新生SCREWが放つ『昏睡』は、8月にリリース予定の『覚醒』との連作となるコンセプトミニアルバム。L'Arc~en~Ciel等を手掛けてきた名プロデューサー、岡野ハジメが参加したのも大きな話題だ。
取材:土屋京輔
昨年末のベーシスト脱退後、メンバー4人体制のまま活動を継続していくという結論に至ったそうですが、新生SCREWの第一弾音源『昏睡』は、次作『覚醒』にもつながるコンセプトを持った連作なのだそうですね。
鋲
そうです。5人でのSCREWは年末の時点で“死んだ”わけじゃないですか。だけど、俺たちは“再生”に向けて前向きにやっていく。そこから“昏睡”と“覚醒”というタイトルが生まれたんですけど、4人になってからのサクセスストーリー的なものを作品にも反映させていけたら、今までになかったような感じでやっていけるんじゃないかなって。
なるほど。コンセプトが決まる前からアイデアのあった楽曲もあるとは思いますが、この『昏睡』に入ることになった6曲は、どんな観点から選ばれたのですか?
和己
『昏睡』の発売直後のライヴでは、5人のSCREWの時の曲をなるべく控えたいって思ったんです。その意味で言えば、ステージで映える曲を考えて入れてるんですけど、バラードもありますし、それこそ岡野ハジメさんがプロデュースしてくれたリード曲もあったりするんですよね。
鋲
選曲会は12月中旬にやったんですけど、リリース後にイベントツアーに参加することは決まってたんで、本当に新しいバンドを組んだような、この6曲で全国を回れちゃうような作品にしようみたいな話はしましたね。
和己
以前の曲も僕らの大事なものなので、もちろん今後もやるんですけど、とにかく今はこのSCREWのかたちを観てもらうために、この曲たちを選んだところもありますね。
実際に仕上がってみての印象はどうでしょう?
ジン
もちろん新体制のSCREWというのもあるんですけど、僕の中では今回のコンセプトを踏まえて考えた時に、変化するのは次の『覚醒』の時かなという感じもありつつ、『昏睡』はいい意味で進化した、今までの流れの僕らという印象はありますね。ただ、すごく細部にまでこだわっている。4人になったからこそのいいところ、そういう部分が音や歌に詰まってるなと思いますね。
マナブ
5人でやっていたことのいいところもあったと思うんですけど、4人になったら、やっぱり話のまとまりが早いんですよ。弦楽器は3人から2人になったことで、デメリットのように感じられる部分もあるかもしれないけど、リフにしろ、コードにしろ、今までのようにベースに合わせてギターを考える、弾くという感覚がない。その意味では、ギターの自由度はもしかしたら広がるのかなって。
和己
今までと比べて、音の隙間が埋めやすくなったなって。「REMEMBER ME」はどうしても生の音が欲しかったので、プロデューサーに弾いてもらってるんですけど、それこそ打ち込みだからこそのロー感があるんですよ。ベースレスを感じることのない音じゃないかなって。マナブが言った自由度というのは、その辺ではすごく感じますね。
歌は場面ごとに表現を明確に分けたものが多いですね。
鋲
そうですね、俺もなかなか引き出しを持ってるじゃんと(笑)。今まで通りにできるのかなっていう不安からスタートしてるからか、過去最高ぐらいに達成感もあって。出来上がってみて、すごく自信になりましたね。
歌詞は“昏睡”を念頭に書いてるわけですよね?
鋲
「ANITYA」以外はどっちかと言うと、大本の死を意識して書いてますね。死の香りをさせつつ、先にある希望だったり、“これからやってやるぞ”感がすごく出たかなと。例えば、「ARE YOU READY?」と「MAD MAX」はメメント・モリの世界観なんですが、“どうせ死ぬのであれば、今の生を楽しめ”と“今の生に執着するな”という言葉が、すごく俺を興奮させやがってですね。それをふたつの曲に分けたら、すごく面白いアプローチだなというところから始まっていて。当然、内容的にもライヴ感のあるものにしたかったんですよ。“心中するヤツ、この指とまれ!”というワードから広がっていったのが「MAD MAX」で、「ARE YOU READY?」は魂の解放ですね。
ライヴでの機能性のみならず、自分たち自身が置かれている状況と重ね合わせたものでもありますね。「ANITYA」で岡野さんを起用したのはなぜだったのですか?
鋲
曲は何でも良かったんですけど、このタイミングがすごく大事だと思うんですよ。やるからには、ひと皮剥けて再出発したかったし、ちょっと新しい風を取り入れたいなと。この曲は歌詞は幻想的なんですけど、親しみやすいメロディーが岡野さんのアンテナに引っかかったと思うんですよ。俺は岡野さんが手掛けてきた作品をいろいろ聴いてたりするんですけど、やっぱりあの人の世界がすごくあるんですよね。
マナブ
パッと聴いた感じは異色な感じがしましたね。もちろん今までやってきたことも入ってはいると思うんですけど、今は変わることに抵抗がないので、どんなふうに聴いてもらえるか、気になるところではありますね。
オープニングトラック「弔いの鐘」からして、本作の重厚なテーマを突き付けられますし、ピアノの調べで聴かせる「REMEMBER ME」もこのアルバムを締め括る象徴的な楽曲ですね。全てがひとつの確固たる想いの中にある。だからこそ、8月にリリースされる『覚醒』も気になります。
鋲
最後はしっかりと生き切らないと、話は成立しないと思うんですよ。気持ち良く『覚醒』に向かえるように、『昏睡』は落ちるところまで落とそうと。とはいえ、たった4カ月で覚醒できるほど甘い世界じゃない。何かしらきっかけになるようなものにしたい気持ちはあるんですけど、結果、バンドにとって“覚醒”になればいいなと思いますね。
ジン
今度のツアーも、とにかく自分たち的には楽しく回りたいと思ってるんですよ。初めて観る人も含めて、今回はより楽曲なりライヴなりを共有できたらなと思います。
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『昏睡』2015年04月22日発売徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 【初回限定盤A(DVD付)】
- TKCA-74211 3100円
- 【初回限定盤B(DVD付)】
- TKCA-74212 3100円