【emiko インタビュー】
集まってくださった方々
ひとりひとりに、
きちんと歌を届けたいという
想いは強いと思います
“その先にきっと何かがある”
と信念を持って歌ってきた
この20年間、歌い続けてきたことは容易ではないと想像します。ご自身的にそのモチベーションって何だったのでしょう?
正直言って、時には悩むことや迷うこともありましたけど、そこを乗り越えて継続していく大切さを信じて歌ってきました。“その先にきっと何かがある”と信念を持って歌ってきたというか。そんな中、ライヴを終えたあとに先ほどのような反響や感想をいただくと、“あぁ、やってきて良かった”“間違いじゃなかった”と毎回確信していくんです。その繰り返しですね。あとは、ライヴ、レコーディング、リリースと、新しい目標が出てくるたびにそこに向けて活動してきました。
毎回そこに向けて自身をわくわくさせたり?
そうですね。常に“まだ何か新しいことができるんじゃないか?”とか“まだまだ向上したい!”という気持ちを持って活動しているので、今でも毎週ヴォイストレーニングに通っているんです。そこでも発見や新しい自分との出会いもあったりして、まだまだ完成形も終わりも見えていない感じですね。
歌の表現力の幅も広いですもんね。
その辺りも試行錯誤しながら、ようやく身に付いてきたもののひとつだと思います。歌の伝え方も、最初のうちは声を張り上げて一生懸命歌うことで人に届くと信じていたんですが、それだけでは全てを伝え切ることができないということが徐々に掴めてきました。歌の技術が向上してきたことで、いろいろな伝え方を使い分けることもできるようになって、歌やそこに込めた想いがより伝えられるようになってきたと思います。
逆に、この20年間変わっていないとご自身で感じることは?
歌に対する姿勢ですね。未だにステージに慣れていないというか、毎回本番前は極度に緊張してしまって(笑)。ステージに上がって鍵盤の前に座ってしまえば、スッと落ち着くんですけど。あとは、やはり歌への向き合い方ですね。
話をうかがっていると、かなり真摯に歌に向かっておられますもんね。
やはり歳を重ねてくると喉や声などいろいろなところが衰えてくるので、それをなるべく衰えさせず、いつまでも初々しく瑞々しく、常に向上していきたい。その気持ちは今も変わってないですね。
デビューこそアニソンシンガー的な印象でしたが、徐々に楽曲にも遍歴が見受けられ、今では鍵盤の弾き語りスタイルで、かつ身近で親近感のある歌の内容を1対1で伝えるかのような楽曲に移られているように映ります。ご自身では遍歴を振り返っていかがですか?
デビューの頃の印象で、アニソンシンガー出身みたいなイメージを持たれがちですが、もともとシンガーソングライターではあったんです。ライヴを始めた頃、そこで自分の楽曲がアニメ制作の方に気に入っていただけて、“この曲をアニメのイメージソングに使わせてください”との依頼がきっかけでメジャーデビューが決まって。以降、何曲かアニメのイメージソングや挿入歌として採用していただいたんです。あまり言葉で誰かに何かを伝えるとか、信念を伝えるというのが苦手なので、自分の口からは言えない気持ちや想いを歌詞に乗せて伝えるタイプだと思います。実はそれはデビュー当初から今も変わっていないんです。ただ、成長とともに私の環境も変化してきて、それに伴って目に映るもの、感受するものも変わってきた。それに合わせて自然と伝えたい事柄も変わっていって、今に至る感じなんです。
なるほど。そして、6月30日には東京・下北沢のCom.Cafe 音倉にて久しぶりのライヴも行なわれますね。しかも、デビュー20周年記念ライヴです。
久しぶりのワンマンライヴなので、とても楽しみです。20年間、ここまで歩いて来られたことへの感謝を届けられたら嬉しいですね。お客さんとの距離が近い会場なので、みなさんの顔を観ながら、例えば声を掛けたら返ってくるような、そんなアットホームな感じになると嬉しいですね。ライヴを観に来る感覚というより、私の家に遊びに来ていただいて、ホームパーティーのような雰囲気のライヴを味わってもらうというか。集まってくださった方、ひとりひとりにきちんと歌を届けたいという想いは強いし、会場の隅から隅まで歌を届けるつもりで挑みます。私、目が非常に良いので、後方の客席の方でもしっかりと見えますから(笑)。
当日の内容はどのようなものになりそうですか?
サポートミュージシャンの方にも来ていただく予定です。私の鍵盤の弾き語りと一緒に、ブルースハープ界のパイオニアである松田ari幸一さんと、5年前にリリースした私のアルバム『Honesty』でアレンジを担当してくださった宇戸俊秀さんとともに演奏したいと思います。会場のCom.Cafe 音倉はグランドピアノも常設してある会場なので、宇戸さんにはグランドピアノを弾いていただく予定です。あと、せっかくなのでゲストもお呼びして、その方を交えて何かやろうかなとも考えています。
かなり贅沢な空間になりそうですね。
トークもふんだんに交えたいですね。じっくりじんわりほっこり、そんなライヴにしたいです。帰り道に“あぁ、来て良かった”“明日からまた頑張るぞ!”という気持ちになれるライヴが理想なんです。デビュー当初から私を応援してくださっている方から、最近ファンになってくださった方まで、ぜひここでお会いしたいです。
最後に21年目以降の今後のビジョンや目標をお聞かせください。
今後もこの活動ペースは極端には変わらないとは思います。何かお話があったり声が掛かった時、私なりのフレキシブルさと臨機応変さで対応していきたいなと。とはいえ、これまでやってきたことをぶれずにやり続けて、さらに新しい楽曲も作品としてお届けできるように、これからも頑張っていきます。
取材:池田スカオ和宏