【インタビュー】ENDLESS、ラストラ
イブ直前に語る「自分で汚したくなか
った」

ENDLESSが2018年1月27日、Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて開催する<ENDLESS ONE MAN GIG The sky is the limit - Final Chapter ->をもって活動を休止する。ヴォーカル&ギターのSHIGEはYUKIYA率いるKαinのギタリストだが、2017年11月の赤坂BLITZ公演をラストとして、すでにKαinの活動に終止符を打った。
10代の頃にENDLESSを結成。1999年にメジャーデビューを果たし、瑞々しくも切ない想いを音楽に落とし込んできたSHIGEが節目の年齢を迎え、今回の結論を出したのはなぜだったのか? デビュー後に突然活動を休止した7年の謎の空白期間は何を意味していたのか? これまであまり語られることがなかった自身の心情、音楽に対するストイック過ぎるほどのこだわりが明かされるロングインタビューは、ENDLESSのSHIGEとして最後の言葉となるであろう重みを纏う。
   ◆   ◆   ◆
■乖離しきってしまう前に

■終わらせたかった
──まず、2017年の11月に赤坂BLITZで開催されたKαin活動休止のライブを終えて、SHIGEさんの心境は?
SHIGE:Kαinは10年続けてきたバンドで、最後のステージだったから、とにかく後悔しないように。ずっと一緒にやってきたメンバーのことを考えながら演奏していました。特にバンド内のいさかいがあったわけではないし、メンバーもお客さんも温かく送り出してくれたことが印象に残っています。
▲SHIGE(Vo&G)


──ENDLESSは2018年1月27日の渋谷マウントレーニアホールワンマン公演を最後に無期限活動休止となりますが、決断した理由は何だったんでしょう? Kαinを含む全ての音楽活動をやめてしまうということですか?
SHIGE:全てをやめてしまうということではないんです。ENDLESSを止めようと思ったキッカケは『Closing World』(2014年発表ミニアルバム)を作った時までさかのぼるんですが、初めて“終わり”をテーマに作ったのがそのアルバムで、それまで僕はいろいろな終わりに向き合えていなかったんですけど……。
──バンドに限らず、人間関係の終わりだったり?
SHIGE:全てにおいて。全てのものに終わりが来るのだという現実に向き合いながらアルバムを制作したその時に、自分の引き際というか、ENDLESSを止めるのはいつだろう?って初めて考えたんです。もともとENDLESSは僕が10代の頃に始めたバンドで……。
──高校生の時から活動していたんですよね?
SHIGE:月に1回ぐらい定期的にライブを、と言っても友人などが来てくれるようなバンドで。それでも動員はいつも50人から100人近くありましてね、TETSU(Key)とはその頃から一緒に活動しています。ちょっと話は複雑になるんですが、その後、僕はBLÜEというバンドでヴォーカルをやり、YUKIYAさんがヴォーカルのD≒SIREでギターを弾かせてもらって。それからSONY MUSICと契約する機会が訪れて。メンバーはTETSU(Key)と2人なので、高校生の時からやっていたバンド名にしようということで、ENDLESSという名前で1998年から本格的に活動を始めました。
▲TETSU(Key)


──なるほど。ENDLESSではインディーズ時代にギター兼ヴォーカルになったんですよね?
SHIGE:そうですね。レコード会社と契約した時は20歳ぐらいで。それから20年近くの月日が経つ内に、自分がENDLESSに思い描いていたイメージと自分自身が乖離してきているなと思うようになっていったんですね。それは良い変化だとは思っているんですけど、円熟味を増していくにつれて尖っていた部分がなくなったり。失うものもあって、10代の頃に“バンドやろう!”って始めた頃の自分とは違ってくるのも仕方のないことで。
──10代当時、ENDLESSに思い描いていたヴィジョンとは?
SHIGE:それは作品になっているものが全てですけど、僕の中でENDLESSはとてもキラキラしたものだったんですよ。生きていく中で感じる不条理とかハングリーな気持ちや切なさを曲に封じこめていきたいと思っていました。言葉にはできないやるせなさとか。
──感情をグラフにすると揺れが激しかったものが、年齢を重ねるにつれて自分も定まってくるし、揺れも緩やかにはなっていきますよね。
SHIGE:ええ。僕は10代の頃からプロになろうと決めていたので、“こういうバンドでステージに立つ”っていうヴィジョンが明確にあったんです。その当時のコンセプトと今の自分の実像が離れていったのがいちばん大きいですね。
──そういう壁にぶつかったのが2013年ぐらいなんですか?
SHIGE:壁というよりも終わりを見つめて、“この作品が最後になってもいい”っていう気持ちで作ったのが『Closing World』だったんです。そこで納得いくものが出来たことも今回の決断に大きく作用していると思います。いろいろな考え方はありますが、僕は自分が描いたものを自分で汚したくなかったから、乖離しきってしまう前に終わらせたかったんですね。
──そういう想いがどんどん膨らんでいって、今回のENDLESSの結論に至ったということですか?
SHIGE:そうですね。
■CGは使いたくないんですよ

■この前も現地までオーロラを撮影に
──話はさかのぼりますが、メジャーデビュー後、2000年から7年間活動休止していますよね。この空白期間はどんな時期だったんでしょう?
SHIGE:この時は明確に活動を止めるって宣言したわけじゃないんですよ。「Frontier」(2000年発表)というシングルを出して発売記念ワンマンをやって、その後も活動するつもりだったんですが、楽曲が書けなくなってしまったんです。
──スランプに陥ったということですか?
SHIGE:簡単に言うとスランプなんでしょうけど、音楽活動をする上でやっぱり、“思っていたのと何か違うぞ”って思ったんですよね。もちろんレコード会社と契約するわけですから思い通りにならないこともありますし、スタッフも一生懸命やってくれていたんです。だけど、僕自身に細かいところまでこうしたいっていうこだわりが強かったので、どう活動していったらいいのか葛藤がすごくあって。音楽にアウトプットできなくなったのが大きな理由ですね。楽しみにしてくれている人、待っていてくれる人がいるのに曲が作れなくて。
──そこは相当苦しい期間だったんでしょうね。
SHIGE:苦しかったですね。でも、活動を再開する時のことをイメージしながら、自分がどうしたら納得できるのかをクリアしないと音楽が作れないと思ったので。休止期間に自分の音楽を作れる環境を整えようと思ったんです。要はレコーディングできる機材を揃えるために自分で資金を何とかしようと。
──自分で全てプロデュースしたい欲求が強いタイプなんですか?
SHIGE:単純に言うとそうなんですよ(笑)。どうすれば自分たちのやり方で活動できるかを考えて、必要なものを全て網羅するのに7年かかったということなんです。
──自宅で音源を作れる環境と技術を得て?
SHIGE:そうですね。それまでSONYのスタジオで制作していたので、同等のクオリティを保とうと思ったら、それなりの機材でないとできないなと。幸いレコーディングの現場を見てきたことでエンジニアのスキルもあったので。
──卓をいじっているのを見て学んだということですか?
SHIGE:ええ。エンジニアに「今のこれは何をやっているの?」って1つ1つ質問したりしながら勉強して。
──この期間にカメラマンとしても活動されていたとか?
SHIGE:カメラマンだけをやっていた訳ではなく、デザインも手がけたりとか、とにかくその後のENDLESSの活動に必要そうなスキルに関わることは何でもやっていました。カメラについて勉強したのもジャケットの写真を自分で撮りたかったからなんです。
──アートワークも手がけたいからデザインもカメラも学んだと?
SHIGE:そういうことです。単純に凝り性なんですよ。作品って残るものだから絶対後悔したくないんです。妥協したものを出すぐらいなら出さなきゃいいと思うタイプ。僕に限らず、みんなそうだと思うんですけどね。
──いや、その突き詰め方は尋常ではない。だって、音楽だけに留まってないじゃないですか。
SHIGE:そうですねー。ちょっと行き過ぎるところはあると思います。写真にしても自分の作品だからCGは使いたくないんですよ。この前もオーロラを撮影しに行ったんですけど、それは1月のライブで映像で流すと思います。今の時代は素材集があるから、それを流せばいいっていうのも知ってますよ(笑)。
──ライブで流すためだけに撮りに行ったんですか?
SHIGE:そうですね。フルアルバム『Monochrome Sky』(2009年発表)のジャケットは山の上から撮った雲海の写真なんですけど、そのために登山のスキルを身につけて(笑)、何日間か泊まり込みで撮影したりして、きっとそういうことが好きなんだと思います。
──『情熱大陸』に出られそうなエピソードですね。
SHIGE:ははは(笑)。でも作りたい作品のために情熱を注げるのは幸せなことですね。
■ENDLESS=自分の人生みたいなもの

■第一の人生がまだ終わっていない
──その7年を経て音楽シーンに復帰。ENDLESSとKαinの活動を並行させるわけですが、当時はどんなテンションだったんでしょうか?
SHIGE:ENDLESSはそんなに風呂敷を広げるつもりはなくて、自分たちがやりたいことを突き詰めて作品に残したいと思っていました。
──なるほど。
SHIGE:Kαinに関しては僕は全く別モノだと考えているんですけど、そもそも僕が昔、D≒SIREに参加して、その後にYUKIYAさんと「やろうね」って言っていたバンドがKαinという名前だったので、その果たせなかった約束の延長上にありました。
──SHIGEさんの中でENDLESSとKαinの違いというのは?
SHIGE:音楽性も全く違うし、ヘアメイクも含めて自分の出で立ちも違います。実際、ENDLESSとKαinの僕は“別人”という設定で活動してたんですよ。
──と言っても見てる人はみんなSHIGEさんだと知ってるわけで?
SHIGE:まぁ、そうですね(笑)。
──確かにENDLESSの曲はエバーグリーンで透明感がありますけど、Kαinはゴシック色が強いですもんね。
SHIGE:そうですね。例えると日曜に教会に行ってゴスペルを歌ってるようなENDLESSの僕が、月曜にはKαinで悪魔の儀式に参加してるっていう(笑)。
──Kαinでは歌もうたいつつ、ギターを歌っているように弾いていらっしゃいましたね?
SHIGE:自分もヴォーカリストなので、そこは大きいかもしれないですね。センターで歌う時に「ギタリストにこう弾いてほしい」という願望を具現化したのがKαinで心がけているプレイスタイルです。
──SHIGEさん自身、遠藤重賢名義でソロでも歌っていらっしゃって。表現の幅があるのになぜ活動を止めるんですか?
SHIGE:ソロではさっきお話した10代の自分とは乖離してしまったもの、ENDLESSのコンセプトからはみ出してしまったものを表現しているんです。キラキラはしていない円熟味を増した自分ですよね。ENDLESSのSHIGEとは違う魅力があると信じてやっているのが遠藤重賢ですね。
──ということは遠藤重賢名義でのソロ活動は続行していくと解釈していいんでしょうか?
SHIGE:今はENDLESSとしての1月のライブのことだけを考えているので、その後、どうするのかは今のところ真っ白なんです。
──音楽をやめるか、やめないかに関して、という意味でも真っ白ですか?
SHIGE:そうですね。ENDLESS=自分の人生みたいなものなので、それがなくなった後にどうするのかはまだ考えられないです。「第二の人生どうしますか?」って聞かれても第一の人生がまだ終わっていないので。
──最後のライブを終えた後、どういう気持ちになるかわからない。それぐらいENDLESSが大きかったということですね。
SHIGE:変な話ですけど、いつも自分はENDLESSのSHIGEだと思いながら、空白の7年も「ファンの人はどう思ってるのかな。みんな、どういう曲を待っているんだろう?」って。全てはENDLESSのために生きてきたので。
──わかりました。最後に渋谷マウントレーニアホールで開催されるライブについてメッセージをお願いします。
SHIGE:自分たちには一度活動が止まってしまった時、ファンの人にすごく悲しい想いをさせてしまったという負い目があって。自らの意志で「これで活動を停止させます」と報告をして、支えてくれたファンに「ありがとう」を直接伝える場を作りたかったんです。そういう意図で開催するライブなので、きっちりみんなの目を見て気持ちを伝えたいというのが全てですね。そして、今まで積み上げてきたキャリアをみんなに見てほしい。
──セットリストも集大成的なものになるんですか?
SHIGE:そうですね。時間が限られているので全てはできないですけれど、みんなに見届けてもらえるようなセットリストにできたらなと思っています。
──ライブで未来のことがメッセージされることは?
SHIGE:ライブなのでその場で感じたこと、思ったこと、その先の未来のことも自分たちの言葉で話せたらと思っています。
取材・文◎山本弘子
■<ENDLESS ONE MAN GIG The sky is the limit - Final Chapter ->


2018年1月27日(土)Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

開場17:00/開演18:00

▼チケット

¥5,000(税込/全席指定)

※入場時ドリンク代別途必要

※全席指定・未就学児童入場不可

※未発表音源もしくは未発表映像を来場者全員にプレゼント

一般発売:2018年1月7日(日)10:00〜

・チケットぴあ 0570-02-9999 [Pコード:100-855]

・ローソンチケット 0570-084-003 [Lコード:71579]

・イープラス http://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002029794P0050001P006001P0030003

(問)NEXT ROAD 03-5114-7444

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