BLUE ENCOUNT、「忘れんなよ、今日の
景色!」6年振りとなる2度目の武道館
ワンマンで史上最高のブルエンを見せ
つける

BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023. ~knockin' on the new door~THE FINAL

2023.02.11(sat) 日本武道館
「あなたと俺たちが生きてきた史上、一番の景色作りましょう」
最初のMCで田邊駿一(Vo&Gt)が宣言した通り、この日はこれまで多く見てきたブルエンのライブでも、一番の景色を見せてくれたと断言出来る。2016年10月以来、約6年ぶりとなる、自身2度目の武道館ワンマンを開催したBLUE ENCOUNT。昨年10月にスタートした「knockin' on the new door」ツアーのファイナルかつ、春からアメリカに移住して音楽活動を行う辻村勇太(Ba)の渡米前ラストワンマンと、ブルエンにとってひとつの節目となった重要な夜。武道館に住むロックの神様が味方したのか、この日のライブはマスク着用ながら、声出しが解禁。コロナ前の風景がようやく戻ってきたような武道館を埋め尽くす観客の声援や合唱も後押しし、間違いなくブルエン史上最高のステージとなった。
BLUE ENCOUNT 撮影=ヤマダマサヒロ
BLUE ENCOUNT 撮影=ヤマダマサヒロ
開演時間となり、ツアータイトルである「knockin' on the new door」をイメージしたOP映像がスクリーンに流れると、舞台袖で円陣を組むメンバーの映像へと切り替わる。「全力で行くよ!」と声をかける田邊に3人が「おぉっ!」と気合い十分に答え、SEと観客の声援に迎えられてメンバーがステージに登場。それぞれが定位置に付くと田邊にスポットが当たり、自身の間合いを取りながらギターの弾き語りで始まった1曲目は「アンコール」。この瞬間、この空間、この空気を噛み締めるように、たっぷり気持ちを込めた田邊の歌とギターが武道館に響く。<これからもあなたと 歌いたい>のフレーズを合図に勢いと疾走感溢れる楽器隊の演奏が重なると、いよいよライブが本格スタート。6年ぶりの武道館、期待と興奮に満ちた観客の突き上げる拳と歓声。まさに歌詞通り、ブルエンを渇望するアンコールが鳴っている、アンコールは続いてくのだ。
「BLUE ENCOUNT、日本武道館始めます!」と田邊が力強く宣誓して始まった「Survivor」から「ポラリス」と続き、自信に満ちた堂々とした歌と演奏で観客をブチアゲる4人。ツアーの成果やここまで積み重ねてきたものを実証する、高いライブスキルと研ぎ澄まされた歌と演奏で魅せ、武道館を目標とするのでなく、武道館がよく似合うバンドに成長していたブルエン。スクリーンにはそれぞれの笑顔が映り、武道館のステージを楽しむ余裕さえ見えるのは6年前との大きな違い。短いMCの前述した田邊の宣言に続いて始まったのは、高村佳秀(Dr)の力強いビートにオイ!オイ!と掛け声が上がる久々の光景に、ステージ上のパフォーマンスも激しさを増した「DAY✕DAY」。さらに江口雄也(Gt)がキレッキレのライトハンドで魅了し、コール&レスポンスで一体感を生んだ「ロストジンクス」。辻村のヘヴィで技巧的なプレイと、コーラスに声を重ねる観客の歌声が印象的だった「HEART」と続き、まさに“あなたと俺たち”が一緒になって、丁寧にライブを作り上げた前半戦では、新曲「vendetta」も披露。
田邊駿一 撮影=ヤマダマサヒロ
辻村勇太 撮影=ハマノカズシ
グルーヴィーかつテクニカルな演奏に、ハンドマイクの田邊が強いメッセージをラップで放つ、彼らには斬新なスタイルの「vendetta」。田邊と辻村が対峙して、ヒリヒリした雰囲気のラップとベースのバトルで魅せて会場を沸かすも、曲終わりのMCで「緊張したぁ~、新曲!」と顔を緩める田邊と「瞳孔開きすぎて、白目になってたよ」と笑う辻村。さらに「ラップバトルの部分だけ緊張した。あそこだけリハーサル2回やったから!」と明かす田邊に客席から笑いが起きてと、カッコつけきれないのも彼ら。メンバーそれぞれの6年の変化を語ったMCでは、田邊がついに自動車免許を習得したことを報告。得意げな田邊に「3人で機材車を運転してた頃に欲しかったよ!」とメンバーが総ツッコミしたりとでわいわいトークをした後は、「行こう、最高を超える旅へ」と始まった「コンパス」、「ルーキールーキー」でガッチリ音を合わせる。思い切り緩く、思い切りカッコよく。この緩急付けたライブ運びも人間らしく、ブルエンのライブの面白さであり魅力。
江口雄也 撮影=ハマノカズシ
高村佳秀 撮影=ヤマダマサヒロ
辻村が「武道館! 武道館!」と煽って客席を沸かし、田邊が「絶対に俺たちとあなたの物語は終わらせないからね」と告げると、会場中の大合唱で始まったのは、デビュー前から歌っている「NEVER ENDING STORY」。あの頃とは明らかに異なる風景で、あの頃となにも変わらぬ気持ちで歌うこの曲がグッと胸に染み入る。さらに母校やスタジオ、ライブハウスといった彼らにとって懐かしい風景が散りばめられた、バンドの歴史を振り返る映像が流れ、センチな気分を煽ったところで始まった曲は「city」。ここに至るまでの決して平坦ではなかった道筋を振り返り、この居場所をこれからも守り続け、さらに大きな街にすると決意し、確認するように、気持ちを込めて歌う田邊に胸を熱くしていると、続く「Z.E.R.O」と「虹」はストリングス隊を迎えての美しく壮大な演奏で魅了。田邊のファルセットもよりエモーショナルに響く、武道館ならではの贅沢でスケール感ある演奏に、田邊が「(「虹」が)今日、やっと完成した気がします、ありがとうございます」と満足そうな表情を浮かべる。
「これから見といて!としか言えないけど、しっかり頑張ってくるね」と辻村が渡米に向けての意気込みを語ったMCでは、「ここから俺たちが作る曲がどう変化していくか? それが楽しみでしかたないわけ」と高村が語ったり、湿っぽさは一切無し。明るく前向きな4人の姿にファンが安心していると、「今日やりたいのは辻村の壮行会とかじゃなく。今日、俺たちがここにいる理由は「なによりも主役はあなただ」ということだと思います」と、田邊が語りかける。「今から歌う歌、これをあなたと一緒にこの場所でやりたかった」と、始まった曲は「もっと光を」。会場中の大合唱で始まったこの曲が会場にいる全ての人にエールを送るように、眩く光る。僕は前回の武道館で、本編ラストに演奏した風景を思い出し、「なんだ、ブルエンは6年前となにも変わらないじゃないか」と思っていた。時代が変わろうとも、環境や状況が変わろうとも、彼らはいつだってあなたのために光を届け続けてきただけで、芯の部分はなにも変わらない。そして辻村が渡米してバンドの形態が変わっても、それはきっと変わらないはず。そう考えると、大きな変化を目の前にしても明るく前向きな4人の姿も、すごく納得出来た気がした。
BLUE ENCOUNT 撮影=ハマノカズシ
BLUE ENCOUNT 撮影=ハマノカズシ
「#YOLO」、「VS」と盛り上がり必至のライブチューンを畳み込んだ後半戦。広いステージを駆け回って武道館を思い切り楽しむメンバー、力強く掛け声を上げて熱狂する観客。「バッドパラドックス」の突き上げるダンスビートで武道館をダンスフロアに変えると、ライブはいよいよクライマックス。「何年経っても、全然完璧な人間になれないんだよ。でもね、完璧じゃなくて良かったなと思って。完璧じゃないから、「手ぇ貸してやっか」っていろんな人たちに出会えてここにいて、あなたに出会えたんだと思う。だから偉そうに言うよ、完璧になる必要なんてないんだよ」と語り、「ただ生きてさえいれば、俺がこの3人と出会えたみたいに。この4人であなたに出会えたみたいに。あなたもきっと大事なものに出会えると思うよ」と一人ひとりに向けて言葉を贈る田邊。「いまから歌う歌が、あなたにとって新しい扉になりますように」と始まった曲は、このツアーのテーマ曲とも言える「DOOR」。
一音一音に思いを込めた丁寧で力強い演奏、語りかけるような優しい歌声。<足りないものは次の扉の前にあるから>と歌う希望と温かみに溢れるこの曲から、「明日からまた思いっきりやって来いよ、一緒に生きていきましょう」と始まった本編ラストは「青」。いまをもっと愛してやれ、「生きる」を重ねる、明日こそ今日より笑えるように。いま、あなたに伝えたい思いや言葉を全身全霊の歌と演奏で届けたこの曲は、ひとつの節目となる重要な夜を締めくくるに相応しいものだったし、「主役はあなただ」というここにいる理由を実証していたし、なによりブルエンの今後に大いに期待させる素晴らしいエンディングだった。
BLUE ENCOUNT 撮影=ヤマダマサヒロ
BLUE ENCOUNT 撮影=ハマノカズシ
アンコール代わりの「もっと光を」の大合唱に、「この光景も何年ぶりだろう?」と思いグッときていると、ステージに登場したのは物販隊長の高村。広いステージを右へ左へと全速力で駆け回り、物販のラバーバンドをハイテンションに紹介する物販紹介で爆笑を取る中、メンバーがステージに登場。「せっかくだから、もう一曲だけストリングスのみなさんとコラボして良いですか?」と、ストリングス隊を迎えての「それでも君は走り続ける」で始まったアンコールでは、「今年、新しいお知らせがめっちゃあるんで。今年の俺たち、マジで期待してて下さい」と今後の活動に期待を煽り、「だいじょうぶ」、そして彼らにとっての重要曲である「HANDS」を披露。会場中の手が上がり、大合唱する圧巻の光景に、「忘れんなよ、今日の景色! これから何回もライブやるうちの、今日は2回目の武道館です。これからもよろしく!」と力強く告げた田邊。ここがゴールではなく、あくまで通過点。ここまで全力で走り続けて、2度目の武道館を通過して、ここからまた全力で走り続けるであろうBLUE ENCOUNT。この日の景色をしっかりまぶたに焼き付け、これを超える素晴らしい景色に期待したい。

取材・文=フジジュン
BLUE ENCOUNT 撮影=ヤマダマサヒロ
BLUE ENCOUNT 撮影=ヤマダマサヒロ

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