TRUE、初のホールライブは大成功「音
楽は続いてゆく」という言葉の重さと
決意を見せた5周年記念ライブ第2弾を
レポート

2014年に「UNISONIA」でデビューしたアニソンシンガー・TRUEの5周年記念ライブ第2弾『TRUE 5th Anniversary Live Sound! vol.2 ~FAN SELECTION~』が8月12日(月・祝)東京・なかのZERO 大ホールにて開催された。2月10日にTSUTAYA O-EASTで行われた第1弾『~SINGLE COLLECTION~』に続いて行われた今回のライブは「FAN SELECTION」。ファン投票をもとにセットリストが組まれるという試みだ。開演前から期待とともにざわついていた会場内も、開演を知らせる音楽が流れると同時に一変。真夏の炎天下にも負けないような熱いライブが始まった。

ステージ上には左からベースとドラムス、キーボードとギターが用意され、バンドメンバー(通称"鶴の音楽隊”)が位置につくと、ステージ中央にある階段から光を背負うようにして現れた人影はもちろんこの日の主役、TRUE。
白と薄いブルーのドレス姿で大きな歓声を浴びてステージに上がると、「A.I.C.O」を壮大なサウンドに合わせて歌い上げる。立て続けにビートの効いた「Story of Lucifer」を披露。続けて「Joy Heart」では、TRUEの「盛り上がっていけますか!?」という声に応えるように、大きなコールや会場全体でのクラップが巻き起こり、軽快な音楽に合わせてタイトル通り楽しさが弾けたような一体感が高まっていく。
TRUEも自身初のホールライブの喜びをかみしめるように、2階席を含めた会場全体に目線を配りながら3曲を歌い終えた。冒頭2曲は4月に公開された本サイトのインタビューでも「なかなか披露することがない」と語っていたレア楽曲という、ファン投票らしい選曲で幕を開けた。
ライブが始まったばかりとは思えないほどの盛り上がりのなか、今回のセットリストについて「たぶん皆さんおひとりおひとりのお気に入りの曲も入ってくるんじゃないかなと思います」と紹介。初めてTRUEのライブを観に来た人にも「知らない曲がたくさん出てくるとは思うんですけど、ぜ~んぜん大丈夫です。皆さんの身も心も私たちにゆだねていただければ、絶対に最後には最高に楽しかったと言わせてみせるので」と、今回のライブに対する自信をうかがわせた。
「次の曲なんですけど、ライブで初めて歌う曲です。楽しんでください『ONENESS』」と、ミディアムテンポの楽曲で再び伸びやかな歌声を響かせる。ミラーボールが下りてきたところで、花火さながらな色とりどりの光りに包まれての「HANABI」。ノリの良いスカナンバー「アイワナビ」でさらに盛り上げると、続けて彼女にとってもひときわ大切な作品だというTVアニメ「響け! ユーフォニアム」のOP主題歌「DREAM SOLISTER」のイントロが流れると客席からは大きな歓声があがる。「みんな一緒に音楽しよう!」というTRUEの声にこたえるようにコールや「ラララ」の大合唱も含めて早くもクライマックスのような盛り上がりを見せた。
「ふたりごと」からバラードタイムへ
TRUEにとって初のホールライブということで、「いよいよこのセリフを言えるときが来ました…」ともったいぶりながら口にしたのは「皆さん、お座りください」という言葉。自身もステージ中央に用意されたカウンターチェアに腰かけて、しっとりとしたバラードタイムに突入した。
茅原実里とのデュエットだった原曲をアレンジした「ふたりごと」を聴かせると、TRUEは茅原への感謝や尊敬の気持ちとともに、2人でこの曲を歌うために「もっと頑張ってみのりんに追い付かねば」と意気込んだ。話題は自然にそんな茅原と一緒に楽曲の制作に携わったTVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のイベントの内容に。7月27日(土)に行われたオーケストラコンサートについて「いろんな思いを重ねていらしてくださった方もいると思います。私たちの音楽に耳を傾けてくださって、本当にどうもありがとうございます。あまり言葉はかわさなかった1日にはなりますけど」と振り返り、音楽で通じ合えた「愛のあふれた時間」だったと語った。さらに、ドイツで行われた上映会イベントでは海外のファンの声援を「日本でも生かしていかなきゃいけないなと」感じたという。そんな話に続けて歌ったのは、同作から「Letter」と「Sincerely」。会場全体を包み込むような、伸びやかで優しいTRUEの熱唱に、客席からはひときわ大きな拍手が贈られた。

拍手が鳴りやんで静まった客席に向けて、TRUEは「バラードが続きましたが、皆さん楽しんでいらっしゃいます?」「盛り上げちゃってもいいですか?」「重い腰はあげられますか?」と語りかけると、“作詞家・唐沢美帆”としての活動のなかで生まれる精神的な葛藤を歌っていくと紹介。スタンドマイクが用意され、紫色のライトに照らされながら披露したアダルティなダンスナンバー「終わりたい世界」、疾走感あふれるロックナンバー「グレースケール」、「分身」と、どれも彼女のアルバムに収録されたタイアップのないオリジナル楽曲。宣言通りに感情をぶつけて歌うTRUEの勢いに負けじと、ファンのボルテージもさらに高まっていた。

疾走感溢れる5曲を立て続けに披露
その後、バンドメンバー紹介を経ていよいよライブもラストスパートへ。「BUTTERFLY EFFECTOR」から「JUMPIN'」「Another colony」「GENESIS CODE」「Divine Spell」と5曲を立て続けに披露。客席のグルーヴが伝わってくるような大きなクラップや、これまでよりさらに大きくなったコールアンドレスポンス、TRUEの振り上げる腕や曲終わりに天を指す動きも1曲ごとに高くなっているように見えるほど、ステージと客席が互いに熱気をぶつけ合い、テンションを高め合いながら、怒涛のように駆け抜けていった。
歌い終えて一息つくと、TRUEが「実は生まれて初めて、歌うのが怖いなと思ったり。それから、自分が思っているより強くない人間だなって初めて気づいたり。ここ最近、すごくいろんな葛藤が自分のなかでありました。でも、それと同時にすごく強くなりたいって思った」と意外な胸中を吐露。ファンやスタッフへの感謝、そしてアニメ作品や楽曲に対して恩返しをしていきたいと語り、「10年、15周年と末永くそばにいてください。ありがとうございました」とさらなる活躍を誓った。「決意と感謝の気持ちを込めて」歌うと語った次の曲は、TVアニメ『転生したらスライムだった件』挿入歌「僕の中の君へ」。まさにMCで語った内容と重なる歌詞を、丁寧に伝えるように歌い上げた。
割れんばかりの拍手の中、TRUEやバンドメンバーが退場すると大きなアンコールが巻き起こった。5分ほど経過し、バンドメンバーがステージに再登場。しばらくすると「Blast!」のイントロに合わせてTRUEが「アンコールありがとうございます!」と駆け足で登場。一気に沸き立つ会場の空気のなか、先ほどまでのドレス姿から、スカーフを縫い付けてアレンジした水色のライブTシャツに、ダメージデニムのショートパンツ、白いスニーカーというカジュアルなスタイルで、「音楽は鳴り止まない 続いてくファンファーレ」と高らかに歌い上げた。
TRUE自身による、ところどころに笑いを交えてのグッズ紹介を挟んで『TRUE Official Fan Club「ことだま結び」』の発足と5周年記念ライブの第3弾『TRUE 5th Anniversary Live Sound! vol.3 ~with Strings~』の開催が発表された。こちらのライブはピアノと弦楽器のカルテット編成となっているということもあり「より濃厚でふくよかな私のボーカルをお届けしたい」と意気込みを語った。喜びに沸くファンを前に、TRUEが「みんな心をひとつに、この曲でお別れしたいなと思います」と呼びかけて始まったのは「カレイドスコープ」。疲れなど知らないかのようないい笑顔で歌うTRUEと、大きな声を出して盛り上がる客席。それを受けてさらにTRUEもテンションが上がったように、曲中に回していたタオルを客席に向かって投げ込んだりイヤモニを外してファンのコールを全身で浴びたりするなど、ファンと一緒にこの空間を楽しんでいる姿が何より印象的だった。最後には、TRUEのライブでの定番となっている「DREAM SOLISTER」の最後の「La La La La La~終わらない音楽は続いてゆく」の部分を伴奏なしでファンとともに歌い、ライブは幕を下ろした。
この日のMCでTRUE自身は多くを語らなかったが、アニメ・アニソンファンであれば「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」について語った言葉や、最後のMCで彼女が明かした不安や葛藤。これらから京都アニメーションで起きた悲しい事件のことを連想した人は少なくなかっただろう。それでも「もっと強く」あろうと決意し、作品や楽曲、そして多くの人に感謝をささげて笑顔で歌いきった彼女のステージは、確実に強さを感じさせるものだった。奇しくもライブの翌日には、高校野球選手権大会で、立命館宇治の吹奏楽部が奏でる「DREAM SOLISTER」が甲子園に鳴り響いた。TRUEが作詞し、歌う「音楽は続いてゆく」という言葉は現実にそうなっていると強く実感されるものだったし、この先10周年、15周年と活動を続ける中で、様々な形で聴く人の感情を動かしてくれるんだろうと確信させられるライブだった。
取材・文:藤村修二

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