取材:石田博嗣

約1年振りの音源なのですが、2ndアルバム『Confetti Love Songs』の次のビジョンとして、何か明確なものはあったのですか?

2ndアルバムまでは“LOVEってこういう者なんですよ!”っていうことを伝えたいと思っていたんですけど、2年間やってきたことで思った以上にそれは伝わっているなって。“私が作ったものがLOVEになる”ってところまで来れたと思うので、今までは先にタイトルを決めたり、テーマを考えて作ってたんですけど、今回はナチュラルに作る…そういう作り方をするってことだけ決めてました。

では、「君は僕のセンユウ」はどんな想いから生まれた曲なのですか?

“この子は私の戦友やな”って、しばらく行き詰まってた友達が何か壁を乗り越えたのか、久々にキラキラしている顔を見た時に思ったことがきっかけで、最初に出てきたフレーズがタイトルの“君は僕の戦友”だったんです。友達とか親友じゃなくて、ニュアンス的に戦友みたいな人が私にはいっぱいいて…地元の大阪の友達とかミュージシャン仲間とか、普段は一緒にいるわけじゃないし、遠くにいたりするんですけど、そういう頑張っている者同士のアンテナみたいなものがあって、そこにピリピリと電波が飛んできて、“アイツも頑張ってるんやから、私も頑張らな!”って思える人というかね。で、今って “大丈夫だよ”とか“ひとりじゃないよ”っていうフレーズが街にあふれてるのも、不景気でナーバスにもなるし、そういう言葉を聞きたいと思う人がきっと多いからなんだと思う。とはいっても、実際にみんなひとりで越えないといけない壁もあるんですよね。私が歌いたいのは、そんな現実の中でこそ響く、孤独だとしてもひとりじゃないよってことなのかなって。だから、そういうリアリティーを持って曲を書こうと思いましたね。頑張ってる人に対して、変に慰めるのは違うだろうし。トゥーマッチなやさしさでもなく、トゥーマッチな涙でもなく、トゥーマッチな大丈夫っていうものでもなかったから、歌入れが難しかったですね。情感たっぷりに歌うのは違うし、淡々と冷たく歌うのも違う。だから、この歌に乗せたい感情っていうのは、実際に頑張っている人にかけてあげたい、もしくは隣にいる時に振る舞いたい時の自分のテンションなんだなって思いました。

声の表情だけでなく、アレンジにもこだわってますよね。

時計の決まった時間の流れが物差しのように横になってるとしたら、その目盛りがドラムのビートで、そこに流れる時間のリアリティーがベースなんです。で、ヴォーカルとアコギはたったひとりで頑張っている主人公で、エレキが離れたところにいる戦友の存在…っていうイメージでした。だから、音数は今までの中ですごく少ないですね。コーラスもいっぱい考えたんですけど、レコーディングの最後の最後まで“なんか違う”って言ってて、試しにサビの部分のコーラスを消したら、やっと歌が大きくなったというか。タイトルの“戦友”という言葉も今の時代にしっくりくるのかどうか、すごく考えたんですよ。最初は漢字で考えていたんですけど堅く感じたんで、カタカナにしたら人の愛情を感じれるものになって…この曲は温かい歌にしたいと思って作ったんで、タイトルはカタカナで“君は僕のセンユウ”にしました。

2曲目「KISS ME IN THE RAIN」はライヴ映えするアッパーチューンなのですが、どんな曲を作ろうとしたのですか?いろんな意味にとらえられますよね。

そう思いますよね。最初に歌詞のイメージとしてあったのは、待ち合わせ場所で傘もささずに立って待っていた男性に、遅れてやって来た女性が“死ぬほどカッコええわ~。惚れ直すわ”ってなってるシーン。それが平和記念公園の銅像と重なるものがあって…立てられてからずっと雨に濡れっぱなしですからね。だから、私の平和への想いやイメージと、恋する女の子が待ち合わせするシーンとがリンクしたんでしょうね。

では、国名が羅列されている箇所の意味は?

主な核保有国と、世界に対して影響を持っている国の首都を並べてるんですよ。広島や長崎の市長さんって毎年、核保有国に核の廃絶を訴える手紙を出してるっていう話を聞いた時に、それは説得力あるなって思って…唯一、日本は核爆弾を経験した国ですからね。でも、なぜ首都の東京も一緒にそれをやらないんだって。だから、冒頭が“TOKYO”なんです。そういう平和な想いやメッセージって言うのは簡単かもしれない分、真摯に伝えたい。深刻にしか考えられない問題であってほしくないっていうか、フランクな気持ちで話し合える問題であってほしいと思ったんで、ライヴで盛り上がれるテンションの曲の中に込めようと思いました。この曲は、“ワォ!”って突き抜けてますしね(笑)。歌も恋する女の子の可愛さを出すために、すごいぶりっ子で歌ってる…それはトライでした(笑)

歌詞がヘヴィな一面を持っているから、それぐらいの方がいいんでしょうね。

これが普通のラブソングだったら、こんなぶりっ子には歌えてないです。恥ずかしくて無理! キャラにないです(笑)

3曲目はアコギと打ち込みの「地上のAngels」ですが、この曲は強く逞しく生きている女性への応援歌?

私の同級生にはOLが多いんですよ。ちょうど後輩もできて、上司とうまくいかなくても自分のやり方を見つけて…上司の話を真面目に全て受け止めていた最初の何年間を経て、逃げ道を覚えた頃のね(笑)。そのくらいの歳って、女性にとって一回自分が出来上がるタイミングなのかなって。私自身も2年間やったことでLOVEっていうものが伝わったっていう手応えを感じて3年目を迎えてるので、同級生の子たちの気持ちとリンクする部分があって書いた曲ですね。

どの曲も個性的で、3曲3様のシングルになりましたね。

そうですね。温かい『君は僕のセンユウ』があり、突き抜けた『KISS ME IN THE RAIN』があり、フランクでカジュアルな『地上のAngels』がある。“やさしさ”と“ロック”と“アコースティック”という、この2年間にやってきたことがちゃんと自分の中で消化されてて、何をやっても自分らしいものが作れるっていうのを、このシングルのプロセスからも感じられました。“今の自分”というものを確かめることができたし、最初に言った“私が作ったものがLOVEになる”が実感できましたね。
Love プロフィール

MISAKIとSTEPHANIによるLDH所属の女性ヴォーカル・ユニット。それぞれ小学生低学年の頃からTVやCMに出演し、10代前半から別々のユニットで活動。歌とダンスは10年以上のキャリアを重ねる。2007年、そんな2人が所属事務所で出会い、結成。LDHの名前の由来であり、EXILEのテーマである“Love, Dream, Happiness”から“Love”という言葉を与えられ、ユニット名を命名する。2009年8月、シングル「First Love 〜ラブレター〜」でメジャー・デビュー。同年11月発売の2ndシングル「Second Love ~ただ一つの願いさえ~」は明治製菓『Meltykiss』のCMソングに抜擢され、着うたウィークリー・チャートで1位に輝き、50万DLを超すヒットを記録した。2010年4月、1st アルバム『大切なキモチ』はオリコン・アルバムチャートで12位を獲得。卓越した歌唱力と2人の強い“絆”から生まれた楽曲が評価され、『第43回日本有線大賞新人賞』を受賞。2011年6月には、2ndアルバム『つながるキモチ』をリリース。2012年4月に7thシングル「100年後のきみに」をリリースするが、同年12月に年内をもって活動を終了、グループを解散することを発表した。オフィシャルHP

OKMusic編集部

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