取材:石田博嗣

手応えがありすぎて具合が悪くなる

今作のテーマは“妖怪”ですが、ずっと“妖怪ヘヴィメタルバンド”と名乗って活動してきただけに、なぜ今なのですか?

妖怪というのは人の心を写すものなので、妖怪のことを歌うことは、逆説的に人の心を歌うことだという理念で今までやってきたんですが、もしも妖怪に特化したものを1stアルバムでやっていたら、ただの色ものバンドだと思われていたと思うんです。でも今は、陰陽座は“魑魅魍魎”というど真ん中のタイトルを付けて、妖怪の名前の楽曲をやっても企画ものとして受け止められない世界で唯一のバンドだという自負があるので、陰陽座にとって妖怪がどれほど重要なものなのかを示す意味で、今こそ妖怪に特化して徹底的にやろうと。

前作『魔王戴天』でバンドサウンドがタフになったから、このタイミングでバンドのコアな部分をテーマにしたと思っていたのですが、そうではなかったのですね。

力強さを見せたあとは懐の深さを見せたいっていう必然の流れで…まあ、常に2作先ぐらいを想定して進んでいるので、“今、妖怪っていう気分だった”というのではなく、数作前から『魔王戴天』の次は『魑魅魍魎』という流れは考えてました。

「酒呑童子」という重たくてオドロオドロしい曲で幕を開けるのですが、それもイメージしていたのですか?

そうですね。酒呑童子という妖怪の成り立ち…酒呑童子のことを歌っているだけではなく、そこに自分たちも重ねているんですよ。それに対してどういうアプローチが必要なのかというところで、こういうテンポで、こういうリズムで、こういう展開じゃないとダメだったし、この曲で始まらないとダメだったんです。

アルバムの中で印象的だったのが、大作の「道成寺蛇ノ獄」だったのですが。

姫の道成寺のお話をドラマチックな曲にしたいと思ったんですよ。恋いこがれて男性を追いかけて行ってしまう女の執念を蛇に例えている…もしかしたら実際は清姫という娘が男を追いかけて行ったっていうだけの話が、“蛇みたいに執念深くてね”ってなって、“蛇になってしまってね”に変わり、最後は“火を噴いて殺したらしいよ”ってなったのかもしれないけど、それって想像力とか野次馬根性といった人間の心の集約じゃないですか。かつ、好きで仕方なくて、どこまでも追いかけて行ったり、手に入らないならいっそ相手を殺してしまいたい…そこまで求める心というのは、どの時代であれ、男でも女でもあると思うんですよ。だから、妖怪を通して人間のことを歌うっていう意味で、すごくやりたかったお話だったし、それがひとつ形になったという手応えが強いですね。

「道成寺蛇ノ獄」に限らず、アルバムとして相当手応えのある作品に仕上がったのでは?

手応えがありすぎて具合が悪くなるぐらいです(笑)。結局は自画自賛なんですけど、例えば『魔王戴天』の時は誰かが“こんなの良くないよ”って言ったとすると、“どこがどう気に食わないんだ?”って言いたくなる自信だったんですけど、『魑魅魍魎』は“こんなの良くないよ”って言われても“あっ、そう”って思えて、“どこが?”って言う気にもならない。音楽は良い悪いではなくて、好き嫌いなので、嫌いだという人にまで無理に聴かせようとは思いませんけど、良いとか悪いとか言う前にとにかく聴いてみてもらえれば、絶対どこか好きになってもらえるという確信はありますからね。
陰陽座 プロフィール

オンミョウザ:1999年に結成された妖怪ヘヴィメタルバンド。男女ツインヴォーカル&スタイルの異なるツインギターを基盤に、圧倒的な表現力で勇壮メタルから叙情バラードまで、この世の“陰”と“陽”を多彩な角度から描いている。2001年のメジャーデビューを挟み、これまで10枚のアルバムを発表。陰陽座 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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