【fhána インタビュー】
幅広く聴いてもらえる
きっかけになればと思い制作した
今年でメジャーデビュー10周年を迎えるfhánaが新体制となり、レコード会社を移籍しての第一弾シングル「Runaway World」をリリースする。表題曲はアニメ『逃走中 グレートミッション』(以下、アニメ『逃走中』)のOPテーマであり、彼らにとって新たなチャレンジの一曲。そんな楽曲に込めた今の想いをメンバーに訊いた。
もしも『逃走中』に出たら?
イメトレは完璧です!
レーベル移籍第一弾シングルということで、どんな意気込みですか?
佐藤
どんな環境であろうと頑張ることに変わりはないのですが、やはり気合いは入っていますね。それに今回の楽曲は今までfhánaが担当してきた深夜アニメのタイアップとは異なり、日曜日の午前9時というお子さん&ファミリー向けの時間帯に放送されているアニメ枠の楽曲なので、そういう面での新鮮さがすごくあります。今までfhánaの音楽を聴いていなかった人たちまで、幅広く聴いてもらえるきっかけになればと思いながら制作しました。
towana
初めて日本コロムビアの本社にうかがった時、歴史のあるレコード会社なので少し身構えていたのですが、とても明るく楽しい雰囲気で迎えてくださって。これは今まで以上に新しくて面白いことをやらせていただけそうだとワクワクしました。
kevin
僕は帯を締め直すみたいな気持ちです。日本コロムビアのスタッフさんとはこれまで以上に波長が合う感じがあって、みなさん冗談好きで、レコーディングスタジオでも笑いが絶えず、とても楽しく制作することができています。
「Runaway World」はアニメ『逃走中』のOPテーマです。その話をもらった時はどう思いました?
towana
最初にタイアップの話を聞いた時は、“あの『逃走中』がアニメに? しかも私たちがOPテーマにですか!?”と驚きました。
オリジナルアニメということで、それに対する楽曲制作はどんな感じでしたか?
佐藤
いろんなアニメのタイアップ曲を作ってきましたけど、過去一番大変でした。年末年始に泣きながら曲を作っていましたからね(笑)。正月であることも忘れて制作していて、先方もそれだけ熱を入れているし、アニメ業界に携わっている人たちはやっぱりすごいと改めて実感しました。
どういう部分が大変だったのですか?
佐藤
最初は完成版よりも少し明るい感じだったんです。でも、アニメサイドから『逃走中』はテレビ番組版でも“逃げる”という危機感やハンターが追いかけてくる脅威に緊張感、バトル要素もあるし、“絶対に生き残る”という決意とか、そういった緊迫した雰囲気をもう少し出してほしいという要望があって。ロックっぽいサウンドで速い曲は今までの僕たちの曲でもありましたけど、今回のサビのようなロック進行はありそうでなかったから、そこに辿り着けたのは、アニメサイドのディレクションがあったからだと思います。実際に完成したアニメと合わせて聴いた時に自分でも“完成版のほうが合っているな”と感じましたね。
towanaさんはこの曲を歌ってみてどうですか?
towana
fhánaとしても大事なタイミングでの表題曲になるから、今までとは違う部分を出したいと思いましたし、朝のアニメのテーマソングということで気持ちも違っていたので、すごく気合いを入れて練習をしてから本番のレコーディングに臨みました。入念に準備をしたかいがあって、歌録り自体はすごくスムーズでした。
サビ前で《行こう!》と歌っているのもいいですね。
towana
そこは、“いこう!”と発音するのか、“ゆこう!”にするのかで迷ったところです。歌の世界では“ゆこう!”と発音することが多いのですが、コロムビアのディレクターさんの話によれば、能動的な時は“いこう!”と言うほうが多いらしくて。ここは語感も含めてより自発的な印象のほうがいいということで、“いこう!”と歌っています。
ちなみに、テレビ番組版の『逃走中』を観たことがある人は、誰しもが一度は“もしも、『逃走中』に自分が出たら?”と想像したことがあると思います(笑)。『逃走中』のアニメのOPテーマ担当という部分で、fhánaの出演もあり得なくはないですよね。
佐藤
僕は地図を見るのが苦手だから、いろんなミッションに挑戦してもその場所に辿り着けないまま終わるんじゃないかな?(笑)
towana
私も一歩も動けなくて、見つかるまでどこかでずっと隠れていると思う(笑)。やっぱり出るとしたらkevinくんでしょ! ダンスもできて、fhánaの中で一番動けるし。
kevin
これは不思議な縁なのか分かりませんけど、映画『マトリックス』が大好きだったからなのか、スーツを着た人に追いかけられる夢をよく観るんですよ。なので、ある意味でイメージトレーニングは完璧です!
カップリング曲「Spiral」はAメロを佐藤さんが歌っていて、kevinさんがラップを担当しているという。
佐藤
「Spiral」は全員参加の曲です。Aメロを僕が歌い、サビはtowana、kevinがラップで入って。ここまでみんなで歌っている感じは初めてです。そういうコンセプトで作ったわけではありませんけど、結果的に移籍&新体制の一発目として相応しい曲になりました。
towana
歌詞もラップ以外を私が書いて、kevinくんのラップのところはいつも作詞をしてくださっている林 英樹さんが書いてくれています。楽曲クレジットに林さんを含めて全員の名前が並んでいるというのも珍しいし、偶然の流れでそうなりましたけど、すごくいいかたちになりました。
Aメロを佐藤さんが歌うのは最初からそうしようと?
towana
実は紆余曲折あって(笑)。最初は普通に私が歌う予定で作っていたんですけど、声のキーチェックに入ったら音域的に歌いづらくて。佐藤さんかkevinくんが歌うか、メロディーを変えるかしないといけないという流れになったんですけど…
佐藤
ちょっといろいろな作業が重なって、僕がそのやりとりをしたことを忘れていたんです。レコーディングの前日に“Aメロどうしますか?”とtowanaから連絡がきて、新たにメロディーを作る時間はもうないし、それじゃあ自分が歌うしかないかとなって。
towana
今までもコーラスを歌っていたのに、メインヴォーカル扱いになると、そんなに心持ちが違うのかと思いましたね。
佐藤
いつもコーラスは歌っているけど、コーラスは自分の声も楽器扱いで、アレンジの一部みたいな感覚なので気が楽なんです。でも、今回はAメロをちゃんと歌わなきゃいけないから“これはヤバい!”と焦りましたね。