ロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエ
ット』主演のマシュー・ボールにイン
タビュー~英国ロイヤル・オペラ・ハ
ウス シネマシーズンにて8月23日公開

麗しき容姿と繊細な感性に満ちた演技力を併せ持つマシュー・ボールは若くして英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル(最高位)に昇格し名門の次代を担う。2019年6月にはロイヤル・バレエのツアー、同7月にはマシュー・ボーンの『白鳥の湖~スワン・レイク~』で来日し日本でも人気急上昇中の“時の人”だ。そのボールが主役のロミオを踊る『ロミオとジュリエット』(振付:ケネス・マクミラン)が、「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2018/19」の一環として2019年8月23日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか、全国公開される。「SPICE」では6月下旬、ボールの来日時に単独インタビューを行い、『ロミオとジュリエット』の魅力や役作り、舞台に賭ける思いを聞いた。
Artist of The Royal Ballet in Romeo and Juliet, The Royal Ballet (c) 2019 ROH. Photograph by Helen Maybanks
――マクミラン版『ロミオとジュリエット』はロイヤル・バレエの十八番です。どこに魅力を感じますか?
ダンサーである前にキャラクターでいられることです。誰もが知る有名な物語ですが、観客にとっても僕らにとっても、それ以上の何かをもたらしてくれます。悲劇でも喜劇でもありますが、役を掘り下げることができるし、キャラクターが第1幕から第3幕までどんどん成長していきます。一人の個としていられること、アーティストとしてクリエイティブでいられることが魅力です。
Romeo and Juliet. Matthew Ball as Romeo, Yasmine Naghdi as Juliet. (c)ROH, 2015. Photographed by Alice Pennefather
――ロミオを踊る時に心がけていることは何ですか?
自然であることを心がけています。パフォーマンスをする時に焦点をあてなければいけない要素もありますが、なるべく心をオープンにして臨んでいます。色々やってみて発見しながら創っていきます。長い時間をかけたリハーサルでより複雑なことをすることによって、皆さんにとっても自分たちにとっても面白く特別なものになることがあるんですね。たとえば若々しく無邪気なロミオを演じるのは凄く楽でしたが、次は彼の感情がどのように変化していくのかを見せることが大事だと思ったし、最後の幕ではそこをきちんと見せたいと意識しました。
――その変化とはどのようなものですか?
まず一番最初の変化はジュリエットと目が合う場面です。ロミオはロザラインと恋に落ちているけれど、ジュリエットを見た瞬間にそのことすら忘れてしまう。そこから、ある意味運命の被害者となり、その状況から抜け出すことができず手を縛られているような状態が続きます。ジュリエットの従兄弟のティボルトを友人のマキューシオのために殺してしまい、彼の中で大きなテンションが生まれ、自分のやっていることと向き合わねばならない。大人にならなければいけないし、生まれ育った街を離れなければならない。ロミオとジュリエットは最終的に死を選びますが、彼らがどれくらい必死で情熱的な中で選んだ選択だったことなのかが重要です。そこで感じる複雑な感情と最初に登場した時のロミオを比べて全く違う描き方を意識しました。
Romeo and Juliet. Matthew Ball as Romeo, Yasmine Naghdi as Juliet. (c)ROH, 2015. Photographed by Alice Pennefather
――ロミオに共感できる部分はどこですか?
ロマンティックで理想主義的なところが僕にもあるかもしれません。彼はドリーマーで希望を持って物を見るところが似ているかもしれないし共感できます。物事が自然に起きていれば全てがパーフェクトに収まるんじゃないかとどこかで希望を持っているところが似ているかもしれません。パフォーマンスに対してもパーフェクトにできるんじゃないかと思ってしまうんだけど、なかなかそうはいかなくて毎回チャレンジです。
Valentino Zucchetti as Mercutio, Matthew Ball as Romeo and James Hay as Benvolio in Romeo and Juliet, The Royal Ballet (c) 2019 ROH. Photograph by Helen Maybanks
ーージュリエット役のヤスミン・ナグディさん(プリンシパル)の印象はいかがですか?
ヤスミンは特別なダンサーです。美しいですしパートナーを組みやすい相手でもあるんですね。作品・役に対する理解もとても深く、お互いベストな信頼関係を築いています。というのも初役同士でデビューすることが多かったので、それを通して舞台上での関係が強いものになっています。お互いに自由に表現できるし、自分の本能を信じて踊ることができるからこそ即興的なことにも反応できるのです。彼女は軽やかさを兼ね備えていて、そこから力みのない表現ができる。ジュリエットという、ロミオよりも年齢の若い役を演じるための重要なポイントだと思うんですね。ダンサーとしての資質のみならずドラマや演劇性を見事に融合させています。
Romeo and Juliet. Matthew Ball as Romeo, Yasmine Naghdi as Juliet. (c) ROH, 2015. Photographed
――「英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマシーズン」は日本でも大人気です。日本の観客に向けて一言お願いします。
応援ありがとうございます。ロミオという役、そして自分自身に誠実に踊れるようにベストを尽くしています。それが伝わり楽しんでいただけるとうれしいです。『ロミオとジュリエット』はロイヤル・バレエにとって大切で、僕自身の心にも近い作品です。皆様もぜひご覧になって、ずっと心に残るような体験をしていただきたいです。
Romeo and Juliet. Matthew Ball as Romeo, Yasmine Naghdi as Juliet. (c)ROH, 2015. Photographed by Alice Pennefather
取材・文=高橋森彦

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