新たな桃太郎伝説の幕開け! 舞台『
桃源郷ラビリンス』ゲネプロレポート

舞台『桃源郷ラビリンス』が4月4日(木)、東京・なかのZERO大ホールにて開幕した。日本のおとぎ話の一つ「桃太郎」を題材にした小説✕舞台✕実写映画のメディアミックスプロジェクトの舞台化作品。ここでは前日に行われたゲネプロの模様をレポートする。
舞台は岡山市街地にある古民家カフェ「桃源郷」。店主・吉備桃太郎(鳥越裕貴)は、本人も半信半疑ではあるが桃太郎の転生体という秘密を抱えている。彼の面倒見の良い人柄に惹かれてか、店にはワケありの人々が集まり――「もしも桃太郎が現代に転生したら」という妄想のもと書かれた岡山ヒロミによる原作小説を基盤に、新たなストーリーが綴られている。
右から吉備桃太郎(鳥越裕貴)、楽々森類(遊馬晃祐)、吉備真備(中村優一)、犬養津与志(杉江大志 )
重厚感あふれるカウンター、和テイストの壁紙、レトロなテーブル席――ステージには趣深い雰囲気のカフェの店内に、登場人物たちが集っている。鳥越演じる桃太郎が登場すると、場は一気ににぎやかに。桃太郎のそばには、もちろんおなじみのお供たちの姿が。“犬”の転生者である犬養津与志(杉江大志)は桃太郎を「師匠」と仰ぐ忠誠心を見せる、天真爛漫なワンコっぷり。大学生で“猿”の転生体・楽々森類(遊馬晃祐)はすっかり常連客となり、飄々とつかみどころのない“雉”の転生者の珠臣樹里(山本一慶)も楽し気にくつろいでいる。
左から楽々森類(遊馬晃祐)、珠臣樹里(山本一慶 )

大和尊(高橋健介)

桃太郎の祖父・吉備真備(中村優一)や坂田銀牙(長江崚行)も加わり、テンポの良い掛け合い会話劇が織りなされ冒頭はほんわかムードが漂う。海外で働く幼馴染の大和尊(高橋健介)とは電話で連絡を取り合いつつ、年に1度は再会する仲だ。桃太郎と仲間たちとの間に漂う、絶対的な信頼感。桃太郎から仲間へ、仲間から桃太郎への会話のあいだに垣間見られる、それぞれの愛情を込めた語り掛けが説得力を持たせている。
浦島雨海(健人)
中央:マーティン・ベアード(仲田博喜)、右上:エイブラハム・D ・ストーカー(金子昇)
前半はコミカルなやり取りが続き客席は笑いに包まれるが、桃源郷へ舞い込んだあるトラブルの解決依頼をきっかけに、徐々に不穏な空気が流れ始める。ある物語に登場する人物の転生体である浦島雨海(健人)の来訪を皮切りに、海外からも異形の存在たちが、岡山に集まる事態に。酒呑童子(川上将大)やマーティン・ベアード(仲田博喜)、エイブラハム・D ・ストーカー(金子昇)らといった謎の存在が続々現れ、物語は一気に加速する。
坂田銀牙(長江崚行)
中央:酒呑童子(川上将大)
舞台を端から端、上から下まで縦横無尽に使用したダイナミックな演出も大きな特徴だ。プロジェクションマッピングを駆使し、ダークな空気感やスピーディーな場面転換に奥行きを持たせている。後半には怒涛のアクションシーンも満載。幼いころに見聞きした昔話『桃太郎』からは想像もつかないほど衝撃的で、演者たちの研ぎ澄まされた気迫には息をのむ。
犬養津与志(杉江大志 )
吉備桃太郎(鳥越裕貴)
岡山を、日本を守るために命を懸ける戦いへ身を投じていく桃太郎たち。「めでたし、めでたし」の一言では終われない、密度の濃い1時間45分をぜひ体感していただきたい。4月7日(日)までの東京公演ののち、4月13日(土)からは物語の舞台であり、“桃太郎伝説”発祥の地としても知られる岡山公演へ。さらに、2019年秋には実写映画の公開も予定されている。新たな桃太郎伝説は、まだまだ続く。
取材・文・撮影=潮田茗

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