【ライブレポート】氣志團、<20周年
記念ツアー>完遂「30年40年50年でも
、覚めない夢を贈るぜ」

氣志團が2月10日、東京・中野サンプラザにて<氣志團結成20周年記念ツアー 「リーゼント魂」>の追加公演を開催した。同公演は11月9日の千葉・市川市文化会館公演を皮切りに廻った全国ツアーの最終日となるものだ。
結成20周年を記念して氣志團が2017年11月からスタートしさせた全国ツアー<氣志團結成20周年記念ツアー「リーゼント魂」>。その追加公演が2月10日に中野サンプラザで行なわれた。全16公演に及んだツアーの最終GIGということもあり、全国からKISSESが参g戦g。長ラン、リーゼント、特攻服、スケバンのロングスカート姿が中野に大量発生という、ちょっとした異常事態にもなっていた。
直管空ぶかしのごときKISSESの大歓声をかき消すように、星グランマニエ(ランマ / G)のアルペジオが響いた。そこに応援歌に通じる力強いリズムで絡むのは叶 亜樹良(サポートDr)と白鳥松竹梅(マツ / B)。2メートル超えの長身(リーゼント含む)でストロングかつ伸びのあるフレーズを奏でるのは西園寺 瞳(トミー / G)。そして彼らの音を全身で浴びながら、腰を落として応援団演舞を繰り広げる綾小路 翔(翔やん)と早乙女 光(ヒカル)。KISSESもまた同じように振りをしながら氣志團と一体になり、その結びつきは強くなるばかり。
こうして一気に最高潮のテンションと団結力を見せながら、「房総スカイライン・フェントム」からGIGはスタートした。そこから「氣志團がやって来たオラ!オラ!オラ!」に突入するや、その曲名どおり、氣志團はステージのフロントにベタ付きして、歌でもプレイでも煽り立てる。「雷電」では抜群のフォーメーションを激しく見せながら圧倒。さすが、20年で培った力量はハンパじゃない。
「オーラーイ! オゥラァ〜イ!! 帰ってきたぜ、TOKYO! 俺達がオマエらの運命の相手、We are 氣志團です!!」──綾小路 翔
4曲を叩きつけたところで翔やんが、サツアイ(挨拶)をかます。20年続けられたことに感謝しながらも、しかし、次の瞬間には力のみなぎった表情を見せた。
「20年なんて、まだまだガキだろ。これから30年、40年、50年でも、覚めない夢を贈るぜ」──綾小路 翔
ここから先もレッドゾーンに入りっぱなしのフルスロットル。それは氣志團だけじゃなくKISSESも。なにしろ<結成20周年記念ツアー>と銘打っているだけあって、氣志團の歴史を作ってきたキラーチューンの連発である。KISSESからしたら、あの日、あのときの甘酸っぱい思い出もダブる名曲の数々といってもいい。人生経験をかなり重ねたと思われるKISSESも少なくない客席だったが、このときばかりは若さを取り戻し、少年少女に戻っての“わかさ生活”。バンドが長く続くとファンの新陳代謝も自然に起こるが、それも当然のことでありながら、氣志團は年季の入ったファンだって離さない。幅広い年齢層のKISSESが表情を輝かせ続けた。
また通常のGIGではコントのような寸劇でも楽しませる氣志團だが、このツアーではバンドヒストリーを改めて紹介する朗読劇が曲間に繰り広げられた。その朗読を担当するのは、翔やんと地元が同じお笑い芸人のまちゃまちゃ、GIG中にダンサーとしても活躍する微熱DANJIと微熱DANDY。トミーが氣志團に加入した当時を振り返り、「“オマエらバカだから、俺が入ってやろう”と言って西園寺 瞳が加わった」と朗読したが、トミーから「俺が偏差値72あるからって、そんなこと言うわけない」とツッコミが入る場面も。すると、すかさず「言ってるみてーな顔してんだよ、オメーはよ。その唇がよう」とまちゃまちゃ。やっぱりコントっぽくなってしまうのだが、話の中身はほぼ真実だ。
その朗読の内容を受けながら、20年間に作られた149曲の中からKISSESの選ぶ“最もどうでもいい曲”第1位の称号を受けた迷曲「うすぴた」が披露されたり、氣志團の個性のひとつであるランマのスイートな歌声による「オールナイトロング」で酔わせたりと、様々な側面も見せつけていった。そのトドメとなったのはメドレーだろう。
氣志團はキャラクター性も相まって人気を獲得していったが、もともと演奏に長けたバンドである。2017年のフェスでは、共演バンドの楽曲をモチーフにした策士のようなアレンジ力で「One Night Carnival」を決めるという脅威のワザを繰り広げていた。このGIGでは「木更津サリー」に始まって合計9曲を展開させるというメドレー。しかもメンバーのソロパートも盛り込む。ヒカルのソロとなる場面では、翔やんも加わって朗読陣が勝手に合いの手を入れ、懐かしいCMソング“僕のポテトはチンチンチン”に合わせてヒカルもヘンな振りをするという即興ワザ。笑いも含めて氣志團の凄さをこれでもかと見せつけていった。
「氣志團が20歳を迎えたってことで、この中にも新成人はいるのかな? あっ、タメだよ、嬉しいね。ダブル成人式の人は? OK、急に増えだしたよ(笑)。トリプル成人式の人も!? でも、ここにいたなら、全員俺の2コ下だから、OK? 永遠のシックスティーンの2コ下だから、永遠のフォーティーン。中学2年だよ、オマエら、かわいいな」──綾小路 翔
そう言うと、会場からは「中2だっちゅーに!」とレスポンスまで起こる。そして改めて氣志團の結成から現在までを、バイクに例えて語る翔やん。
「自分達でイチから組んだ唯一無二のマシーンが氣志團。20年やってきていろんなことがあったけど、いつもタンクの中に燃料だけは入っていて……。それはここにいるKISSESのおかげ。みんなが俺達の燃料。燃料ある限り、時代遅れのオンボロマシーンだけど、いつまでも突っ走っていくんでヨロシク」──綾小路 翔
こうしてGIGはエンディングへと向かっていった。本編最後の「幸せにしかしねーから」では、途中から客電が明るくなり、氣志團にとっての燃料=愛しいKISSESに誓うように歌いプレイするメンバー。最後の音を決めたときには、GIGの冒頭とは比べものにならないぐらいの歓声と拍手が氣志團を包み込んだ。
しかしGIGは終わらない。このツアーは、最新作『万謡集』を2017年に発表したばかりだというのに、そこからの曲を演奏しないというヘソ曲がりなものにもなっていた。そこで客席から選ばれしKISSESがルーレットを回して、1曲だけプレイする企画が用意されていた。この日、ヒカルの粋な計らいも手伝って、選ばれたKISSESが聴きたがっていた「フォーサイクル」に決定。しかも、このツアー初演奏だという。急に慌てるのはマツである。なにしろ10-FEETのTAKUMAが作詞&作曲したこの曲は、ベースの刻みリフが引っ張っていく疾走ナンバー。指慣らしと深呼吸の後にプレイされた「フォーサイクル」は、21年目やこれから先を景気付けるようなテンションも生み出した。
その勢いのままGIGはラストの「ゆかいな仲間たち」へ。最後の最後には、氣志團のロゴと同じポーズを決めるメンバー。ロゴは黒いシルエット姿だが、今、ステージでポーズを取るメンバーはみんな笑顔、それにピースサインも出している。再び大歓声と拍手が彼らを包む。KISSESからの20年分の感謝と、これからもヨロシクの思いがそこには込められていた。
このGIG終了後、スクリーンで<氣志團万博2018>と、<結成21周年御礼参りツアー「あいにく I・NEED・YOU! おあいにく I・LOVE・YOU!」>の開催決定も告知。今回のツアーで燃料満タンになった氣志團は、さらにフルスロットルにして豪快に突っ走っていくに違いない。
取材・文◎長谷川幸信

撮影◎青木カズロー
■<氣志團結成20周年記念ツアー「リーゼント魂」>追加公演
2018年2月10日(土) @東京・中野サンプラザSETLIST


01.房総スカイライン・ファントム

02.氣志團がやって来たオラ!オラ!オラ!

03.雷電

04.喧嘩上等

05.鉄のハート

06.恋人

07.湾岸夜想曲~ルシファーズ・ハンマー’94

08.勇気

09.D×D×D

10.黒い太陽

11.うすぴた

12.ジゴロ13

13.オールナイトロング

14.~氣志團結成20周年記念 スーパーメドレーショー~

15.One Night Canival

16.スウィンギン・ニッポン

17.愛 羅 武 勇

18.幸せにしかしねーから

encore

en1.フォーサイクル

en2.ゆかいな仲間たち
■<氣志團万博2018>

2018年9月15日(土)

2018年9月16日(日)

▼出演者:氣志團 他

※詳細は後日発表予定

●<氣志團結成21周年御礼参りツアー「あいにいく I・NEED・YOU! おあいにく I・LOVE・YOU!」>

6月02日(土) 郡山・HIP SHOT JAPAN

6月04日(月) 石巻・BLUE RESISTANCE

6月05日(火) 大船渡・KESEN ROCK FREAKS

6月07日(木) 青森・Quarter

6月13日(水) 神戸・THE CHICKEN GEORGE

6月16日(土) 高知・CARAVAN SARY

6月18日(月) 松山・WstudioRED

6月20日(水) 広島・CLUB QUATTRO

6月22日(金) 周南・RISING HALL

6月24日(日) 長崎・DRUM Be-7

6月26日(火) 大分・DRUM Be-0

6月27日(水) 熊本・B.9 V1

6月29日(金) 鹿児島・CAPARVO HALL

7月05日(木) 東京・新宿ReNY

7月09日(月) 水戸・mito LIGHT HOUSE

7月10日(火) 高崎・clubFLEEZ

7月12日(木) 新潟・NIIGATA LOTS

7月15日(日) 金沢・エイトホール

7月17日(火) 岐阜・club-G

7月18日(水) 滋賀・U☆STONE

7月19日(木) 和歌山・SHELTER

7月24日(火) 函館・club COCOA

7月26日(木) 小樽・GOLDSTONE

7月30日(月) 旭川・CASINO DRIVE

8月01日(水) 帯広・MEGA STONE

▼チケット

5,000円ぽっきり(税込) ※別途ドリンク代必要

※未就学児童入場不可 / 整理番号付き

一般発売日:2018年4月21日(土)

http://www.kishidan.com/schedule/index.html

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