清水エイスケ 「Age Factoryは妥当に
わかりやすく良い歳の取り方をしてい
る」――観客を扇動するパワーの根底
にあるものは

前回もインタビューしているが、本当にAge Factoryに関しては何も心配する事はなくて、良い意味でほっといても勝手に売れていくだろうし、絶対に売れなきゃおかしいバンドだと相変わらず思っている。まぁ、売れるというか、絶対に広がる届くというか。絶対に広げて届かせるパワーを彼らは持っているので。楽曲以外の姿勢的な部分で言うと、ボーカルの清水エイスケが当たり前のように持つ自信が最初から大好きで、そこからくる尖がり具合もとても大好きである。人によってはそれを過剰なものと受け止める場合もあるのは理解していたが、現在、今まで以上に、そういった姿勢も自然に受け止められる気がしている。今年の夏、とあるフェスで清水の観客へのMCを聴いた時に、今までと同じ圧なのだが尖がりの中にも温もりが出てきたように感じた。インタビュー内の彼の言葉を借りるなら、扇動。シンプルに扇動が出来ているし、本当の意味での自信を持っているからこそ、そんな感じに威風堂々と振る舞えてるのではないだろうか。今回デジタル配信された3曲ともライブで演奏していたが、今までの曲より明らかに際立っていた。新曲に一番説得力と迫力があるのは理想的な姿だし、観客も新曲を知っている知らない関係なく、その3曲から発せられるパワーをシンプルに真っ直ぐ受け止めていた。そういった変化や、今後のライブやフルアルバムに向けて必要な事も今回のインタビューで聞く事が出来た。是非とも読んで頂きたい。
――2ndフルアルバム『GOLD』をリリースして約1年ですが、この1年はいかがでしたか?
すっげー怒涛というか、思い返しても全体で捉えるよりポイントポイントの記憶ですね。『GOLD』のツアー終わって、今の夏フェスシーズンというか。昔みたいに退屈な時間は無いですね。何も考えなくていい時間は無くなりました。それを望んでいたし、そうやるべきだし。想像通りではありますけどね。ここから、もっとオリジナリティーを世間に伝えないといけないし、この時代に何でロックバンドをやっているかという定義をどう出すかですよね。オリジナリティーな部分は最近ずっと追い求めているし、好きなバンドはそういう部分を持っているんですよ。それで人数を集められるようになったらワクワクさせられますしね。目指すべき形ですよ。でも、日本にはいないかも。だから、そういう意味でAge Factoryが新しいバンドになる。
――日本にはいないオリジナリティーを持ったロックバンドって、どういうものなんですかね?
俺らの世代は最初からネット社会で、海外の文化も早く知れるし感化されているんです。世界にはロック以外に新しい良いものがたくさんあるし、そこに日本のロックバンドとしてコミットして、派生していかないといけない。感銘受けたものとは、一緒にやっていきたい。あと、今はローカルコミュニティーでやってたものから創造性が生まれたり、カリスマ性を持った人が出てくる。日本は一個のルールに乗っていないと、物事が進みにくい。周りから遅れ過ぎてる。例えば工業地帯から出てきたBAD HOPとかのストリートドリームというか、そういう超アンダーグラウンドにヒーロー性を感じる。天空から突然来るものより、ちゃんと最初からのヒストリーを見たい。そうじゃないとリアリティを感じない。そういう意味では、Age Factoryは妥当にわかりやすく良い歳の取り方をしている。
清水エイスケ(Age Factory) 撮影=森好弘
――わかりやすく良い歳の取り方をしているというのは、フェスでの最近のAge Factoryを観て凄く感じましたね。別にフェス大好きという訳でもないけど浮いている訳でもない。しっかり威風堂々としていて、ちゃんと絵になるかっこよさを感じたんです。
フェスに呼ばれる事に関しては俺らの判断が全てだし、行動理由にしっかり意味を持たせないと観てる側は萎えちゃうので。フェスに出るからには、ちゃんとしないと。昔はエネルギーの発生源が怒りだったけど、今は寂しさや虚無感だと思っていて。そこに俺らが出来るアプローチは、扇動するパワーというか、そこは結構意識してますね。
――寂しさや虚無感を持ってる人々を突き放す訳でも寄り添う訳でも無く、扇動する感じは確かに最近のMCでも感じますね。別に優しい口調ではないのに、物凄い大きな温もりを感じたというか。明らかに今までとは変わってきてるなと。
俺が19歳で、2、3個上の奴に何か言われてもと思ってたし。でも、それが25歳の奴に言われると、また違ってくるというか。
――迫力や説得力は変わってきますね。対観客だけでなくて、対バンドへの対応も変化を感じていて。ただただ尖がるだけでもないし、ただただ群れるだけでもなく、いい距離感を持って、いいコミュニケーションを取れてるなと感じてるんですよ。
例えば、音楽が好きじゃなくても人が良かったらいいかなって。もう、そこはどうでもいいですね。バンド主催の地方のフェスでテーマがしっかりしてるものはあるし、そこには地方の人たちもいっぱい来てるし。ただ、俺がやるんやったらもっとこうするというのとかはありますよ。こういうパワーを作り出したいという意味では違ったりしますから。
――『GOLD』のあと、早く新曲を聴きたいとは思っていたけど、1年弱で3曲連続で新曲を聴けるとも思ってなかったので、それは凄く嬉しかったですね。
いつもアルバムを出して、ライブを回って、次にこれをやりたいというのが浮かんできて、曲作りをしてという感じだったんです。ずっとそれでしたね。今回、『GOLD』から次のフェーズに行こうとしている時に、一個のパフォーマンス形態としてライブで『GOLD』の曲をした時に何か足りないと思って。俺たちに欠けてて欲してるのは、これ(今回の3曲)だと。ここまでステップアップ出来たら、次のフルアルバムを楽しみにしたいし、もっとライブを良く出来るのになとは思っていて。それは観てる人たちの熱量もそうだし、自分たちの置かれてる環境もそうだし。
清水エイスケ(Age Factory) 撮影=森好弘
――何となくはわかるのですが、もう少し具体的に足りないものを教えてもらってもいいですか?
何やろな……。ライブでの特別感を全開にしたくて……、足りないというか、もっと出したいと思って。倍増するような感じというか。大勢に聴かせたいというより、それを落とすだけで倍増して変わっちゃうみたいな。
――それを落とすだけで結果、状況が倍増して変わっていき、自然に大勢が聴かざるを得ないような状況になっているという事ですよね。その為の3曲という点では、それぞれタイプが違う強い3曲が揃いましたよね。
「CLOSE EYE」は、わかりやすく言うとニューミクスチャーみたいなイメージで、リリックは現代的というか。「HIGH WAY BEACH」は、ずっと同じリズムをキープしてやっていて、その上で歌詞もばっちしハマりましたね。「nothing anymore」は、MVを観てもらったらこういう風にしたかったというのがわかると思います。1音でブチ上がる沸点は3曲ともあるし、そういう曲をずっと書きたい。
――でも、ここまでの濃さのものを3曲同時期に出すというのは、改めて凄いなと……。
結構、難しかったですよ。全然簡単じゃないし。毎度思うけど自分に課してるハードルが高いんですよ。だからこそ、ちゃんと作らないといけないですし。今回も曲自体は早めに出てたけど、時間がかかったのは歌詞かな。前から3曲とも種は存在していたので。他にも曲はありましたけど、この3曲になって、大体4、5ヶ月で出来ましたね。「HIGH WAY BEACH」は地元の友達と小説を書くみたいな感じで歌詞を書いている時に一気に出来た。前に朝方、友達の家から高速道路が見えた時に、車の音とかが波の音みたいと言っていた事があって、それを友達が覚えていて。​
――あー、そっから「HIGH WAY BEACH」……。
ギリギリ情景が出てくる造語かなって。『AKIRA』みたいな世界観というか。近代的なものから自然を考えるのがリアルだなと思って。
清水エイスケ(Age Factory) 撮影=森好弘
――クレジットは清水君だけですが、前回も話してましたけど、結構地元の友達に相談したりするんですね。
基本、奈良にいる奴らには信頼があるので。めっちゃ煮詰まった時に「こんな曲あるねんな」と携帯で、スタジオのデモ音源を聴かせながら、「テーマ決まらんのよな」とか話す感じですね。
――メンバーには、その時点で相談はしないんですね?
メンバーには最終のAかBかみたいなチョイスを委ねてて、それまでのゼロから作る時にはいて欲しくないかも。どうしても先入観が出ちゃうので。
――奈良で全てが解決できるのは、素敵な事ですよね。
奈良はそんなに自然が無いけど静かなんで、だから奈良にいれる。東京に1週間いたらしんどくなるし、これからも奈良を出る事は無い。関西で頑張ってる人は、みんな関西でいようという感覚を持ち合わせているんですよ。東京なんていつでも行けるから。今はどこからでも全世界に情報を発信できる時代ですから。
――奈良の方が東京より自然はあると思いますけど、近代的なものから自然を考えるというやり方は、東京でも出来ない事はないのかなとも思うんですが、どうですか?
そういう景色は東京でも見えるんでしょうけど、奈良は変に自然のワイルドさが残っているんですよ。そういうのが自分たちのカラーなんじゃないかなとも思いますし。奈良は精神と時の部屋みたいな感じですね。それに自分たち以外、興味ないですし。関西のバンドでは、俺たちだけが面白いですしね。バンドじゃなくトラックメイカーやラッパーは、奈良に面白い奴らがいるんですよ。だから、奈良以外興味ない。I LOVE 奈良ですよ。
清水エイスケ(Age Factory) 撮影=森好弘
――そこまで奈良を愛せてるのは素晴らしい事ですし、それだけ奈良に面白い人材が揃ってるって事ですもんね。
たまたま俺らの周りに新しい考え方を与えてくれる人たちがいるだけですよ。ラッパーの曲の作り方って面白いんですよ。iPhoneでトラックを流して、そこからリリックを書いて、出来たらSound Cloudにドロップするだけ。そういう新しい感覚をくれるんですよ。だって、今、袖で観ててビックリするような事は、バンドには無いですから。トラックメイカーやラッパーといた方がオリジナリティーに繋がりやすいですね。
――トラックメイカーやラッパーと一緒に曲を作るという事も、今後あったりしますか?
そうですね。興味が出た事は、全部やりたい。
――とにかくフルアルバムが楽しみでならないですね。
まだ全然ですけどね。今まで出してきたものの単なるパワーアップにはしたくないし、だからこそ、新しい自分たちを示さないといけないのが難しい……。
――また、オリジナリティーの話に戻ってきますよね。
バンドのライブを観てて鳥肌が立つのは、演奏よりもバンドと客とのバイブスが高まった時なんですよね。そん時にザワザワする。そういう部分が散りばめられた曲を書きたいし、それを踊れる曲と言ってる。
――もちろん、体が踊る的な意味合いでは無くね。
そう、心がブルブルブルする感じ。そういう曲を書きたい。
―とにかく、そういう曲だらけのフルアルバムを心から待っています。
清水エイスケ(Age Factory) 撮影=森好弘
取材・文=鈴木淳史 撮影=森好弘

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