キャストの演技と歌が鼓舞する! 初
の舞台化『「僕のヒーローアカデミア
」The “Ultra” Stage』ゲネプロレ
ポート

2019年4月12日(金)、天王洲 銀河劇場にて『「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage』が開幕し、ゲネプロ公演が行われた。囲み取材には、緑谷出久役の田村心、爆豪勝己役の小林亮太、麗日お茶子役の竹内夢、飯田天哉役の猪野広樹、轟焦凍役の北村諒、オールマイト(マッスルフォーム)役の岩永洋昭、演出家の元吉庸泰が登壇した。
左から:元吉庸泰、猪野広樹、小林亮太、田村心、岩永洋昭、竹内夢、北村諒
原作・堀越耕平による『僕のヒーローアカデミア』は2004年から「週刊少年ジャンプ」にて連載がスタートした、シリーズ累計発行部数2100万部を誇る大人気少年漫画。2016年にはテレビアニメ化され、今秋からは第4期の制作も決定した。2018年には初の映画化を果たし、この冬には最新作の公開を控えている。待望の舞台化となった本作品の脚本を手がけるのは西森英行。演出を元吉庸泰が担当している。さらに音楽を、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』シリーズでおなじみの和田俊輔が担当した。
囲み会見で「見どころじゃないところはない」と断言したのは、オールマイト(マッスルフォーム)役の岩永洋昭。物語の主人公・緑谷出久役を演じる田村心も「2.5次元舞台を代表する作品にする」と意気込んだ。報道陣から「稽古場の雰囲気はいかがでしたか?」と問われると、「そりゃデク(緑谷)が」と真っ先に回答をゆだねたのは、緑谷の幼馴染を演じる爆轟勝己役の小林亮太。田村は一瞬困ったような素ぶりを見せてから、あわてて「すごく良い雰囲気の中、みんなで切磋琢磨してやってこれたかなと思います」とコメント。原作キャラクターの関係性が垣間見えるようなやりとりで場を和ませた。
本作の演出を担当した元吉庸泰は「まず一番に俳優を見ていただきたい」ことをアピールした上で、「我々が我々であるために、自らが世界を鼓舞するような歌」にも注目してほしいとコメント。劇中、たびたび登場する力強い歌の数々は、必見ならぬ必聴だ。最高のヒーローを目指して奮闘するキャストたちのパワーがみなぎる会場より、ゲネプロ公演の模様をお届けしよう。
<STORY>
総人口の約8割が何らかの超常能力"個性"を持って生まれる世界。事故や災害、そして"個性"を悪用する犯罪者・敵(ヴィラン)から、人々と社会を守る職業ヒーローになることを多くの若者が夢見る中、個性が何もない"無個性"で生まれてしまった主人公・緑谷出久(通称「デク」)が、ヒーロー輩出の名門・雄英高校に入学し、一人前のヒーローを目指して成長していく物語。

応援せずにはいられない! 熱のこもったヒーローたちの演技
本舞台は、オールマイトと主人公・デクとの出会いからはじまり、雄英高校の仲間たちとの出会いや敵(ヴィラン)との遭遇など、原作冒頭の見どころを凝縮した内容になっている。「舞台を通して、緑谷や爆豪からみんなが影響を受けるシーンが散りばめられている」と、轟焦凍役の北村諒が会見で話した通り、この2人の物語を軸にして物語が進行していく。
さまざまな試練を乗り越えていく主人公の「デク」こと緑谷出久(田村心)が必死に戦う姿は、自然と背中を押したくなる気持ちにさせられる。囲み会見では笑顔が印象的な田村だったが、舞台上では多彩な表情を見せてくれた。
そんな田村のことを「心くん」と呼び、仲の良さを伺わせていた爆轟役の小林亮太も、劇中では一変。暴言を振りまきながらも、最強のヒーローを一心に目指すキャラクターを熱演した。緑谷とのバトルシーンや、キレのあるダンスも見逃せない。
物語の象徴的キャラクターであるマッスルフォーム姿のオールマイト(岩永洋昭)は、幕が上がった瞬間から圧倒的な存在力を放っていた。時にパワフルな演技でキャスト全員を鼓舞する一方、チャーミングな言動に癒される一面も。トゥルーフォーム姿のオールマイト(林剛史)は、どこか哀愁のある背中をみせることで、マッスルフォームのオールマイトと対照的な雰囲気を醸し出していた。
ロボットのようなキレキレの動きで、会場の笑いを誘っていた飯田天哉(猪野広樹)や、可愛らしい声とポジティブな思考で緑谷に元気を与える麗日お茶子(竹内夢)、クールな態度だが内に秘めた闘志を時折見せる轟焦凍(北村諒)など、主人公と同じくヒーローを目指す仲間たちの演技にも注目したい。
ヒロステを盛り上げる歌と"個性"の表現に注目
本作では、物語の要所要所で登場する歌が重要な要素となっている。「ヒーロー」「敵(ヴィラン)」「オールマイト」など、それぞれのテーマに沿った音楽が盛り込まれることで舞台の世界観がより伝わりやすくなり、まさにヒロステのための歌に仕上がっていた。キャッチーなメロディや分かりやすい歌詞は、つい口ずさみたくなるような曲ばかりだ。
また、"個性"の表現について、演出家の元吉庸泰は「生身の人間がどう表現するかということが一番大事だと思っています」とコメントし、その上で「照明、映像、振り付け、さらに小道具・大道具、役者の動きなどを汲み上げていき、全体的なバランスを調整しながら、一つひとつの個性を表現している」と説明した。テクノロジーを多用せず、アナログ手法を優先した"個性"の表現は、それゆえに俳優の演技が際立つようになる。アンサンブルキャストの手際の良いサポートと、キャストの表情や動きなどから、観客の想像力を膨らませるような"個性"の見せ方は必見だ。 
プロヒーローやヴィランの活躍も見逃せない!
主人公や雄英高校の生徒たち、オールマイトだけでなく、プロヒーローや、"個性"を悪用する犯罪者・敵(ヴィラン)の演技も見逃せない。ボイスヒーローのプレゼント・マイク(岡本悠紀)は、舞台上でも司会進行を務める立ち位置で、各生徒の"個性"の紹介や、物語のあらすじを観客に伝える役目を果たしていた。
抹消ヒーローのイレイザー・ヘッド(瀬戸祐介)は、雄英高校ヒーロー科1年A組の担任教師として生徒を一喝することもあれば、生徒を危険から守るプロヒーローとしての見せ場も作っている。
物語の中盤から登場するヴィランの死柄木弔(雷太)は、異様な外見に加えて、劇中では不気味なダンスも披露していた。
また、麗日お茶子役の竹内夢が「衣装にも注目してほしい」と囲み会見で述べていたように、雄英高校の生徒たちが纏うヒーロー衣装も見どころのひとつ。自己アピールに長けている青山優雅(橋本真一)、鍛え上げた肉体が目を引く切島鋭児郎(田中尚輝)、セクシーな衣装を着こなす八百万百(山﨑紗彩)など、それぞれ特徴的なデザインが際立っていた。
緑谷がオールマイトや仲間と出会い、少しずつ成長していく姿を見届けて、ヒロステの世界にたっぷり浸ったところで幕が下りた。
囲み取材キャストコメント
ーーまずは、公演に対する意気込みをお願いします。
田村心(緑谷出久役):初演ということで、今日がヒロステにとってはじまりの日であり、伝説の日になればいいなと思っております。2.5次元舞台作品はたくさんありますが、ヒロステも2.5次元舞台を代表する作品にします!
小林亮太(爆豪勝己役):約1ヶ月間スタッフさんと共演者全員で、全力で作ってきたつもりです。来てくださった方全員が楽しんで、笑顔で帰ってもらえるような作品になっていると思うので、全力で楽しんでいただければと思います!
竹内夢(麗日お茶子役):長いようであっという間だった稽古期間も終わり、本当にたくさんの人に支えられて、今日という日を迎えることができました。お客さまがどんな反応をしてくださるかは、初日がはじまらないとわからないことも多々あると思うので、今からドキドキしていますし、とても楽しみです! 毎公演、全力で命を注いでお茶子を演じきりたいと思います!
猪野広樹(飯田天哉役):長いようで短い、やることのたくさん詰まった稽古期間で、カンパニーとして出せる「僕のヒーローアカデミア」そして「僕たちのヒーローアカデミア」が出来上がりました。あとはお客さまと一緒に、もう一個上のステージへ、Plus Ultraの精神でやっていきたいと思います。
北村諒(轟焦凍役):怪我なく皆さまにヒーローをお届けできたなと思っております。
岩永洋昭(オールマイト(マッスルフォーム)役):早く皆さまにこの作品をお届けしたくてしょうがありません! すべてにおいてPlus Ultraでいきたいと思います……(沈黙後、声を張って)よろしくね!!!
元吉庸泰(演出):1年以上前からの打ち合わせや試行錯誤を経て、ようやく幕を開けて皆さまにご覧いただけると思うと、本当に光栄です。楽しんでいただければと思います!
ーー続いて、本公演の見どころを教えてください。
元吉:まず一番は俳優を見ていただければということを強く思います。アイディアを出しながら今日まで戦ってきた、誇り高い俳優たちを見ていただけるのが一番かなと。それから本作は劇中に歌がありまして、それは我々が我々であるために、自らが世界を鼓舞するような歌になっています。
田村:それぞれの"個性"をどのようにナマの舞台で表現するのかというところが見どころだと思います。元吉さんをはじめ、僕らキャストやスタッフさん、みんなヒロアカが大好きな人たちなので、稽古期間を通して作り上げたものが、見どころのひとつなのかなと思っております。
小林:出演者が多い作品なので、舞台上のいろんなところに見どころが詰まったシーンがいっぱいあると思います。個人的にはデクとかっちゃんの気持ちについて、稽古中も(緑谷役の)心くんと色々と話しながら作ってきたつもりです。
竹内:衣装ですかね。生地も細かく選んでくださり、細かい部品も再現度が高くなっていると思いますので、ぜひ注目してみてください!
猪野:まず、幕が開いた瞬間に皆さんはヒロアカ・ヒロステの虜になっていると思います。本当にド派手な作品なんですけど、その中でそれぞれの役者が繊細さを忘れず作ってきたので、逆に皆さんに自分たちのお気に入りのシーンを作っていただければなと思います。
北村:オールマイトからはじまって、ヒロアカは緑谷と爆豪を中心に周りが影響を受けて、どんどん巻き込まれていく作品なので、それがヒロステでも見どころになっていると思います。舞台を通して、緑谷と爆豪からみんなが影響を受けるシーンが散りばめられていますので、ぜひそこを見ていただきたいと思います。あとは轟焦凍くんかっこいいなと思うので、よろしくお願いします。
岩永:見どころじゃないところはないですね! なので目を離すことなく、最後まで楽しんでいただける作品であると我々は思っていますので、よろしくお願いします……(沈黙後大声で)Plus Urtla!!!
ーー最後に、観客の皆さまに向けて、メッセージを一言お願いします。
田村:原作の持つ熱さは本当にすごいと思っていて、その力を僕らはお借りして、今日から頑張っていきたいなと思っています。ヒロアカが好きな方も、今日からヒロアカを知った人も、どんな方でも楽しんでいただける作品になっていると思いますので、最後まで応援をよろしくお願いします!
なお、2019年4月29日には大千秋楽公演のライブ・ビューイングが全国の映画館で上映される。さらに翌日4月30日には、キャストと一緒に「ヒロステ」を振り返るトークショー、『「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage』後夜祭が開催されることが決定。平成最後の日を、「ヒロステ」キャストと一緒に楽しんでみてはいかがだろうか。

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