J.W.アンダーソン 17年春夏メンズコ
レクション - 自在なシルエットの裏
に眠る心地よいバランス

「長さ」に注目して、コレクションを紐解くと、様々なものが見えてくる。アシンメトリーに取りつけられた襟は片側が長く、先は丸くなっており、ある種アクセサリーのような存在感に。裾丈は膝まで伸び、ミニマルなボトムスとのバランスが良い。またアウターの袖は短く整えられ、柄のシャツが映えるように設定されている。

中でも、「長さ」で目につくのは、蛍光カラーが組み合わせられた、スーパーロングのトップスだろう。一見、ただ単に丈を長くしているようにも思えるが、左右で肩の位置が大きくずれていたり、リブの高さをずらしていたりと、アンバランスなデザインを施し、ストンとした“長方形”ではない“歪み”をもたらしている。

さらにワードローブを探索すると、「括り付けること」や「絞ること」による工夫の重要性に気付く。ボンバージャケットとミリタリーコートの中間のようなアイテムには、抽象画のようなモチーフと麻袋が付けられ、芸術とリアルが混濁する面持ちに。ノースリーブのノーカラーシャツは、ストレートのシルエットでミニマル。そこにボリュームのあるボトムスと、腰に巻いたハイゲージのセーターがインパクトをプラスし、味わい深いコーディネートに昇華させた。

これらのキーとなるテクニックを組み合わせ、表情豊かなコレクションを作り上げた今シーズン。アンダーソンらしい遊び心が、ファッションの新しさと力強さを示した。

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