【ザ・ジェッジジョンソン】
取材:石田博嗣
激しいロックの匂いがするエレクトロミ
ュージック
今作はエレクトロやテクノという要素を押し出しながらも、ライヴ感の強いアルバムになりましたね。
ザ・ジェッジジョンソンはエレクトロが重要な要素であることに変わりないんですが、ライヴハウスでの活動、生で伝えることを最も重要視したバンドなんですよ。今回のアルバムに関しては、ロックが持っているグルーヴであり、躍動感であり、激しさであり、そういったものを盛り込むってことだけに重点を置いて制作しました。
なぜ、そういう部分を今作で出そうと?
実は、このコンセプトは前作の『Discoveries』を制作している時からあったんです。メジャーで一番最初にドロップされた『Discoveries』はジェッジの側面のひとつであるエレクトロの部分を強く出したいと思ってたんで、二作目はよりロックな、よりダンサブルなものを突き詰めていこうって。だから、アルバムの制作も前作の制作が終わった次の日から始まっていたという。連続しているんですよね。
そのサウンド作りも、ほんと職人技ですよね。
日本のミュージックシーンって生演奏至上主義で、“手を抜いたもの=打ち込み”みたいな認識があるというか…テクノロジーとかエレクトロニクスって“DTM(Desktop Music)”と呼ばれるジャンルだと思うんですけど、僕自身、“DTM”や“打ち込み”と言われるのが非常に嫌で、それって音楽的な差別用語だと思ってるんですよ。バンド演奏をより効率的にするためにテクノロジーは発達してきたわけであって、決して代用物ではないし、逆に進化したテクノロジーでより緻密にすることで、生演奏ではできないようなことができるはずなんですよ。その職人的な部分とか、緻密なものをいかに生と融合させるかが、ジェッジの基本コンセプトなんですね。なので、その緻密な感じは受け取ってもらえるかと思います。
そういうライヴ感のあるサウンドが作られているのですが、その中心には歌がありますよね。
今回は特に日本語詞に比重を置いて制作をしたんですけど、作り方が特殊で…一番重要なのはメロディーと歌詞だと思ったので、レコーディングとアレンジが全て終了してから、正式な歌詞とメロディーを当てはめていったんです。デモトラックにはラフなメロディ-は存在するし、その段階で楽曲の世界観とかイメージコンセプトは決まっているんですけど、より緻密に歌い回しとか語感を…例えば、日本語で言うなら“は”を“を”に変えるとか、そういう推敲に膨大な時間をかけました。
ライヴ感のあるアルバムでありつつも、最後は“we love 8bit world”と歌うテクノロジーを駆使した「CONTINUE?」で終わるのが興味深かったです。
実は、その曲を収録するかどうか最後まで迷ってたんですよ。エレクトロであり、ダンスミュージックというのは、ジェッジを構成してきた不可欠な要素であって、そこが他のバンドと異なる部分だと思うので、急遽、最後に入れました。
とはいえ、やはり前作とは違った作品になりましたね。
そうですね。非常に激しいロックの匂いがするエレクトロミュージックになったと思います。前作よりも熱量が増した…ライヴの風景というか、リスナーのノリというか、そういうものがイメージできやすいものになったかな。それプラス、文学性…日本人であるがゆえの情景感とか世界観が伝えられるものになってると思います。