障害者たちと健常者たちが手を取り合
い、イベントを開催。「チャレフェス
文化祭2019 〜未来へ〜」が教えてく
れた、人は誰だって光になれること。

NPO法人「チャレンジド・フェスティバル」が2015年より毎年行っているイベント「チャレフェス」。今年は「チャレフェス文化祭2019 未来へ」と題し、「みんなが太陽」をテーマに、10月18日(金)と19日(土)の2日間に渡りこくみん共済coopホール(全労済ホール)/スペースゼロを舞台に計3公演行われた。
「チャレフェス」とは、 「エンターテインメントの力でみんなが笑顔で暮らせる共生社会を創り、世界平和実現を目的」とするイベント。と書くと難しそうに思えるが、健常者/障害者が共に手を取り合い、”エンターテイメントな表現”を通して一人の人間としての表現の可能性を楽しみながら伝えようという内容。「一人一人が輝く存在になり得れば、その姿を見せることで、触れた人たちにもその輝きを分け与えていける」。その想いを胸に定期的に行っている。
この日のイベントでも、舞台上では健常者と障害者が当たり前に手を取り合いながら”芸術”や”娯楽”を提供していた…と書くのも、正直変な話だ。誰もが一人の人間としての尊厳を大切にしながら、それぞれが自分自身の表現を通して、見る人たちに笑顔や幸せを届けようと舞台に立っていた。たまたまそこへ、身体的な障害を持った人たちもいただけのこと。けっして特別な組み合わせではない。それが我々の日常に当たり前に溶け込んでいる風景であることを、舞台に立つ人たちが一つのSHOWを通して示したことで、その当たり前を改めて感じさせられた。そういう嬉しい機会にもなっていた。
イベントは、司会を担当した車椅子に座ったレゲエシンガーのJAHLIのリードのもと、オープニングアクトとしてSakyや大江貴子、チャレバン、障害を背負ったシンガー曽塚レナさんの雄々しい歌などのライブステージからスタート。
本編は、来賓の方の開会宣言に続き、車椅子のレゲエシンガーJAHLIのハートフルでメッセージ性の強い歌を届けたライブへ。
続いては、担い手が途絶えてしまうことに危惧を覚えたデザイナーのkiwaさんが丹後ちりめんの素材を活かして作りあげた洋服をまとったモデルたちを起用した「丹後ちりめんドレス kiwa ファッションショー」へ。こちらでは、車椅子の姉妹ユニットのSAKURANBOやSAX/TROMBONE奏者などが演奏を彩れば、車椅子ダンサーあやなななと健常者ダンサーのmomotaroによる息のあったパフォーマンスも織りまぜながら、奏でる楽曲に合わせモデルたちがランウェイを歩くSHOWを披露。こちらにもランウェイを車椅子で歩くモデルも参加。服を着るのに障害は関係ない。むしろ、どれだけ自分を綺麗に輝かせられるかを舞台の上から示していた。
オリジナルミュージカル「Alive2019」では、「みんなが太陽」をキーワードに、健常者たちと重度も含む障害者たちが一緒になり、舞台を形作っていた。劇のテーマに据えていたのが「環境破壊への警鐘」。綺麗な水と空気に囲まれた池で生活の営みを得ていた虫たちが、人間が不法投棄などで次々と池を汚し、虫たちの生活どころか生命をおびやかし出す。そこへ反旗を翻し人間と対峙する虫たちだが…。極々少数だが、池を綺麗にしようという志を持った人間たちが現れた姿を見て、人間にもまだ未来があると虫たちが感じるという、人の心の変化を願う想いを劇として伝えてくれた。たとえ重度の障害があろうと、一緒に舞台の上で自分を主張していけば、大切なキャストとして輝きを放つ。その姿を証明してくれたのも観ていて嬉しかったこと。加えて、障害の有る無しではなく、一人一人が自分の魅力を放つことで誰だって輝く力を持っていることを。その姿を見た人たちにも同じく元気や笑顔が光となって届くことを舞台を彩った役者たちが示せば、それを感じれたのが何よりも嬉しかった。
 「スマイリーサン×チャレフェス×ウエルチャレTV」と題した最後のコーナーでは、SAKURANBOの歌う「真昼の星空」を、重度の障害者たちが一緒に歌へ参加した映像も重ね合わせた「映像×ライブ」という形で披露。重度の障害者たちが歌っていたわけではないが、SAKURANBOの歌に合わせ無邪気な笑顔ではしゃぐ姿を見たときは、こちらまで連られて笑顔になっていた。純粋無垢な、何のわだかまりもない無邪気な人の笑顔は、その笑顔に触れた人たちの心も素直な笑顔にしてくれる。彼ら彼女たちも、同じく光輝く存在である。それを、このコラボレートを通して教えられたし、それを知れたのも嬉しかった。
 健常者たちと障害者たちが共に手を繋ぎエンターテイメントな舞台を作りあげたことで、誰だって自分が輝く存在になれることを、僕らは「チャレフェス」を通し、「チャレフェス」に出演した人たちの輝く姿を通して感じることが出来た。人に気づきを与えるイベントへ触れることで覚えた想い、こういう機会の場に触れる素晴らしさを「チャレフェス」に教えられた。
PHOTO: 藤木美貴子
TEXT:長澤智典
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