宝塚歌劇月組トップスター・珠城りょ
うがホテルの御曹司役で多彩な表現を
披露するハートフル・ミュージカル『
I AM FROM AUSTRIA−故郷は甘き調べ
−』

宝塚歌劇月組公演の日本オーストリア友好150周年記念UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA−故郷（ふるさと）は甘き調（しら）べ−』が10月4日（金）、兵庫県・宝塚大劇場で開幕した。

■日本オーストリア友好150周年記念UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA−故郷（ふるさと）は甘き調（しら）べ−』
I AM FROM AUSTRIA - The Musical with Songs by Rainhard Fendrich
Music and Lyrics: Rainhard Fendrich
Book: Titus Hoffmann & Christian Struppeck
オリジナル・プロダクション／ウィーン劇場協会
潤色・演出／齋藤 吉正

●迷走するホテルの御曹司とハリウッドの人気女優が出会う

原作は2017年9月に、『エリザベート』や『モーツァルト！』などの名作ミュージカルを発表してきたウィーン劇場協会が、オーストリアを題材に制作・発表し、ロングランヒットを記録した物語。日本とオーストリアの国交樹立150周年を記念して、宝塚歌劇による日本初演が実現した。

日本オーストリア友好150周年記念 UCCミュージカル 『I AM FROM AUSTRIA－故郷（ふるさと）は甘き調（しら）べ－』』より　撮影＝森好弘

ウィーンにある4つ星の老舗ホテル「エードラー」へ、オーストリア出身の人気ハリウッド女優のエマ・カーター（美園さくら）がお忍びで来訪。ところが、従業員の一人がそのことをツイートしてしまったことから、マスコミらが駆けつける大騒動へと発展する。機嫌を損ねるエマだったが、そんな彼女と意気投合するのが、ホテルの御曹司・ジョージ（珠城りょう）。彼は、5つ星獲得を目指して斬新な改革を掲げて経営に参加するが、伝統を重んじる両親たちとは方針がうまく噛み合わず、模索を繰り返していた。一方、エマも成功の道を歩みながら、実は自分を見失っていたのだった。

●珠城りょうが、ポジティブなキャラクターで魅せる

日本オーストリア友好150周年記念 UCCミュージカル 『I AM FROM AUSTRIA－故郷（ふるさと）は甘き調（しら）べ－』』より　撮影＝森好弘

ジョージ役には、月組トップスターの珠城りょう。どんなピンチが訪れてもポジティブさを決して忘れず、またエマが困難に陥ったときには真っ先に手を差し伸べる優しさと男気を持つキャラクターを、味わい深く演じている。そしてエマ役には、月組トップ娘役の美園さくら。ハリウッドで人気の女優らしい気の強さを持っているかと思いきや、実は誰かに支えられなければ前に進めないか弱さなど、多面的な部分を柔軟な芝居でみせている。

日本オーストリア友好150周年記念 UCCミュージカル 『I AM FROM AUSTRIA－故郷（ふるさと）は甘き調（しら）べ－』』より　撮影＝森好弘

オーストリアの国民的シンガーソングライター、ラインハルト・フェンドリッヒが綴った名曲の数々に、月組の面々がコミカルさやダイナミックさをまじえ、バラエティに富んだダンスが繰り広げる。また、オーストリアの美しい街並み、豪華なホテル内、豊かな自然などカラフルなセットがめくるめくように転換していき、物語がスピーディーに展開。

日本オーストリア友好150周年記念 UCCミュージカル 『I AM FROM AUSTRIA－故郷（ふるさと）は甘き調（しら）べ－』』より　撮影＝森好弘

映像演出にも趣向が凝らされているほか、あっと驚く仕掛けも散りばめられ、さらに大物ハリウッドスターなどポップアイコンの名前も続々登場。一方で、「人はルーツを否定できない」というメッセージが込められ、「故郷」や「家族」について想いをめぐらせるような内容となっている。ラストを飾るダンスも、無邪気さ、美しさ、大人っぽさなど様々な面を楽しむことができる。

日本オーストリア友好150周年記念 UCCミュージカル 『I AM FROM AUSTRIA－故郷（ふるさと）は甘き調（しら）べ－』』より　撮影＝森好弘

日本オーストリア友好150周年記念UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷（ふるさと）は甘き調（しら）べ-』は11月11日まで宝塚大劇場にて、東京宝塚劇場では11月29日から12月28日まで開催される。

取材・文＝田辺ユウキ 撮影＝森好弘