどのナンバリングで一番数字が大きいものが1412。間がずいぶん飛んでいますが、これは誤植やミスではなく、「怪盗キッド」の代名詞的な数字から。アニメ化の際には「まじっく快斗1412」とタイトルが付いていました。現在のねんどろいどのペースだと、この前後に到達するのもあっという間になりそうですが。
ねんどろいどデフォルメ
 今回のように最初からずらりと並んでいるものを見る機会があると、初期ねんどろいどからの変化を如実に感じられると思います。
 もともとは、デフォルメのプレデターやエイリアンを出していた「ゆるそふび」という別シリーズがあったのですが、それが上手くいかず、ゆるいデフォルメというコンセプトへのリトライとしてスタートしたのがねんどろいどでした。初期はもともとデフォルメのキャラだったり、オフィシャルのデフォルメだったりの立体化が中心。その中でねんどろいどならではのデフォルメとして登場したのが、前回のコラム(https://anime.eiga.com/news/column/figure_trend/109523/ )でも書いたように「ねんどろいど 涼宮ハルヒ」です。
 そして、展示を順番に見ると気づくと思いますが、初期のものの中では「マビノギ」の「ねんどろいど ナオ」がハッキリとねんどろいど的な顔になっています。そして、「ねんどろいど 初音ミク」である意味決定的になります。
 実はこの3体、すべて同じ原型師で、あげたゆきを氏が担当。あげた氏は他にも初期ねんどろいどで数多くの原型を製作している功労者の一人なのです。。もともと1/4スケールなど大きめのフィギュアを数多く手がけてきたあげた氏にとって、こういった頭の大きなデフォルメはやりやすかったそうです。
いろいろなねんどろいど
 特に初期のねんどろいどではかなり変わったものもあります。
 初の実在の人物のねんどろいどだったのがこの「ねんどろいど ジョイまっくす」。アフロヘアを植毛で再現するという、ワンアンドオンリーの存在。
 OVA「やわらか三国志 突き刺せ!! 呂布子ちゃん」のDVDを全巻買うと購入する権利を得ることができた「ねんどろいど 呂布子ちゃん」と、同じく購入するにはOVA「こはるびより」全巻を買う必要がある「ねんどろいど ゆい DVDVer.」。当然出回っている数は少なく、ねんどろいどコレクターをやろうとする時の難関のひとつ。
 巨大な乗用鳥も一緒になった「DOG DAYS」の「ねんどろいど ミルヒオーレ・F・ ビスコッティ」。他にもいろいろパーツが付いて、税抜4286円です。コストが上がった現在では考えられない価格!
 シリーズを眺めていると、誰もが知っているメジャーなキャラもあれば、今となってはこれ誰だっけというキャラも見受けられます。そのあたりをじっくり見るのもオススメです。
ねんどろいどを代表するキャラ、初音ミク、セイバー
 ねんどろいどを代表するキャラと言えば、まずはやはり初音ミク。レーシングミクや雪ミクなど、いろいろ含めていままで60種弱発表されています。。
 初音ミクの人気の広がりにフィギュア、特にねんどろいどが果たした役割は非常に大きく、フィギュアがなければここまで広がらなかったといっても過言ではありません。なかにはミクダヨーのように、ねんどろいどをきっかけにして生まれたキャラがねんどろいど化されるという面白いことも起こっています。
 そして今回記念となる1000番もミク。会場に並んでいるいろいろなミクを探してみてください。
 もう1人のねんどろいどの顔といえる存在が「Fate」シリーズのセイバー。これも何度もねんどろいど化されているのですが、最初のねんどろいどは「Fate/stay night」でのオフィシャルデフォルメデザイン。
 そして、ねんどろいど顔で初登場となったのは「ねんどろいど セイバーライオン」。
 ねんどろいど顔の鎧姿で登場したのは「ねんどろいど セイバー スーパームーバブル・エディション」と結構後になってから。その分、可動など新たな試みが入れられているのですが。
 ミクもセイバーも、まだまだ人気が高いキャラなので、今後どういったものが出るのか、注目したいところです。
世界に広がるねんどろいど
 シリーズ後半になると、あまり聞いたことがないキャラが目に付くようになってきます。それらが、日本ではあまり知られていないものの、海外で人気が高いキャラ。写真はそういったキャラを集めたジオラマです。前述のようにねんどろいどの人気は海外でも非常に高く、海外拠点主導で企画が進められているものもあります。中国での大ヒット作品や、ミクの中国仕様など、いろいろなものが登場するようになっているのです。「オーバーウォッチ」のようにアメリカ市場で特に人気のものも。
 それらのほとんどは一応、日本でも発売されているのですが、日本では発売されていないものもいくつか並んでいます。
 日本でも大人気の「NARUTO ーナルトー」ですが、版権の関係でこれは海外での販売のみ。メインキャラはほとんど揃い、イベント限定版もあったりするのですが……。なお、「NARUTO ーナルトー」のねんどろいど化が発表されたのは、16年7月、ロサンゼルスで開催されたAnime Expo。ちょうどその発表の場にいたのですが、会場で日本での販売はなしでアメリカのみ(正確には中国等でも販売)と発表されたとき、その会場中が“USA、USA”の大合唱になったのが印象的でした(笑)。当初日本では発売されないという情報が伝えられないまま「NARUTO ーナルトー」ねんどろいど化のニュースが日本に広がった時の反響の大きさと、その後の悲嘆の声も……。
 会場には番号順の展示の他に、テーマ別にまとめたジオラマも。今回書いたネタと近いまとめ方をしているもののいろいろあります。持参したねんどろいどを置いて撮れるフォトスポットもあったりします。
 立体は写真ではなくその実物を見ないとその本当のところは見えないのです。また、ここまで揃ったものをじっくりと見る機会はなかなかありません(ワンフェス等での展示だと他にもいろいろあるのでそこまでゆっくりできませんし)。この機会をお見逃しなく!

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