小山実稚恵が会見 ピアノシリーズ『
ベートーヴェン、そして…』を2019年
から開始

日本を代表するピアニスト小山実稚恵は2006年から12年間・24回にわたってBunkamuraオーチャードホールでリサイタルシリーズ『小山実稚恵の世界』を続け好評を博した。その小山が同ホールで2019年から2021年までの3年間・6回の新シリーズ『ベートーヴェン、そして…』に挑む。制作発表には小山と音楽学者の平野昭が登壇した。
(左から)平野昭、小山実稚恵
小山は「『ベートーヴェン、そして…』というシリーズを2019年から3年間かけて演奏できることを本当に幸せに思います」と話し「大変気持ちを込めてプログラムを作りました。テーマ性があることは必須ですが、予測が付きそうで予測がつかない感じが非常に重要なポイントです。6回のコンサートをベートーヴェンの後期それも作品101以降の作品を中心に組み立てました。何が『そして…』なのだろうかと聴いていただければ大変うれしいです」と抱負を述べた。
小山実稚恵
『ベートーヴェン、そして…』は楽聖ベートーヴェンのピアノ・ソナタを軸に、そこに同時代のシューベルト、ベートーヴェンが影響を受けたといわれるバロック音楽のJ.S.バッハ、古典派のモーツァルトのピアノ曲を織り混ぜる。平野は「考え抜かれて並べられた曲目ですね」とコメント。第1回<敬愛の歌>で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番イ長調作品101と共にシューベルトのピアノ・ソナタ第13番イ長調作品120(D664)と即興曲作品90(D899)、作品142(D935)よりを披露することに対して「シューベルトにはイ長調の作品が結構多いのですが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番は非常にロマン主義的なところへ傾斜していますので、シューベルトの作品を置いて第28番から始めるのは非常に理にかなっています」と解説した。
平野昭
第3回<知情意の奇跡>では、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番ホ長調作品109に加えバッハのゴルトベルク変奏曲ト長調BWV988を演奏する。平野が「ベートーヴェンはハンマークラヴィーア・ソナタ(ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調作品106)を書く前にバッハの平均律の楽譜を引っ張り出しフーガのスケッチを書き写して晩年の作品に反映させますが、その原点となったのがゴルトベルク変奏曲」とフォローしたように後期ベートーヴェンの特徴を捉えた構成だ。
第4回は<本能と熟成>と題され、山田和樹が指揮する横浜シンフォニエッタの管弦楽が入り、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第0番変ホ長調WoO4、ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73「皇帝」他を上演する。ピアノ協奏曲第0番はベートーヴェンが13歳で作曲したもの。平野が「ベートーヴェンのピアノ協奏曲の最初と最後の作品を聴けるのは非常に楽しみ」と期待を寄せたが鬼才・山田との共演は話題となるに違いない。小山は質疑応答時に山田の指揮の印象を問われ「知情意のすべての切れ味が凄いなというのが私の印象です。本能的でいられるけれど知性で切り替えることのできるような」と答えた。
(左から)平野昭、小山実稚恵
2017年秋に『小山実稚恵の世界』を終え「一言では尽くせない色々な経験をし、音楽のすばらしさを感じるに至った12年間だった」と振り返る小山。Bunkamura30周年記念(第1回、第2回)、ベートーヴェン生誕250周年記念(第3回、第4回)の節目を飾る新シリーズでも大きな感動をもたらすだろう。
小山実稚恵
取材・文・撮影:高橋森彦

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