Rei、ジャムセッションで音楽の喜び
を分かち合った『Rei presents “JA
M!JAM!JAM!2022”』大阪公演レポート

『Rei presents “JAM!JAM!JAM!2022”』2023.2.28(TUE)大阪・ビルボードライブ大阪
2月28日(火)に大阪・ビルボードライブ大阪にて、シンガー・ソングライター/ギタリストのReiが立ち上げたセッションプロジェクト『Rei presents “JAM!JAM!JAM!2022”』が開催された。本公演はReiが流動的なメンバーとオリジナル曲を中心に、新たな解釈で再構築するもので、2021年から年末恒例のイベントとして開催してきたもの。本来であれば公演名の通り、昨年末に開催予定だったが、Reiのコロナ感染による体調不良のため開催が延期。待ちに待った振替公演、今回は2ndステージの模様をお届けする。
今回のステージに参加するのはCHAIのYUNA(Dr)、Suchmos、賽のTAIHEI(Key)、同じく賽の岩見継吾(Wb)、佐瀬悠輔(Tp)と、個性派揃い。極上の音体験を楽しめるビルボードライブをステージにし、バンマスであるReiがシンガーとして、ギタリストとして、どんなステージを生み出していくのか。観客はみな食事やお酒を楽しみつつ、本番の時を待っていた。
開演直前、楽屋のほうからメンバーの笑い声が聞こえる。2ndステージともなると肩の力も抜け、良い感じにリラックスしたプレイを楽しめるのも魅力のひとつだろう。定刻ちょうど、メンバーがステージインし、ウッドベース、トランペット、ドラム、キーボードと各々が音を確かめ合う。そこからジャジーな音色へと流れると、会場のテンションが一気に引き締まっていくのを感じる。ドラムのビートが華やかに跳ね、ベースがぐっと太いリズムで バンドの音を持ち上げる。会場が程よく揺れ出したところへ、Reiがステージにイン。
Rei
この日の衣装はデコルテが美しく映える、ボリュームのあるオフショルダーのブラックドレス。スリットにヒール、シックな装いがいつもの華奢な彼女の姿をぐっと大人の印象に見せてくれる。ギターを抱えたかと思いきや、バンドの音にさらりと混ざりあっていくRei。シックなドレスにフライングVのギターを合わせるなんて、彼女だからこそ。拡声器を使い、シャウトをかましつつメンバーを紹介し、くるりと手を回して観客に挨拶すると、「”metropolis”」で、1曲目からバンドメンバーが放つ音色に自らの音を混ぜこみ、この日限りのサウンドを披露していく。
Rei
軽快なスイングビートにノスタルジーなメロが絶妙にハマる「Tumblin’ 」。ギターをガシガシと弾きこみ、バンドのグルーヴをぐっと高めていく。この日のステージ、Reiはバンマスであり、シンガーであり、ギタリスト。バンドをアジテートしながら、自らのパフォーマンスも高めていくため、ステージ下手からバンドメンバーの表情をじっと見つめ、最高の瞬間を待つ。続く「New Days」、複雑に絡んでいくバンドサウンドにハイなボーカルが絶妙に感情を揺さぶっていく。Reiのギターソロも遊び心たっぷりで、「もっといけ!」と言わんばかりにバンドメンバーがReiの音を、表情を注視。少しの音色の変化でさえも瞬時に察知して拾い上げ、さらに極上の音で返していく。
Rei

TAIHEI(Key)

次曲は「DANCE DANCE」「COCOA」とご機嫌なナンバーを連発。卓越したギターソロはもちろん見応えがあるし、英語と日本語を混ぜこんだポップな歌唱はまるで楽器のようにバンドの音を一層華やかにしていく。バンドメンバーもReiの音に引けを取るまいと、極上の音色を返していく。メンバーは互いにフルスイングの音のキャッチボールをしているようで、楽曲を重ねるごとにバンドのテンションが上昇を続ける。観客もじっと座って観ているのが辛そうで、どんどんと体が前のめりになっていくのもいい。
Rei
MCではようやく実現した振替公演を喜びつつ、本公演のコンセプトについて語る。譜面がない、ルールもない。即興でその場のスパークやマジックを追求していくライブが心底楽しいと語る彼女。バンドについても、ジャムセッションがしたかったミュージシャンばかりを集めたと、改めてバンドメンバーを紹介。トランペットは東京公演ではSOIL&”PIMP” SESSIONSのタブゾンビが参加していたこともあり、同じ楽器でも演奏者が違うとまるっきり音色が変わるんだと感動しきりの彼女。「これぞJAMだ!」と、「(メンバーそれぞれに)いろんなバックグラウンドがある。聴く側にもきっと刺激があるはず」と、一夜限りのライブを存分に楽しんでほしいと言葉を送る。
Rei
岩見継吾(Wb)
ライブ中盤は、細野晴臣とコラボしたことで話題となった「ぎゅ」から。心が浮足立つように跳ねるビート、いまにもスキップをしだすようなベースのグルーヴに誘われ、愛しさを抱きしめるようにギターを奏でるRei。色とりどりのサウンドの中をノリノリで遊びまわるReiのギターはまるで小さな子供のようで、ステージを観ているだけで思わず微笑んでしまう。続く「Smile!」は音で風景を描いていくように、ひとつひとつの音色を一層大切に紡いでいく。曲中に「Daydream Believer」を差し込むなど、この日ならではのアレンジに観客も大喜び。ハンズクラップで曲に参加し、ステージをともに盛り上げる。
Rei
佐瀬悠輔(Tp)
「Categorizing Me」では細やかに曲の表情を作り上げていく5人。Reiの歌声はより艶っぽさを増し、リリックがよりくっきりとした輪郭を持ち、言葉のひとつひとつが心に染みわたる。かと思えば、ギターソロでは熱情のこもったプレイを披露! ブラックドレスに真っ赤な照明が当たり、のけぞるようにして渾身のギタープレイで魅せる彼女に目が奪われる。ドラムのYUNAも、CHAIでのプレイとはひと味違う迫力あるビートを叩き上げる。互いに音を欲し、どこで一線を画すか、駆け引きのようなセッションに観客からは大きな拍手が沸き起こる。
Rei
YUNA(Dr)
いよいよステージはラストスパートへ。「Lonely Dance Club」からスリリングなバンドサウンドを響かせていく。「Route246」は地元関西でのプレイということもあって、「イナイチ(国道171号線、Reiの地元・伊丹を走る国道)」バージョンで届けるなど、遊び心もちらり♪ ハイトーンボイスでシャウトをかまし、まくしたてるように歌い、ギターをかきならし、攻め込んだプレイで「JUMPIN‘JACKJIVE」「What Do You Want?」まで駆け抜け、本編は終了。ギタリストとして、ボーカリストとして、バンマスとして、唯一無二のステージをアジテートした彼女に、観客は大きな拍手で称賛の想いを届けた。
『Rei presents “JAM!JAM!JAM!2022”』
『Rei presents “JAM!JAM!JAM!2022”』
アンコールでは、3月からスタートする春ツアー『Rei Spring Tour 2023 “versus DRUMMER”』について告知。「VSドラマー」をコンセプトに、リスペクトするドラマーと1対1でプレイするという、新しいスタイルでのライブに挑戦するという。そして今回の『JAM!JAM!JAM!』ツアーで、改めて音楽への想いが高まったと語る彼女。「(人は)逃げる場所、安全な場所が必要。自分にはステージやスタジオで音を出している瞬間こそがそう。安全な場所があることで生きていける。みんなにとっても、音楽が、ライブがそういう場所であればうれしい」と想いを伝え、「eutopia」をソロでプレイ。最後はバンドメンバーと「BLACK BANANA」で最後の瞬間まで互いを高めあったプレイを見せつけ、ステージの幕が閉じた。
『Rei presents “JAM!JAM!JAM!2022”』

『Rei presents “JAM!JAM!JAM!2022”』

取材・文=黒田奈保子 撮影=ハヤシマコ

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