【諸星すみれ インタビュー】
前向きな気持ちになれる、
お守りのようなシングルができた
全てのタイミングには
ちゃんと意味がある
また、カップリング曲「約束」は諸星さんが初めて作詞作曲されています。その経緯というのは?
「ある打ち合わせの時にディレクターさんから“作詞は興味ある?”と訊かれ、いずれはやりたいと思っていたことだったので、不安はありつつもすぐに“やってみたいです!”と答えました。曲は歌詞が出来上がり次第、作っていただく方を決める予定だったのですが、歌詞が出来上がった時になんとなくメロディーも浮かんできたので、結果的に作曲もするかたちになったんです。
メロディーは歌詞とほぼ同時に降りてきたとのことで、それはどういう状況だったのですか?
少しほろ酔いの状態でベッドに入って歌詞を見直していた時に、なんとなく曲をつけてみようと思い、声だけで録音してみたんです。あくまでイメージとしてのつもりだったから、音楽的な要素もほとんど無視の拙いものではあったのですが、好奇心が上回ってしまい“えーい、送っちゃえー!”と、ほぼ深夜のテンションでディレクターさんにデータを送ってしまって…。そうしたら後日、曲を採用していただいたことと白戸佑輔さんがアレンジしてくださることを知って、驚きと嬉しさとちょっとの恥ずかしさを感じました(笑)。改めて作詞や作曲をされる方々のすごさを実感しましたし、拙い歌詞とメロディーをこんなに素敵に仕上げてくださった白戸さんや演奏者の方々に本当に感謝しています。
やさしさと芯の強さが感じられる歌声だと感じたのですが、どんなことを意識して歌ったのですか?
「叶える」と「I Will Go On」がとても前向きな曲なので、「約束」はそれよりも少し落ち着いて、そっと寄り添えるような曲にしたいと思ったんです。前を向くための準備を整えるような、まさに今の自分の気持ちを書いた曲でもあります。良い過去も悪い過去も懐かしむ気持ちで愛せるようになれば、自分は前に進めていると実感できますし、いらないものも、捨てていいものもないと思えます。歌詞に出てくる《大好きなあなた》は家族だったり、友達だったり、昔の自分だったり、ファンのみなさんだったり、私の中でいろいろな顔が浮んできたので、ここまで頑張ってきた自分や大切な過去、大好きな人を思い浮かべながら聴ける、やさしい曲になるように歌いました。
3曲目の「I Will Go On」は前向きで力強い楽曲なのですが、テーマにしたことや歌う上でイメージしたことは何ですか?
次々と移りゆく景色を思い浮かべながら歌うと自然と心が躍り、とても楽しいレコーディングでした。《思わせぶりな毎日が/こんなはずじゃなかったねと/ふわりふわり 揶揄うように笑うけど》という歌詞が特に印象的で、柔らかそうに聴こえてかなり刺さるものがありました。《大丈夫じゃなくたって大丈夫》も、その強引さに最初は“ん!?”と思いましたが、この曲を象徴するフレーズのひとつだと思い、今ではとても気に入っています。迷うことがあっても、困難が降りかかっても、ぶれることのない芯の強さを感じて、“全部楽しんじゃうからどんなことでもかかってこーい!”と、自分の中のポジティブを最大限に引き出して歌いました。
今回のシングルの制作を経て、感じたことや得られたものは?
これまでの全てのレコーディングを含め、その時に自分が求めているような曲を歌わせていただけていることに不思議な縁を感じています。私のイメージに合わせて作っていただいたものもありますが、それ以外も全て、自分を導いてくれたり、絡まった気持ちを解いてくれたり、その時々で必要だと感じる曲に出会えていることが幸せだし、とてもありがたいです。今回のシングルに収録されている曲も、やさしく、力強く、自分の背中を押してくれました。また、作詞作曲にも挑戦することができて、表現の幅がまた新たに広がったように思います。全てのタイミングにはちゃんと意味があるんだなと改めて感じました。
今回のシングルはどんな作品が作れた手応えがありますか?
私が背中を押してもらったように、聴いてくれるみなさんにとっても前向きな気持ちになれる、お守りのようなシングルができたと思います。叶えたい夢や果たしたい約束、進んでいきたい道など、みなさんがそれぞれに持つ大切な想いを守れるような、そっと後押しできるような、そんな作品に仕上がりました。
収録されている3曲は夢や目標などを追いかける姿勢が通じていると思いました。諸星さんが今、“叶えたい”と思っている夢や目標、辿り着きたいと思っている場所というのは?
コンサートがしたいですね。まだみなさんの前で披露していない曲もあるので、いつかぜひ生の歌声と演奏で聴いていただきたいと思います!
ライヴと言えば、初回限定盤には2020年に開催したオンラインミニライヴの映像を4曲収録していますが、観どころや当時どんな気持ちだったか教えてください。
クリックなしの一発本番はものすごく刺激的でした。と言っても、私はただ気持ち良く歌っただけで、それに合わせて演奏してくださったみなさんが本当にすごすぎて、歌いながら鳥肌が立っていました。あのような機会をいただけて光栄でしたし、忘れられないミニライヴになりました。あの感動を再びお届けできるのがとても嬉しいです。
では最後に、2023年はどんな活動をしていきたいですか?
学校の縛りがなくなって時間に余裕ができたので、演劇など長い時間をかけてひとつの役と向き合う芝居がしたいです。あとは、これまでの音楽活動で得たものを活かして、いつかミュージカルにも挑戦できたらいいなと思っています。みなさんに生の芝居や歌声を届けられる機会が増えたら嬉しいです!
取材:榑林史章