【特集】BURNOUT SYNDROMES 石川大裕
、憧れの芸人・磁石と「お笑い」談義

▲左から磁石・佐々木優介、BURNOUT SYNDROMES・石川大裕、磁石・永沢たかし
大阪出身の3ピースバンド・BURNOUT SYNDROMES。同級生である彼らは25歳という若さにしてバンド結成から13年、メジャーデビューシングルと2ndシングルがテレビアニメ『ハイキュー!!』の2期(第2クール)・3期オープニング曲にそれぞれ抜擢され、2月7日発売の3rdシングル「花一匁」はテレビアニメ『銀魂』銀ノ魂篇のエンディング曲としてオンエア中と、着々とキャリアを重ねている。
楽曲の良さはもちろんだが、彼らの魅力はライブにもある。何より新鮮でおもしろいのは、石川大裕(B&Cho)の役割だ。前説を自ら担当し、ライブ中にはヘッドセットマイクをつけてMCを行なう。また、ライブのエンディングで流れた映像のスタッフロールを見ると全体の構成も彼が担当しているらしい。観客を引きつけるMC力と構成力、これは一体どこからきているものなのか。
取材を行なう前の打ち合わせで、石川は「お笑い」が好きで、自身のライブに活かすために劇場に足を運び日々研究を重ねていると教えてくれた。一番好きな芸人を尋ねてみたところ、「磁石さんです!」と即答。磁石のライブを生で観たことが無いと言うので、彼が思う「音楽とお笑い」について話を訊く前に、まずは磁石のライブを観に行くことに。さらに、せっかくの機会なので磁石と話ができるようセッティングした。
  ◆  ◆  ◆
[取材当日]
本日の会場は東京・新宿バティオス。上京してきた際に新宿に立ち寄ることはほぼ無いという石川は「これがあのアルタか……!」と会場に向かいながら街を見回して楽しげな様子。この取材のためだけに大阪からやって来たそうで、手には磁石へのお土産を持ち、会場に向かう間「やばいっす」「ちゃんと話せるかな」と、緊張と興奮が入り混じった声で話す。
到着し、着席すると間もなく暗転しライブがスタート。映像の上映後、オープニングトークメンバーとして早速磁石が現れると、石川は「おお!」と小さく声を上げていた。それから芸人が次々とネタを披露、磁石は後半に登場して漫才を行ない、石川はそれを観て身体を揺らしながら笑っていて、大満足しているようだった。
ライブ見学が終了し、いよいよ対面の時間だ。大ファンである磁石を前に、石川はどんなトークを繰り広げるのか。
  ◆  ◆  ◆
[BURNOUT SYNDROMES・石川大裕×磁石]

■1月で一番ビッグイベントやなあって(BURNOUT SYNDROMES・石川大裕)
──石川さんはお笑い芸人さんのネタを参考にライブのMCや構成を考えていらっしゃるんですが、そのなかでも一番尊敬しているのは磁石さんとのことで、お声がけさせていただきました。
磁石・永沢たかし(以下、磁石・永沢):渋いですね、渋いセンスだ。
磁石・佐々木優介(以下、磁石・佐々木):今おいくつなんですか?
BURNOUT SYNDROMES・石川大裕(以下、石川):25歳です。
磁石・佐々木&永沢:若い!
──でもバンド歴は長くて。
石川:13年です。
磁石・佐々木&永沢:長い!
石川:中学生のときから同じメンバーでやってます。
磁石・佐々木&永沢:すげー!
磁石・佐々木:今日大阪から来たんですか?
石川:そうです。
磁石・佐々木:ライブのついでとかで?
石川:いえ、この取材のためにです。
磁石・佐々木&永沢:ええっ!?
石川:1月で一番ビッグイベントやなあって思って。
磁石・佐々木&永沢:ははは(笑)。
──本気さが伝わりましたかね(笑)。石川さんはライブのMCで磁石さんのネタを使っているとか。
石川:はい、「トイレ行きたい方いますか? あ、いました。我慢してくださいね」ってのをそのまま。ちょっと笑いをいただいてからみたいなのをよくやってまして。勝手にパクらせていただいています。
磁石・永沢:いやいや、全然大丈夫です。
磁石・佐々木:ありがとうございます。
石川:先ほどライブ観させていただきました。東京に来る途中『ZONE』(磁石の単独ライブのDVD)見てきたんで、「あ、今日のネタこれなんや!」って思って(笑)。ライブめっちゃ楽しかったです。
磁石・永沢:ははは(笑)。
磁石・佐々木:ライブDVDって(笑)。
──磁石さんのライブを生で拝見するのは初めてなんですよね。
石川:そうなんです。生の感じとか、アフタートークのノリとかが、MCの勉強になるのですごく感動しました。お訊きしたいことまとめてきたので、ちょっとメモ見ますね。
磁石・佐々木:マネージャーやる?(笑)
石川:いやもう、ほんっとに好きで。さっきのライブのネタは本当はもっとすごく長いじゃないですか。もっとたくさんやりとりがある中でも、あの部分を切り取るっていうのはどのタイミングで決めるんですか?
磁石・永沢:今日の主催者のライブによく呼ばれるので、ネタを知っているお客さんも多いんですよね。「これ足してみるか」みたいな感じで、足したり引いたりしています。
磁石・佐々木:出番前に実際に2〜3回合わせながらアドリブで出たものを「じゃあ今日はこれを入れてみようか」とかもありますね。
石川:マイナーチェンジを繰り返しているんですね。ネタは永沢さんがすべて作ってらっしゃるんですか?
磁石・永沢:いや、佐々木も考えてますよ。
磁石・佐々木:基本は全然考えないっすけどね。
磁石・永沢:相当追い込まないと(笑)。
石川:ははは(笑)。どんな感じでネタって考えはるんですか? 磁石さんのネタってすごく知的やなって思うんです。
磁石・永沢:最低限、僕が考えて、それがどうにも3分ぐらいにしか満たなかったりするんで、「あと2分ぐらいどうしようか」って話し合ってると佐々木からポンポン出てくるんで、それをいっぱい足してます。
[BURNOUT SYNDROMES・石川大裕×磁石]

■作り方のコツがあってとかじゃない(磁石・佐々木優介)
石川:佐々木さんはボケも考えるんですか?
磁石・永沢:むしろツッコミを全然考えないですね。
磁石・佐々木:ふたりでのネタ作りのときは、ボケ案ばっかり出してますね。
石川:磁石さんのネタのボケってすごくわかりやすいと思うんです。言い間違いだったりとか、ボケを聞いた瞬間にお客さんが心のなかでツッコめるネタやなって。そこに佐々木さんが乗っかるのがすごくおもしろくて。僕は3ピースバンドなんですけど、MCをするのは僕だけでひとりでしか喋らないんですよ。ほかふたりがツッコミというポジションでは無いので、僕がボケて心のなかでツッコめるものじゃないといけなくて。
磁石・佐々木:なるほど。ツッコミが無くても成立するボケじゃないといけない。
磁石・永沢:あー、大変ですね。
磁石・佐々木:ほかのふたりには協力してもらえないんですか?
石川:バンドってカリスマ性がすごく大事かなと思ってまして。協力させてしまうと、ちょっとなと。
磁石・永沢:たしかにね。「あの人、喋りはおもしろいけどボケツッコミとかになっちゃうと、ちょっとよくわかんなくなっちゃうね」みたいな。
石川:もったいないですよね。だからひとりで話すことが多くて、いろんな芸人さんを参考にしたんですが、磁石さんのボケが一番綺麗なんですよね。ほんとに、清潔で美しくて健やかな毎日を。
磁石・佐々木:いや、花王みたい。
一同:(笑)
石川:そんな感じで、心のなかでツッコめるのがすごく好きで。そのネタの作り方を盗みたいんです。
磁石・佐々木:んー、我々はふたりでやってるので、ひとりでMCをするコツを訊くなら、あべこうじさんとかの方がいいんじゃないのかな?
磁石・永沢:ははは(笑)。僕らでも困りますもん、ひとりの仕事のときとか、ボケても誰もツッコんでくれないし。ふわっとして終わるっていう、地獄みたいな。
石川:バンドなんで、ハードルはすごく低いんですよね。ネタを作るときに、こんなことを考えているとかあったら教えてほしいです。
磁石・佐々木:作り方のコツがあってとかじゃないので、なんとも言えないんですよね。
磁石・永沢:たしかに、感覚的なものというか。
石川:毎日心掛けていることってありますか?
磁石・佐々木:こいつもそうですし、僕も20年くらい(芸人を)やっているから、職業病みたいなものはありますね。ひとつの単語を見て、「こう変わったらおもしろいだろうな」みたいなのを自然と考えます。例えばですけど、「フック船長」って出てきたときに、「副船長」だったらおもしろいなとか。無意識にというか、そのなかで漫才に入れてもおもしろいなというものがあれば、相方に提案もしますし。
石川:身近にあるものを。
磁石・佐々木:僕はダジャレが大好きなので、ひとつひねったダジャレみたいなものがおもしろいなと思ってるんです。単語のイントネーションを変えるだけでもおもしろかったりするじゃないですか。そういうのって、ボケ単体だと気づかれもしないし、ちっちゃいボケに感じてしまう場合もあるんで、そこをツッコミで良く見せるみたいなことはやりますけど、ひとりでってなるとなかなか難しいですよね。
石川:なんとかコツコツ考えてやってます(笑)。
[BURNOUT SYNDROMES・石川大裕×磁石]

■ろくでもないですよ、ほんとに(磁石・永沢たかし)
石川:磁石さんって毎回の漫才にツカミが絶対あるじゃないですか。それが超好きです。
磁石・永沢:あー、そうですね。何も無くそのままネタに入るのもあれだなって。めちゃくちゃ適当っすけどね。
佐々木:そう、一笑いも無いまま終わったりする。その感じを楽しんだりもします。「全然ウケないなあ」って言っちゃうし(笑)。
石川:あと僕、「好きな人の好きなもの」がすごく気になるんです。僕の好きな人達はどういうインプットをしてアウトプットをしているのだろうと。
磁石・永沢:ろくでもないですよ、ほんとに。
石川:いや、でもヒントがあると思うんですよ。例えば、好きな本とか漫画、音楽ってありますか?
磁石・永沢:佐々木さんはゼロに等しいよね。1ミリもインプットしてないもんね。
磁石・佐々木:半年くらい前からYouTuberの動画ばっかり見てるなあ。
永沢:小学生か(笑)。
磁石・佐々木:映画も人並みくらいしか観ないし、本は一切読まないですね。漫画は『ジャンプ』とか、普通に読むってくらいかな。
石川:インプットしているつもりではない?
磁石・佐々木:もちろんネタを作るうえでの参考にはなります。そういうところで、「あるある」を覚えるじゃないですか。こういうシーンが「あるある」ってみんなが思ってるのをもじってちょっとズラすからおもしろい、みたいなのがあるから、何も無知の状態だとネタは作れないと思います。あと、カッコつけるって意味じゃなくて、僕は根っからお笑いが好きなので、すべての事象について「こうなったらおもしろいだろうな」っていう見方ではいます。趣味とかは一切無いです。
石川:お笑いが根底にあるからってことですね。
磁石・佐々木:それもありますし、ひねくれてるというか歪んでるというか、本とかも「書いた人の頭のなかでしょ」って思うと、どうしても見たいっていう気持ちにならないというか。すごいって言われてる人だとしても、「その人が考えてるものを見せられてもな」っていう気持ちが子どもの頃からあって、それがずっと続いてる感じです。
──永沢さんはいかがですか?
磁石・永沢:僕は基本的に何かを見ているのが好きなんで、本とか漫画、ドラマ、映画もすごく見ますね。
磁石・佐々木:ももクロもな。
石川:アイドルがお好きなんですか?
磁石・永沢:音楽はももクロくらいですね。ライブもよく行きます。
──あと、ネタ中に名前を呼び合うところも気になっているそうです。
石川:そうなんです、磁石さんってお互いの名前を呼び合う回数めちゃくちゃ多くないですか? 以前、友達の芸人さんと磁石さんのDVDを見てたときに「めっちゃ名前呼ぶよね」って言ってました。
磁石・佐々木:そんな見方されてんの!?(笑)
永沢:意識はしてなかったけど、たしかに、相方のことを「お前」って呼ぶ人多いかもね。
石川:そこがすごく上品なのかもしれないです。あまりドタバタしてるのが僕は得意ではないので、いつもスマートで知的やなあって思ってます。年に一回の単独ライブがあるじゃないですか。永沢さんがブログで「絶対にどの単独よりもおもしろいものを作りたい」って書いてらっしゃいましたよね。どういう気持ちで単独ライブに臨むんですか? 今までのお客さんを逃さない、なのか、もっと広めたいっていう気持ちなのか。
磁石・永沢:単独ライブはまたちょっと違って……ほかの芸人の単独ライブを観たときに、すごく出来が悪かったりする人もいたりするんで、それがヤダなって思うんです。なので、一年で一番真剣に取り組むときではありますね。
磁石・佐々木:ガッカリしちゃうもんね。
石川:僕らも年に一回ワンマンライブがあるので、その気持ちがわかります。一年に一回のみんなが楽しみにしていることを大事にしている磁石さんの姿勢を見て、最高だなって思います。
磁石・永沢:ありがとうございます。4月に東京で単独があるのでぜひ来てくださいね。ちょっと遠いですけど。
石川:めっちゃ行きたいです。何があっても予定空けて伺います。
[BURNOUT SYNDROMES 石川大裕 ソロインタビュー]

■お坊ちゃま学校の奴らのパンク精神

■まずマイクスタンドを取っ払おう、から始まった
──憧れの磁石さんとの対談、おつかれさまでした。「インプットをしない」っていうお返事は意外でしたね。
石川:人種が、レベルが違うなと思いました。お笑いというものが根底にあるお二方に、付け焼き刃の僕が話せることはあまりないんだなということがわかりました。感じたのは意識の違いですね。僕らが、曲が流れたら「どういうベースなんだろう」「どういうドラムなんだろう」って聴いてしまうのと同じような感覚なんだなと。プロの芸人さんっていうのは、何かを失ってしまっているレベルだと思うんですよ。職業病というか。歴然とした差をすごく感じました。
──ちょっと落ち込まれてますが……お話できたのはプラスになりましたか?
石川:それはもちろんです!
──では、気を取り直して。BARKS初登場になりますので改めてバンドについてお訊きしたいと思います。2005年、13歳のときに結成されたとのことですが、初めてのバンドですか?
石川:はい、そうです。
──中学生でバンドを組むって早いですよね。
石川:僕の通っていた学校は、部活が週に2回とか3回とかで、あまり部活に重きを置く学校ではなかったんですね。重きを置くのは勉学で、そこで「じゃあ何を楽しみにするのか」と考えたときに僕らは音楽だったんです。勉強ばかりさせられたお坊ちゃま学校の奴らのパンク精神みたいなものですね。
──初ライブは?
石川:中3です。高校生のイベントに無理言って出させてもらったって感じで、学祭とかではなかったですね。
──どのような曲をやってたんですか?
石川:「ラブレター」という曲が僕らのなかでは一番古くて、その曲で<閃光ライオット>という大会に出たんですけど、この曲は熊谷くん(G&Vo)に「キャッチーな曲を作ってくれ」とお願いしたら出てきたんです。この曲からすべてが始まりました。それまでに作ってはいたんですけど、この曲が「3人で作れるカッコいいもの」の指針になったんじゃないかなと思います。
──カバーから始めたんじゃなかったんですね。
石川:カバーもちょこちょこやってたんですけど、熊谷くんがあまりカバーをやりたがらなかったのでオリジナル曲がメインでした。
──熊谷さんはバンドを組む前からギターを弾いたり作曲をされたりしていたんですか?
石川:彼は一切ギターを弾いたことが無くて、僕が「ギターを弾いてくれ」とお願いした瞬間からギターを始めたんです。作曲もやったことが無い状態でした。僕の名采配がズバッと決まりました(笑)。
──石川さんがヘッドセットマイクを付けてMCをするというスタイルは、いつ頃から?
石川:3年ぐらい前ですね。
──それまではみなさんでMCを?
石川:それまではまったくMCが無かったんです。なんにも喋らず淡々と曲をやっているバンドやったんですけど、とある転機になったのが、宮崎の<JamNight>というイベントへの出演でした。ステージがめちゃくちゃ大きいんですね。お客さんが8,000人〜1万人ほどいる大きな野外フェスで、そこでゴールデンボンバーさんのライブを拝見したんですが、僕たちは3人のバンドなのに、2人がマイクスタンドにしがみついてドラムが固定やと動きが無いっていう話になりまして。せめて僕だけでも動けるようにしないといけない、まずマイクスタンドを取っ払おう、から始まったのがヘッドセットマイクです。
──笑いを活かしたライブにしようというのは、ゴールデンボンバーさんのライブがキッカケだったんですね。
石川:ゴールデンボンバーさんもまさにそうですし、嵐さんもそうですし、やはり人となりが出るのがMCかなと思うんですね。ライブでしか観ることができないものはなんだろうって考えたときに、きっと演奏だけではなくライブに来る方にとってはMCがすごく大事なものかなって。僕がライブハウスによく行っていた頃のことを思い出すと、そうだったなと自分で気づきまして。じゃあ、喋ってるやつはおもろい方がいいやろってことでお笑い芸人さんの勉強を始めたのが3年前くらいです。
──勉強を始める前も、お笑いは好きだったんですか?
石川:大学の友達に、すごくおもしろい友達がいて、「なんでそんなおもしろいの?」って訊いたら「別にわからん」って。でもテレビがすごく好きで、漫才をいつも見てるって言ってたんです。その話を聞いた瞬間に、なるほど、やっぱりインプットの量が違うんだ、だからこいつはおもしろいんだっていうことに気づいて。そこから先はお笑いの映像は常に欠かさず見ています。
[BURNOUT SYNDROMES 石川大裕 ソロインタビュー]

■バンドの命なんで

■答え合わせの場所になると思う
──BURNOUT SYNDROMESさんのライブは「楽しませよう」という気持ちが特に強く伝わってきます。主催ツーマンイベント<Butterfly in the stomach>(2017年6月〜7月)のMCで、「ライブはデートのようなものだ」って仰ってましたよね。このときは蝶々のデザインのグッズでした。<Butterfly in the stomach II>(2017年9月〜10月)のMCでは、「2回目のデートだからお花でも渡したくて」って仰っていてお花のグッズがあって。演奏以外でも楽しませてくれる。
石川:蝶々と対になるものは花で、きっと運命共同体のようなものだと思うんです。だから、花を渡したいなって。なんか、カッコいいことしたいんですよ。年に何回も会えるわけじゃないんで、カッコつけたい。花渡すってカッコつけの代名詞みたいなもんじゃないですか(笑)。だから単純にそれをしたかったんです。
──<Butterfly in the stomach II>で、「夕闇通り探検隊」の演奏前に会場に配られた歌詞も、ただ紙に印刷するだけじゃなくて、表紙と裏表紙がある文庫本のようなデザインにしてあったのも素敵でした。
石川:歌詞は熊谷くんで、絵は廣瀬くん(Dr&Cho)が描いて、裏表紙のメッセージは僕が書きました。あれもメンバー3人で作ったんです。
──「そろそろアコースティックも聴きたい」ってなんとなく思ったらアコースティックでの演奏が始まったので、個人的にはタイミングも完璧でした。セットリストも石川さんが考えてるんですか?
石川:それめちゃくちゃ嬉しいですね。セトリは僕が150考えて、みんなで50引くっていう素敵な方法をとっています(笑)。わからなくなってくるんですね、自分でやっていると。ほんとはその日もアコースティックに入るまでにもう1〜2曲あったんですけど、メンバーやスタッフさんが「ちょっとお腹いっぱいかもね」って言ってくれて、何曲か引いたんです。そのセトリを「良かった」って今言っていただけたので、やっぱみんなで作ったものだなって再認識しました。ビビリなんですよ、怖いからいっぱいやっておこうかなって思っちゃって。そのマイナスにする作業をみんなでできるのは嬉しいですし、ほめていただけたことでみんなをさらに信頼できます。
──石川さんから見て、熊谷さんと廣瀬さんはどんなおふたりですか?
石川:何よりも大事な存在ではあります。でも、やっぱりライバルだなとは思っています、いつだって。彼らができることを僕もできるようになりたいし、でも彼らができないことを僕が補いたいし。そういう気持ちが3人にあるのがやっぱりいいのかなと思います。
──役割分担のバランスがばっちりですよね。ライブでもそうですが、SNSなど拝見していても、3人の楽しそうな雰囲気に嘘が無いなと感じます。
石川:楽しくないとおもしろくないんで。今3人でラジオをやってるんですけど、ほんとに笑えないと、ほんとの笑いって録音できない。3人とももしかしたらわりと気ぃ遣いなのかもしれませんね。
──ライブでの好きなポイントがもうひとつあるんです。ファンの方を「あなた」って呼ぶところが素晴らしいなと。より言葉に感情移入できます。
石川:きっと、すごいバンドさんはみんなそう思ってて。BIGMAMAさんのライブを初めて拝見したときに、「今から、みんなにじゃなくて、あなたに歌います」っていうすごく素敵なMCがあって、なんてカッコいいんだろうって思ったんです。まさにそうだなと。形式上どうであれ、一対一が複数あるっていう気持ちを言葉にできるのがカッコいい。僕も真似したいなっていう、ただの憧れの気持ちですね。
──ライブ後はファンの方一人ひとりに挨拶されてますが、大変じゃないですか?
石川:全然大変じゃないんですよ。嬉しいし、当然のように一人ひとりに「ありがとう」って言いたいです。それはもう、僕らの、バンドの命なんで。
──その溢れ出る、喜ばせたい/楽しませたいという気持ちはどこからきているんでしょうか?
石川:一番大きいのは、コーヒーショップでのアルバイトの経験からですね。この経験が無かったら、「人を楽しませよう」っていう気持ちはここまで強くなかったと思います。とにかくありがたいなと思うんですよ、なんでも。「来てくれてありがとう」って思いますし、ありがとうの気持ちがあればなんでもできるなって。
▲2nd Album『孔雀』
──そろそろアルバムのお話も。2月21日に2ndアルバムがリリースされます。『孔雀』というタイトルですが、鳥の曲は入っていないですよね。
石川:今回のアルバムはバラエティ豊かな曲が10曲収録されていて、世界観が10方向に向かっているんです。それを孔雀の羽に見立てたっていうのがひとつ。そして、今までとの変化を恐れずにやるという自分への「威嚇」、作品を聴いてくださるファンの方への「求愛」。孔雀が羽を広げたときの意味を自分たちの活動に当てはめています。……って熊谷くんが言ってました(笑)。ちなみに熊谷くんは鳥が好きです。
──作詞は基本的に熊谷さんが担当とのことですが、「Melodic Surfers」は石川さんも作詞をされてますね。
石川:この曲は、熊谷くんと同じくらい僕が歌ってる作品です。僕が書いたのはラップの部分の歌詞なんですけど、初めての経験だったのですっげー大変でした(笑)。ラップが好きって話を熊谷くんにしたら、「ここ歌詞書いて。好きなやつがやった方がいい」って言われて。血ヘド吐きながら書きました。
▲3rd Single「花一匁」通常盤(初回仕様)
▲3rd Single「花一匁」期間生産限定盤(アニメ盤)

(c)空知英秋/集英社・テレビ東京・電通・BNP・アニプレックス
──そしてアルバムに先駆けて2月7日にはシングル「花一匁」がリリースされます。こちらはテレビアニメ『銀魂』銀ノ魂篇のエンディングテーマ曲ですが、シングル3作連続タイアップですね。
石川:なんて神に愛されているバンドなんだろうと(笑)。ほかのバンドの友達から「ずるいー!」って言われましたね。熊谷くんはすごく『銀魂』が好きで、「求愛」が実ったなと。
──またいろんな方に知ってもらえる機会が増えますね。
石川:きっとライブハウスに来たことが無い方もたくさんいらっしゃると思うんで、もし曲を聴いて、Twitterやこのインタビュー記事などを見て気になっていただけたなら、ぜひ会いに来てもらいたいなと思いますね。そこは、はっきり言ってしまえば答え合わせの場所になると思うので、僕らはその答え合わせに全力で、100点じゃないかもしれないですけど、100%で立ち向かおうと思ってます。
──その答え合わせの場が3月3日、地元・大阪からスタートする<全国ワンマンツアー2018「孔雀〜いざ真剣勝負〜」>。
石川:さっき磁石さんも仰ってましたけど、一年に一回のワンマンライブ、絶対に誰にも負けたくないんです。僕もいろんなバンドのワンマンライブを観に行くんですけど、やっぱりバンドのライブってしんどくないですか? 時間長いですし、曲だけずっとやられてもしんどいし。だから僕は絶対に一秒も「長いな」って思わせたくないんですよ。「あれ? もう終わったん?」って絶対に思わせたいって考えてるんで、期待だけして来てほしいですね。
取材・文◎高橋ひとみ(BARKS)

撮影◎生熊友博
3rd Single「花一匁」


2018年2月7日(水)発売

■通常盤(初回仕様)

ESCL-4962

¥1,000(税込) ¥926(税抜)

※PlayPASS対応(初回仕様のみ)

[CD]

1.花一匁

2.夕闇通り探検隊
■期間生産限定盤(アニメ盤)

ESCL-4963〜4964

¥1,400(税込) ¥1,296(税抜)

※アニメ絵柄ジャケット、アニメ絵柄グッズ付き

※PlayPASS対応

[CD]

1.花一匁

2.夕闇通り探検隊

3.花一匁(アニメサイズver.)

4.花一匁(Instrumental)
2nd Full Album『孔雀』


2018年2月21日(水)発売

■初回生産限定盤(CD+DVD)

ESCL-4997〜4998

¥3,500 (tax in)/¥3,241(tax out)
[DVD]

※約45分におよぶ豪華映像3大特典

(1)ミュージックビデオ+メンバーによるMV解説オーディオコメンタリー(副音声)

・「花一匁」MV(テレビ東京系アニメ「銀魂」銀ノ魂篇エンディングテーマ)+オーディオコメンタリー(副音声)

・「ハイスコアガール」(2017.9.18 RELEASE デジタルシングル、iTunesロックチャート1位を記録)+オーディオコメンタリー(副音声)
(2)ライブ映像 (2016.11.25@SHIBUYA CLUB QUATTRO)

・「FLY HIGH!!」(TVアニメ「ハイキュー!!セカンドシーズン」第2クールオープニング・テーマ)

・「ヒカリアレ」(「ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校」オープニングテーマ)
(3)「燃えつきRADIOスペシャル 〜「孔雀」の取説〜」(アルバム「孔雀」収録曲解説映像
■通常盤(CDのみ)

ESCL-4999

¥3,000(tax in)/¥2,778(tax out)
[CD]※初回生産限定盤、通常盤共通

M1.ヨロコビノウタ

M2.花一匁

M3.若草山スターマイン

M4.吾輩は猫である

M5.Melodic Surfers

M6.ハイスコアガール

M7.君をアンインストールできたなら

M8.POKER-FACE

M9.斜陽

M10.Dragonfly
<全国ワンマンツアー2018「孔雀〜いざ真剣勝負〜」>


2018年

3月3日(土)大阪・UMEDA CLUB QUATTRO(17:00/18:00)

3月17日(土)愛知・ell FITS ALL(17:00/17:30)※SOLD OUT

3月21日(水・祝)宮城・仙台CLUB JUNK BOX(17:00/17:30)

3月23日(金)東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO(18:00/19:00)

3月25日(日)福岡・DRUM SON(17:00/17:30)

前売¥3,700(1ドリンク別途)

※チケット情報はバンドオフィシャルサイトでご確認ください

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