【インタビュー】カサビアン最新作『
ヴェロキラプトル！』を語る：part3
「オアシスの穴は誰も埋められない　
俺達は俺達の空白を埋めていく」

いよいよ9月21日に最新作『ヴェロキラプトル！』を発売したカサビアン。アルバムリリースを受けメンバーのサージとトムが語る最新作と現在のUKロック・シーン。最終回となる第3弾は多くのファンが気になる、オアシス不在でトップが空席になっている現在のUKロックシーンの中でのカサビアンが担うポジジョン、そして今後の音楽シーンについて

トムは 「その空席を埋められるのは俺たちじゃない。だって、オアシスだろ？90年代とを動かしたブリットポップの象徴さ。あんだけデカいバンドには誰もなれない。あんな大きなムーヴメントと競うなんて馬鹿げている。同じことは二度と起こらないし、俺たちにしか埋められない空白を埋めていくさ。考えてもみろよ。90年代までのバンドは2000万、3000万、4000万枚と全世界規模でアルバムを売ったんだ。今は昔のようにアルバムを買わなくなった、時代が違うんだ。
幸い極たまに、そんな状況を打開するアーティストが出てくる。アデルを見てみろよ。彼女は見事に抜きん出て、アルバムを売った。最高じゃないか。ただそういうことが出来るバンドはそういない。めちゃくちゃ悲しいことだが皆アルバムの中のたった1曲にしか興味がない。今の人の価値観は「アルバム1枚に6ポンドも払うのかよ。全く酷い話だぜ」ってなもんだぜ」

サージも「あれだけ巨大なバンドは今後生まれないし、そういう時代は終わったんだ。でも、これからもいい音楽を作り続けるし、最高のライヴをやり続ける。だからこそ、俺たちはこのアルバムを作ったんだ。全部を通して聞けるアルバム、全ての曲が大事だから、全曲聞かなきゃ駄目なんだ。カサビアンはシングルを売りにしてるバンドなんかじゃない。」

今回アルバムのタイトルをなぜ、もっと大きくて強いティラノザウルスとかではなく『ヴェロキラプトル』にしたのか？トムは語る「ティラノザウルスは一番獰猛で、無敵の存在さ。もっと大きい草食のブロントサウルスやステゴサウルスなんかを平気でやっつけるんだ。ただヴェロキラプトルは集団で狩りをするからさ。ギャングのようにね。クソみたいにちっぽけな存在でありつけるものをあさる、階級的には超下っ端の恐竜たちだってことと、集団で攻撃するっていうところが、まあ、俺たちみたいだって思ったんだ。」

トムはデビューからの現在に至るカサビアンの活動そして成長や変化の過程をこう説明する
「昔サージの壊れたコンピューターで音楽を作り始めた時から、趣味は絶えず変化し続けていて、ヒップホップや、DJシャドウのようなエレクトロニック・ミュージックからクラウト・ロックなんかも聞いて、吸収したものがああいう音になって出てきた。ただ一方で歌やメロディーだって、あの頃からずっとあったんだ。前面には出てきてなかったかもしれないけど。
今回だって、俺たちのサウンドだ。ポップ・ソングだけど、俺たちのサウンドは失っていない。デビュー当時はギターを鳴らしているだけのバンドじゃないから、皆カサビアンが何者なのかわからなかったんだ。
ただ（今回のアルバム同様）16、17歳の頃から美しいメロディーは、俺たちの中にあった。デビューした時凄く尖っていたのは、イギリスのロック・シーンに不満を持っていて、誰も聞いたことのない最高のサウンドの、全てをマッシュアップしたような作品を出してやろうと思ったからなんだ。」

最後に来年一月の来日に向け日本のファンへサージからのメッセージ
「日本のみんなどうも。元気かい? 今回日本にまた来てみてどうだったかって、いい感じさ。戻ってくれて嬉しいよ。たとえほんの数日でも。来年1月にはツアーで戻ってくる予定さ。アルバムが9月に出る。だから、必ずアルバムを買って、ライヴにも来るように。」トム「そして1月にワープだ！」

【リリース情報】
カサビアン
ニュー・アルバム『ヴェロキラプトル!』
2011年9月21日発売
初回生産限定盤[CD+DVD] \3,570(税込) SICP3272-3
通常盤[1CD] \2,310 SICP3274
初回生産限定盤: 22曲/120分に及ぶフル・ライブDVD付盤
日本盤限定ボーナス・トラック3曲収録
初回のみ特典封入