もっと知りたいジャンルのこと【ハウ
ス編】 〜KO KIMURAにインタビュー!

DJ・アーティストに聞くジャンル解説。今回は“ハウス”をピックアップ。

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日本ハウスシーンのパイオニアKO KIMU
RA

DJとしてのキャリアは30年以上。日本のハウスシーンを長年牽引してきたKO KIMURA
そんな彼だからこそわかるハウスの神髄・醍醐味とは?
さらには、ハウスの歴史の中で脈々と受け継がれてきたアンダーグラウンドの魅力とは?

時代とともに変化&進化するハウスについて、KO KIMURAに聞いてみた。

ハウスとは気持ち良さを追求する踊るた
めの音楽

——KO KIMURAさんにとってハウスとは?
KO KIMURA:「電子音楽としてのダンスミュージックの原点だと思いますね。音楽的な定義としては、グルーヴ感のあるBPM125前後の4つ打ちと呼ばれる踊れるビートを持ったものでまさに踊りを覚醒させる感じです。そして、リズムにはちょっと黒い要素を持っているもの。基本的にハウスはリズムが重要だと思います。完全に踊るためだけの音楽なので。しかもリズムには流行があって、ハウスは時代に合わせて常に気持ち良さを追求している。あと、面白いのが人種によっても大きく変わること。黒人と白人、ラテンなどいろいろ違いますよね。そういった振り幅の大きさもハウスの特徴ですね」

——今ハウスが盛り上がっていると言われていますが……、そのあたりどう思いますか?
KO KIMURA:「まず、EDMの延長線上にあるハウスと、アンダーグラウンドなハウス、そこには大きな違いがあって、そこは一緒くたにしてはいけないかなと思います。確かにハウスが盛り上がっている感覚はありますが、前者はこれまでのEDMの反動によるところが大きい。今やフェスもお祭りのようになり、盛り上がることが命題となって、その中で成立していることは素晴らしいと思うし、パーティーの文化としてもアリだと思うんですけど、さすがに“激モリ”もずっと続くと疲れてくるのでそこでハウスというジャンルで少し休みに来たのでははないかって感じですね」

——その2つにはどんな違いがあるんですか?
KO KIMURA:「大きな意味でハウスと言えども、音楽的には全然違います。そして、それが機能する場所も違うし、お客さんの目的意識も変わってくる。楽しむベクトルが全然違うんですよ。音楽を楽しんでいるのか、雰囲気を楽しんでいるのかとか。商業的に作られたものか、ダンスの覚醒と目指して作られたものか? とか」

今のハウスの主流はテックハウス

——なるほど……では、最近のハウスの傾向は?
KO KIMURA:「ハウスはレンジが大きくて、それこそビッグルームやエレクトロ、プレグレッシヴなどいろいろありますけど、僕の中では今はテックハウス的なものが強い印象ですかね。もはやハウスとテクノの境界線がなくなりつつありますし。ただ、ラジオでかかるようなポップライクなボーカルハウスが今の僕の琴線にひっかからないだけ、というのもあるかもしれませんが(笑)」

——テックハウスなんですね。
KO KIMURA:「僕の思うテックハウスは、EDMの人たちが解釈しているものとはちょっと違うかもしれないですけどね。もう少しシンプルというか、グルーヴィーで黒いリズムの影響があるもの。ヨーロッパではそれが主流になっていますよね。ただ、僕はテクノやテックハウスをハウスの雰囲気でかけるように心掛けてます。今のメインストリームで言われるテックハウスはもっとパーティー音楽に特化したものでしょうね」

——テックハウスはヨーロッパが主流のイメージがありますが。
KO KIMURA:「最近はアメリカからもいい作品が生まれていますよ。例えば、シカゴのReliefとかいいですね。テクノとハウスの間をいくような作品が多くて。ハウスっぽいけど、よりグルーヴィーで、ドラッギーなアガり方をする新しい感じがあったり」
——2018年はDavid Guetta(デヴィッド・ゲッタ)もJack Back(ジャック・バック)名義でテックハウスなどをリリースしていました。
KO KIMURA:「あの人はキャリアが長いし、それこそEDMの反動かもしれない。派手な音楽で駆け上がっていくと、いつかアーティストとしてコマーシャルなものばかり作りたくないって思うんじゃないですかね。これまでもそういったアーティストは多かったし。ただ、一方で信念を貫き通すことも大事で、例えばArmin van Buuren(アーミン・ヴァン・ブーレン)なんかはブレずにトランスをやり続けているのはスゴイと思う。自分が好きでコアなこともやっているからアンダーグラウンドになる必要もないし、いいバランスがとれているんですよね」

ディープハウス、プログレッシヴハウス
は今

——テックハウスの他にも、様々なハウスがありますが、例えばディープハウスはどうでしょう?
KO KIMURA:「かつてNYで盛んになりましたが、それもだいぶ落ちて、ヨーロッパで新しいディープハウスが生まれましたよね。たとえば、Dixon(ディクソン)みたいな人が人気になったり。そして、その流れの中で、ここ数年は日本人が30年前に作った曲とかがリヴァイバルしたりしているのは面白いと思います。一方で、(Satoshi)Tomiie君とかもすごくシンプルになって、昔RolandのTR-909やSH-101などで作っていたものをモジュラーシンセとかで再構築していたり。まさかそうなるとはって感じですが、すごく興味深い。ちゃんと新しいハウスっぽい感じがしますしね」

——新しい感じとは?
KO KIMURA:「フィルインの音やディレイの響きみたいな細かい音なんかは、すごく今っぽいんですよ。しっかりと3D感があって、空間に広がる感じに仕上がっている。そういった音はヨーロッパで増えてきていますし、ハウスのアーティストはその方向性に進むか、僕のようにアゲ系が好きな人はテックっぽくなったりしてますね。ただ、僕が思うに日本はアンダーグラウンドとなると極端に深く潜りすぎる傾向があって、メジャーとアンダーグラウンドの中間があまりない。派手か地味か極端になっていて、もう少し中間層があってもいいな〜と思います」

——では、プログレッシヴハウスはどうですか?
KO KIMURA:「これも大きな盛り上がりを見せながらも、2000年代中盤にはアーティストが違う方向に向かいだしました。それこそエレクトロやニュースクールブレイクスとか。その後EDMがブレイクして、近年まではそこにプログレッシヴハウスも含まれていた感じがします。でも、最近また面白くなってきた感じもあって、アーティストが増えましたし、美しいメロディはまた違った魅力がありますし。あとは、テクノの人たちもプログレッシヴハウスの要素を取り入れていたりしていて、新しい流れがありますね」

アンダーグラウンドなハウス&DJの醍醐
味は?

——ハウスDJの間では、以前に比べて何か変化はありましたか?
KO KIMURA:「今の主流として、海外のDJはほぼCDJかTRAKTORを使っています。そして、TRAKTOR使いの人はAデッキにドラムのループ、Bデッキにリズムやベースライン、Cデッキにフレーズ、その他にもSEなどを用意しておいて、それらを組み合わせてオリジナルの曲のようなものをDJの現場でリアルタイムに作っている。これは確実に以前にはなかった手法ですよね。しかも、そこから生まれる音楽も、もはやハウスやテクノなどとカテゴライズできないジャンルレスなサウンドになっている。僕自身、DJブースにはドラムマシンなどを持ち込んでいろいろやってますけど、それが今のDJの面白みであり、日本でももっともっとそういったことをやっていくべきだと思います」

——EDMのアーティストもそんな感じですね。
KO KIMURA:「EDMはより美味しいところ、盛り上がるところに特化して繋いでいますね。特にフェスのメインステージは、確実にキラーチューンを持っている人ばかりで、みんなそれを楽しみにしているけど、アンダーグラウンドなDJはそうじゃない。いかにカッコいい空間を作れるか、カッコいい曲をプレゼンテーションできるかなんですよ」

——KO KIMURAさんにとってアンダーグラウンドの醍醐味とは?
KO KIMURA:「それこそクラブで言えば、ちょっとカッコいい感覚というか、ゾクゾクする空間。その中でハウスは、1曲単位ではなく全体の構成、雰囲気を楽しむものだと思うんですよ。楽曲はあくまで全体の一部、要素に過ぎないので、流れを感じてもらえると嬉しいですね。言い換えるとディナーコースのような感じです。いい料理人が作れば、食前酒から前菜、メイン、デザートまでしっかりとテーマに則ったものが並び、なおかつ知らない料理も美味しく楽しめる。それが本当のアンダーグラウンドのDJだと思いますね」

KO KIMURAが考えるハウスの未来と在り

——ハウスは今後どうなっていくんでしょう?
KO KIMURA:「これまでと変わらないと思いますよ。時代によって変化して、生き残っていく。伝統的なものがある一方で、常に新しいエッセンスも加わっていますし。それにさっきも言いましたが、人種によって、国籍によってハウスの解釈が違う、そういった多様性もあります。あとは、Deep Dish(ディープ・ディッシュ)としてプログレッシヴハウスでグラミー賞をとりながら、今やテクノの人となったDubfire(ダブファイア)のようなハウスからテクノへと移った人もいますけど、彼の中にはハウスの要素が残っていると思うんです。そういったことが今後はもっと増えていくなか自分がどこに立ち位置を設けるか、それが大事だと思いますね」
——立ち位置というのは?
KO KIMURA:「ハウスひとつとってもテックハウス、ディープハウス、プログレッシヴハウス、その他にも最近はフューチャーハウスやベースハウス、トロピカルハウスなんてものもありますよね。もはやハウスではないものもあるような気がしますが(笑)、自分が好きなこと、やりたいことは何かを知ることですね」

——KO KIMURAさん自身は今後どんな活動を?
KO KIMURA:「これまでよりも積極的にアルバムを発表していこうと思っていますが、それも新しい形でやってみたいと思っていて。例えば、去年の年末に『M3』(同人イベント)に出したら意外と面白くて。これまでとは違う方法で、これまでとは違う人にプレゼンして、新しいマーケットを開拓するのもアリかなと思ってます。あとは、かっこいい音楽がかかっていて、そこにいるだけでテンションが上がってちょっとゾクゾクするようなワルな感じ感じもする様な僕が好きなアンダーグラウンドなクラブ空間を作り続けていきたい。僕は飽き症なので、ずっと同じ音楽をかけ続けることができないんですけど、DJをやり続けてきて世界のトップアーティストと交流を持つと彼らも変わらないと思ったんです。みんな同じ場所にはいないんですよ。つまらないと思ったら新しいことを始め、それがいつも示し合わせたかのように偶然同じタイミングだったりする。そして、それがいつの間にか集まって新しいジャンルができて、世界に広がっていくとまた飽きてしまう。そのサイクルにリンクできている限り、僕はDJをやり続けていいのかなって思ってます」

よりクラブを楽しむためには……

——最後に、これからクラブに遊びに行く人にアドバイスをお願いします。
KO KIMURA:「僕は、クラブは二種類あると思っていて、ひとつは音楽メインでその全体の雰囲気を楽しむところ。もうひとつは単に盛り上がって騒ぐところ。その違いに気付いていれば、どんなクラブでもDJは真剣にやっているので、絶対に楽しめると思います。そして、自分が本当は何が好きなのか、アンダーグラウンドな場所も含めいろいろと試してほしいし、もしも飽きてしまったらまた別の場所に行けばいいと思います。あとは、遊びに行くのに年齢は関係ない。何歳になっても新しい音楽は刺激的で、ずっと遊べる場所。クラブは行く場所さえ間違えなければ、確実に楽しめるところだと思いますよ」

【KO KIMURA】
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