【ラックライフ インタビュー】
結成10周年を迎え改めて歌う
“あなたに聴いてほしい”という
切実な想い
バンドをやってこられた
原動力は何だろう?
そもそも、なぜサウンドプロデュースをお願いしようと思ったのですか?
ずっと自分たちだけでやってるんだけど、前々からサウンドプロデューサーを入れてみようかって話はあったんですよね。それをこのタイミングでやってみようかってなって。そしたら“本間さんがいいんじゃないかな?”って事務所の偉い人が本間さんに話して連れて来てくれて(笑)、“元気印のさわやかモードでお願いします!”って伝えました。戻って来たアレンジを聴いた時、これまで自分たちがいかに狭い中でやっていたというか、自分たちの好みだけでやっていたことが分かりましたね。だから、すごく勉強になりました。“これをやっていいんだ。あれもやっていいんだ”って。“これはやっていいのかな?”って思ってたことを“いいんだよ”って言ってもらえた気がしたんですよね。
「走って」に本間さんが加わっているからなのか、それ以外の新曲は自分たちの音だけで勝負しようとしているようにも聴こえますが。
どストレートですよね。でも、そもそもバンドなので、4人の音以外入ってないのが基本じゃないですか。だから、それでいいというか、今回は“この曲、他に何か欲しいな”みたいなのがあんまりなかったです。
リード曲の「走って」やシングルとしてリリースした「シンボル」「リフレイン」といったラックライフらしい曲のみならず、これまでになくエモい「リピート」やゴスペルを思わせるハンドクラップとコーラスを加えた「So Happy Day」のような変化球と言える曲も何曲か混じっていますが、最後にできた曲は?
ラストナンバーの「ソレ」かな。歌詞が最後にできたんですよ。歌い出しの《まだまだやれるぜ 僕らは》って歌詞だけあって、“これ、めっちゃ頑張る曲や。そのテーマで書こう”と決めてはいたんですけど、歌いたいことを「走って」に取られてしまって。「走って」は《走って走って》という歌詞だけあって、“俺はどこに走っていくんだろう?あっ、ライヴハウスや!”と思ってどんどん書き進んでいったんですけど、後回しにした「ソレ」は最後まで悩んでしまって。視点を変えてもっと根っこの話をしてみようと思って、ああだこうだ言われながらもバンドをやってこられた原動力は何だろうなと考えた時、そういうことか!?って気付いたんです。歌詞にもありますけど、世の中には天才たちがたくさんいるわけじゃないですか。そういう人たちが次々と産み出す歌と張り合うんじゃなくて、ほんとに歌いたいことを気持ち良く演奏できる曲が僕らの持ち味、武器なんじゃないかって。そういうことを歌にしようと思ったんです。僕ら自身、音楽に何回も励まされたり、元気をもらったりってことがたくさんあったわけですけど、僕はソレになりたいんですよね。その人にとっての。だから、その“ソレ”なんです。僕らはアーティストじゃない、じゃあ、何なのかって言われても代わりの言葉が見つからないんですけど、“あんたに聴いてほしいんだけど”って感じで音楽をやっているんです、ずっと。誰かを思って作って、誰かに聴いてもらわないと意味がない歌なんです。だから、“曲ができた! 最高だ!”ってなりますけど、その最高と思える曲を届けて、初めて“やったー!!”ってなれる。そういうアホみたいなことを歌っている歌です。
そういう歌詞も含め、この曲、すごく好きです。
結成10周年を迎えた年に出すアルバムの最後を締め括るにはぴったりですよね。「走って」はちょっと余所行きなところもあるけど…。
まぁまぁ、サウンドプロデュースをしてもらったことも含め、新しい面を見せながらですけど、「ソレ」はほんとにね。サビの頭、《バカ正直に思うがまま》ですからね。めっちゃダサいやん!って(笑)。
全然ダサくないですよ。ラックライフらしいと思います。
そうですかね。この曲で締め括りたいと思いながら書きました。サビの《歌うのさ 聞こえるかい》は僕だけが歌うんじゃなくて、ちゃんと4人でやってるぞってアピールをしたかったんで、“みんなで、ここ歌ってもらってもいいですか? できる? いくでー!”って(笑)。そしたら、みんな結構嬉しそうでしたね。
再録音した2曲を入れたのはどんな発想から?
10周年だから特別なこともしたいと思って、もう手に入らない「夕焼け小道」と流通してない「その手とこの手」を入れたんです。「夕焼け小道」は“ラックライフになります”って改名ワンマンライヴを前身バンドでした時に出したデモCDのタイトル曲です。そのデモCDを作っていろいろなところにライヴをやりに行くようになったから、この歌で出会ったバンドとか、ライヴハウスの人とか、お客さんとかが多いこともあって、すごく大切にしながら“この曲を超えなきゃ”とも思ってやってきたんです。そういう意味でも大事な曲。それと一緒に「その手とこの手」を選んだのも、他の曲じゃだめだわっていう。
「その手とこの手」はライヴでも結構やっていますね。
『大阪の北側から。』ってオムニバスを自分らの企画で作ったんですけど、それに入っている曲で、そもそもは仲の良いバンドのヴォーカリストが失踪した時に作ったものなんですよ。だから、ほんとはめちゃめちゃ悲しい別れの歌なんです。最初の何年かはそういう気持ちで歌ってたんですけど、そいつが何年かして帰って来て、また歌い出した時、一緒にステージに立って、この歌を泣きながら歌ったんです。その時、“もうそうやって歌うのはやめよう。帰って来てくれたから、次からは出会いの歌として歌っていこう”と思って生まれ変わったというか、作った時と今、歌っている気持ちが全然違う。そいつが消えた時、人と人ってお互いにつながってたいと思い合わないと、つながっていられないと思ったんです。でも、誰でもそうじゃないですか。例えばYouTubeでたまたまラックライフを観て、“これ、良いやん”って初めて知ったあと、“この間、良かったバンド何だっけ?”って“ラックライフ”って検索したとしたら、2回目からは自分たちで出会いを作っているわけじゃないですか。“それを毎回ちゃんと作っていこうや、この先も”っていうつながりの歌に進化して、今でもライヴの大事な場面で歌っている大切な歌なので、再録するなら「その手とこの手」しかないわなって。
さて、『10th Anniversary Tour “Winding Road”』と題したワンマンツアーが9月22日の渋谷CLUB QUATTROからスタートするわけですが、そのチケットがすでにソールドアウトしたそうで。
嬉しいですね。即完だったんで、イエー!って。ただ、11月28日に追加公演がマイナビBLITZ赤坂であるんで全然浮かれていられない(笑)。
どんなツアーにしたいですか?
正直言って10周年うんぬんよりも、あなたが出会った瞬間から、今、一緒に居られることがスペシャルで。今、一緒に居て、これからの話を一緒にできるから最高なんだよってことだと思うんですよ。だから、マジ、それだけです。今をちゃんと大事にできるライヴをやりたいだけなんで、いつ出会ったかは関係なく、今を一緒にいられることが最高だってハイタッチできるようなライヴにしたいですね。とはいえ、“10周年”と言っているんで懐かしい曲もちょいちょい出しながらできたらいいですね。できたら、その日、その場所のために用意したセットリストで、思い入れのある曲を歌えたらいいな。
取材:山口智男
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アルバム『Dear days』2018年8月22日発売
Lantis
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『10th Anniversary Tour “Winding Road”』
9/22(土) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
10/05(金) 宮城・仙台enn 2nd
10/07(日) 北海道・札幌COLONY
10/13(土) 福岡・FUKUOKA BEAT STATION
10/14(日) 広島・セカンド・クラッチ
10/21(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
10/26(金) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
10/27(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
11/28(水) 東京・マイナビBLITZ赤坂
ラックライフ:2005年、同じ高校のクラスメイトで結成された大阪・北摂出身の4ピースギターロックバンド。前身バンドを経て08年3月にバンド名を現在の“ラックライフ”に改名。大阪、東京を中心に活動を続け、16年3月にはラックライフ8周年記念イベントを大阪なんばHatchにて開催し、800人を動員した。同年5月、シングル「名前を呼ぶよ」でメジャー進出を果たした。ラックライフ オフィシャルHP
アルバム『Dear days』30秒SPOT映像