Isolation Berlin / Kicks 怒りにま
かせ、砲弾を蹴り飛ばせ! 走れ!―
―ジャーマン・ポストパンクが炸裂。
そのスネア、衝動的
もっとも、そうした感情をポストパンクの文脈で解釈するならば、それらの矛先は自分自身である。そしてこれを当時(70年代後半から80年代前半まで)の分析としてではなく、現代の問題として考えてみたい。今、鳴らされた音なのだから。
実生活は空白のまま、その表紙や額縁ばかりが虚飾に満ちてゆく――そんな空気感がこの世の中に漂っているように感じられることはないだろうか。そこに芽生える苛立ちというのは実にむなしいもので、まさに時代を象徴するテーマの1つと言える。しかし、憤激の叫びをあげて肺いっぱいの虚無感や無力感を思いっきり吐き出せば、それは多少なりとも世界の見方を変えるはずだ。真に火を点けるべきは自分自身、つまり、“起爆剤(Kicks)”の意義がそこにある。
ちなみに彼らは過去に、ドイツ版Rolling Stone誌の企画にて、Joy Division「Isolation」をドイツ語でカバーしている。コンピレーション・アルバム『Berliner Schule/Protopop』に収録されているので、ぜひこちらもチェックしていただきたい。
Isolation Berlin 『Vergifte Dich』
Label:Staatsakt / Caroline International
Catalog No:LC15105
Tracklist:
1. Serotonin
2. Vergifte dich
3. Wenn ich eins hasse, dann ist das mein Leben
4. Melchiors Traum
5. Vergeben heißt nicht vergessen
6. Marie
7. Antimaterie
8. In deinen Armen
9. Die Leute
10. Kicks
11. Mir träumte
Spincoaster
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