井上瑞稀、本髙克樹らが、“好き”に
向かって突き進むヲタクたちの熱い青
春を描く 青春POP ROCK『ルーザーヴ
ィル』ゲネプロレポート

イギリスのロックバンド・Son of Dorkのデビューアルバム「Welcome to Loserville」の曲を使ったジュークボックスミュージカル『ルーザーヴィル』。ウエストエンドで上演されるやいなや大ヒットし、2013年のオリヴィエ賞、ベストニューミュージカル賞にノミネートされるなど高評価を得た。ヲタクな高校生たちの日常や恋愛を、疾走感あるポップロックに乗せてコミカルに描いた新感覚の傑作ミュージカルだ。
演出はストレートプレイやミュージカル、2.5次元舞台まで幅広く手掛けるウォーリー木下。翻訳・訳詞にミュージカルを中心に振付戯曲の翻訳などの分野にも活躍の場を広げている福田響志、音楽監督に現役ヴァイオリニストとしても活動するNAOTO、振り付けにダンスエンターテインメント集団・梅棒が担う。
主人公のコンピューターヲタク・マイケルを演じるのは、今回は初の単独座長となるHiHi Jetsの井上瑞稀。マイケルの親友・SFヲタクのルーカス役に7 MEN 侍の本髙克樹、頭脳明晰な転校生・ホリーに高月彩良。マイケルたちをいじめるエディを山本涼介、彼の恋人・レイアを青野紗穂と、フレッシュさと実力を兼ね備えたスタッフ・キャストが顔を揃えた。
初日を前にした会見には、井上瑞稀、本髙克樹、高月彩良、山本涼介、青野紗穂の5名が登壇した。
――まずは意気込みをお願いします。
井上:無事に初日を迎えられることを嬉しく思います。みんな個性的ですし、ハンドマイクを持って歌うシーンなどもあるのでぜひ楽しんでください。
本髙:ミュージカルナンバーがたくさんありますし、今回のカンパニーは同世代が多いこともあってみんな仲良し。もちろん井上とも仲良くなっていますので、親友の関係性にもぜひ注目していただけたらと思います。
高月:音楽が魅力的で、31曲あるんですが、いろんな表情を持っています。飽きずに楽しんでいただける舞台になっていると思います。
山田:僕はいじめっ子のエディを演じます。観にきてくださったお客さん全員に嫌われるよう、ここにいる二人(井上、本髙)含め、オタク四人を心の底から楽しんでいじめたいと思います!
青野:パワーやパフォーマンスが魅力的な作品です。皆さんにも学生の頃に戻って観ていただけたら嬉しいです。
――井上さんは初の単独座長です。
井上:すごく緊張しています。新橋演舞場には『少年たち』で何度か立ちましたが、それはメンバーや美少年のみんなで座長だったので。今回はプレッシャーと責任を感じています。みんなに助けてもらいながらここまできました。座長っぽいことをまだできていないんですが、千秋楽までに恩返しできたらと思っています。とりあえずカンパニーTシャツを作っているところです。
一同:ありがとうございます!
井上:昨日本髙に「俺も一緒に作ったことにしていい?」って言われて。二人で作らせていただきました。
本髙:名前だけじゃなく、ちゃんと半分出資しました!
――先ほど「みんな仲良し」というコメントがありましたが、具体的には。
本髙:(井上は)まだ人見知りしてるよね。
山本:目が合わないもん。
井上:エディはやっぱり怖くて。(役柄として)いじめられるから。
山本:目が合ったら会釈されるんですよね。
井上:席が近い人同士でよく喋っていたので、レイアさんたちは盛り上がってるなあって。何話してたんですか?
青野:席が近いのが私と(高嶋)菜七ちゃん、Emaちゃん、山本さんで、中身のない話ばっかりしてましたね。山本さんがいつもグミを買ってくるけど1シーン終わる頃には全部食べてるから「食べるの早くない?」とか、「今日はチョコ買ってきた」とか(笑)。
山本:全然覚えてないです(笑)。
本髙:瑞稀はこのこと知らないよね。
井上:役柄も相まって、稽古場でも一軍の人たちって感じがあったからドキドキしちゃって……。
青野:それ仲良くなってるって言えないよね(笑)?
井上:でも役者として皆さん信頼してます! レイアさんはすごく歌がうまいので。
本髙:(井上だけ)席が離れてたのもあったんですよ。途中で席替えしたけどそれでもあんまり喋らなかった。
井上:余裕がなかったのもあって、あんまり皆さんと喋れませんでした。大反省です。
本髙:でもオタクチーム(塩田、島)とは仲良くなったよね。
――井上さん演じるマイケルと本髙さん演じるルーカスは作中で少し気まずくなるとのことですが、お二人自身はどうですか?
井上:本当に頼りっきりで、分からないことは相談しました。マイケルとルーカスの関係性通りというか。タイピングとかも教えてもらいました。
本髙:初めて人にキーボードの配列を教えました(笑)。「ここがPで……」みたいな。
――オタクが主人公の話にちなんで、皆さんがハマっているものを教えてください。
井上:バンドにハマっていろんな曲を聴いています。今作でも後ろで演奏してくれているのを見てかっこいいなと思いますね。一度挫折したけどギター熱が上がってきていて、ギターオタクになれたらなと。
本髙:本当はラーメン二郎ですけど、舞台に関連していうと歌ですね。青野さんや島(太星)くんが僕の好きな歌声。YouTubeで聞いたりボイストレーナーの方に教わったりしています。
高月:(演じるホリーが)特徴的なメガネをかけていて、慣れるためにかけていたらいいなと思い始めました。最近はネットショップでメガネばっかり見てます。
山本:PCにハマっていて、今回一人楽屋で暇なのもあってノートPCを買っちゃいました。動画編集とかしようかなと思ってます。
青野:私も一人楽屋で暇なので、ゲームをずっとやってます。ちょっと自慢なんですけど、今やっているゲームではアジア圏の上位5%に入りました(笑)。
――見どころとお客様へのメッセージをお願いします。
井上:それぞれのパッション、熱がすごく出ていて、ライブ感満載です。あと、今回は銀テープが出る曲があって、ミュージカルでは新しいなと思います。お客さんも手拍子をしたり自然と体が動いてしまったりすると思うので、一体になって楽しんでもらえたら。全力でノってもらえたら僕らも応えるので、一緒に盛り上がれたら嬉しいです。心躍る作品になっていると思うので、ぜひ劇場に足を運んでください!
>(NEXT)ゲネプロ写真&レポート
※以下、ゲネプロ写真及びレポートあり。

<あらすじ>
1971年のアメリカ。「負け犬」の名前がついた町「LOSERVILL」で暮らす高校生・マイケル(井上瑞稀)はコンピューターヲタクで、世界初の“ネットワークを通したコンピューターメッセージ(E-mail)”を開発すべく試行錯誤を重ねている。彼の親友・SFヲタクのルーカス(本髙克樹)をはじめ、個性豊かな仲間と共に好きなことに没頭する日々。だが、御曹司のエディ(山本涼介)やその彼女のレイア(青野紗穂)には、ヲタクであることをバカにされ、毎日のように絡まれる。
夢に向かって邁進していたマイケルは、とあるIT企業のコンピュータールームに不法侵入したことがバレ、学校のコンピュータールームへの出入り禁止を言い渡されてしまう。新技術の開発ができず、途方に暮れるマイケル。そんな時、宇宙飛行士を目指す秀才・ホリー(高月彩良)が転校してくる。

客席に足を踏み入れた瞬間、ポップで可愛らしい舞台セットにワクワクが高まった。映像や小道具を上手く活用したおしゃれで楽しい空間とレトロな衣装やヘアメイクが、SF感満載の70年代に連れて行ってくれる。キャストはもちろんバンドメンバーもカラフルな衣装に身を包んでおり、ステージ上どこを見ても明るくパワフルなパワーに満ちていると感じた。
マイケル(井上)、ルーカス(本髙)、フランシス(塩田康平)、マーヴィン(島太星)のヲタク4人組は、それぞれ違う個性を持っており実に魅力的。4者4様のヲタクっぷりが楽しく、彼らの友情や自らの“好き”に対する真っ直ぐな情熱に胸が熱くなる。
井上は、大好きなコンピューターに向かうキラキラした顔、エディにいじめられている時のおどおどした様子、ホリーとの距離感など、様々な表情を見せてくれる。最初はホリーとまともに会話もできなかったマイケルの成長が眩しく、応援したくなる主人公だ。
本髙はマイケルの頼れる相棒として活躍。友情の厚さを見せつつ、少しずつ生じる疎外感の中で揺れる思春期の少年らしい苦悩を切なく表現。塩田と島はノリよく元気にグループを盛り上げ、等身大の少年たちの賑やかさを描きだす。
ヒロイン・ホリーを演じる高月は、確固たる目標と芯を持つ強い少女を好演。エディにも毅然と立ち向かう姿が眩しく、マイケルたちが好印象を抱くのも納得の魅力を放っていた。
山本が会見で「観に来たお客さん全員に嫌われたい」と言っていた通り、エディはヲタク4人や取り巻きのウェイン(柴原直樹)とヒューイ(鈴木凌平)をはじめとする全キャラクターに対して俺様全開で接する嫌な奴。だが、突き抜けたおバカなせいで台詞の端々に愛嬌があり、憎みきれないヒールになっている。
青野はエレイン(Ema)とサマンサ(高嶋菜七)を従えた学校の女王的な存在・レイアを、キュートに堂々と演じる。ネタバレになるため詳細は伏せるが、彼女たちのストーリーも見逃せない。
変わり者・はみ出し者にスポットをあて、彼ら自身の成長や周囲に与える影響をエネルギッシュに描いた本作。爽やかながらパンクな雰囲気もあるキャッチーなメロディの楽曲とキャラクターの心情がまっすぐにのった歌詞も作品を大きく盛り上げている。キャスト陣はしっとりした曲からポップな楽曲、ハードロックまで歌いこなし、観る者を夢中にさせてくれる。
宇宙や近未来を思わせる演出・パフォーマンスがあったり、SFの名作にまつわるワードが出てきたり。ちょっとした伏線になっている部分もあり、クスッと来る場面も。映像や照明、小道具を活用した幻想的な演出も得意とするウォーリー木下らしく、美しい世界が次々に描き出されるのも大きな魅力だ。
フレッシュなキャスト陣が演じる、ヲタクたちの一風変わった青春ストーリー。たくさんのワクワクと前向きなメッセージを受け取り、キャスト陣と一体になって盛り上がることができる本作を、ぜひ劇場で体感してほしい。
本作は3月5日(日)より新橋演舞場にて上演され、4月6日(木)より大阪、4月20日(木)より広島、4月26日(水)より愛知と、各地で公演が行われる。

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