YOASOBI、ももクロのサポートプレイ
ヤーとしても活躍する やまもとひか
るがソロ活動本格始動 彼女の描く未
来とは

若手の女性ベーシストとして一目置かれる存在のやまもとひかる。いまや、YOASOBIももいろクローバーZのサポートプレイヤーをこなすほか、『しおこうじ玉井詩織坂崎幸之助のお台場フォーク村』(フジテレビNEXT)にもレギュラー出演するなど、人気プレイヤーとして引っ張りだこだ。しかも、2019年11月にはデジタルシングル「DOGMA」でソロ・デビューも果たし、“歌って弾ける”ベーシストとして可能性を広げている。
来る2023年の1月20日にはコロナ禍で延期になっていた初ソロライブ(Veats Shibuya)の開催も決定!ここでは、多方面から注目を集める彼女に今後の展望や音楽への思いなどを語ってもらった。
SCANDALのTOMOMIの影響でベースを弾きながら歌うようになった。
―──テレビなどで目にする機会も多いひかるさんですが、そもそも音楽に興味を持ったキッカケは何だったんでしょうか?
実は父がドラマーをやっているんですが、特に「楽器をやったら?」とか言われたことはなくて。ただ、家の中では常に音楽が流れていたり、小さい頃からお父さんがドラムを叩くライブには足を運んだりして、ナマの音楽に触れる機会は多かったと思います。そういう環境だったので、自然に音楽関係の仕事につきたいなとは思ってました。
―――なるほど! でも、お父様がやっていたドラムではなく、ベースをチョイスされたのが興味深いです。
ドラムを触らせてもらう……というか、遊ばせてもらうようなことは確かに多かったです。今でも趣味としてドラムは叩いたりしますしね。でも、なぜかドラマーになろうとは思わなかったんです。
―――やっぱりドラムよりはギターやベースの方がフロントに出るポジションですし、そこも魅力だったんでしょうか。
あ、そうかもしれないです。幼稚園の年長さんくらいの時にサンタさん(親)に“ベースが欲しい”ってお願いしたんですよ。実際はギターかベースか迷いましたけどね。でも、幼稚園の卒業アルバムには“将来の夢はロックバンドのベースかドラム”って書いてるんで、ドラムのことも、ちょっとは考えていたのかもしれないですね。
―――完全に英才教育じゃないですか!
というか、音楽の道を選んだのは、ホントに自然な流れだったと思います。ただ、小さな子供にとってはベースって弦が太くて固過ぎまして。すぐに水ぶくれができちゃうんですよね。だから、それ以降は全然弾かなくなっちゃったんです(苦笑)。もう完全にベースがオブジェと化してましたね。
―――そんな(苦笑)。
それが小6の終わりから中学1年の始めくらいにSCANDALにハマりまして。バンドでベースを弾くTOMOMIさんを見て、“やっぱりベーシストになりたいかも!”って改めて気づいたんです。それが第2のキッカケですかね。私自身、よく「ベースを弾きながら歌うのって大変でしょ?」ってまわりから言われるんですけど、TOMOMIさんもベースを弾きながら歌うじゃないですか。その姿を見ているので、弾きながら歌うことには違和感がないんです。
―――なるほど、SCANDALが大きなキッカケになったんですね。納得です!
ベース同様、5歳くらいからピアノも習ってましたけど、ピアニストになれる気は全然しなかったんですよね。ただ、ピアノをやっていたおかげで、そこそこベースは弾けたんです。お父さんもお母さんもほめてくれるし、SCANDALの影響もあって、中2くらいの時には“私、ベースはいけるかも!”って思ってました(笑)。
―――ここでついにひかるさんの原型ができたんですね。楽器を手にしたら、その後はバンドを組みたくなるはずですが、ひかるさんはどうでした?
中2の8月頃に本格的にベースを始めて、その年の12月にはバンドを組んでましたね。その時はSCANDALのコピーバンドをやっていたんです。3年くらいは続いたかな。その後も違うバンドを組んだり、3つくらい(バンドを)掛け持ちしていたと思います。でも、結局、どのバンドも解散したりして、そこからはひとりで活動を始めました。
―――学生時代のバンド活動は卒業キッカケで解散することも多いですよね。
それでも最初に組んだバンドはプロを目指していたし、中学生にしてはいろんなハコでライブしたりしてたんですよ。しかも、SCANDALのコピーバンドコンテストで優勝したこともあって(苦笑)。
―――えっ! すごいじゃないですか!
その時、音楽事務所にちょっとお世話になったりしたんですが、結局本気でやっていたバンドが解散して“バンドはやっぱり難しいな~”って。それでもバンドをやりたい気持ちが強かったんで、ボーカルを探すためにアコースティックライブに足を運んだり、いろんな動画を見たりしてました。ただ……ボーカル探しはホントに難しい! だったら、ここはひとりで活動を続けて、自然にいいボーカリストと出会ったらまたバンドを始めようと思ったんですよ。まぁ、結局そのまま“ぼっち”が定着してしまいましたけど(苦笑)。
―――自分でいろいろできる人はソロが向いていますしね。
でもこの先、もしいい出会いがあれば、バンドを組む可能性も十分にあると思いますよ。
やまもとひかる
■ DMからの依頼が坂崎幸之助やももクロと共演するキッカケに。YOASOBIでもサポートベーシストとして活躍中
―――そんな中、ひかるさんはSNSを駆使したり、プレイ動画を上げたりすることで、キッカケをつかんだとうかがっています。そういう意味でもソロというスタイルは合っていたのかもしれませんね。
そうですね。いろんな依頼がSNSのDMを通して来たりします。今も出演させていただいている『しおこうじ玉井詩織✕坂崎幸之助のお台場フォーク村』(フジテレビNEXT)は、プロ一発目のお仕事だったんですよ。それも、番組のプロデューサーさんから、私がやっているSNSのありとあらゆるアカウントにDMが来ていて(笑)。どうやら坂崎(幸之助)さんが私のYouTubeの動画を見てくださって、「連絡を取って欲しい」と言ってくれたみたいなんですよね。それでプロデューサーさんから“来週の生放送でベースを弾きに来ませんか?”っていう連絡がきたんですよ。さすがにビックリしました!
―――自分の発信したことが届くのって、偶然という要素はありつつも、やっぱり実力があったからこそだと思うんです。
ありがたいです(苦笑)。初プロ仕事はよくわからないまま現場に行って、よくわからないまま終わったって感じでした。収録が終わったあとにはプロデューサーさんから「来週も来てみる?」って言われて。いちばん最初の出演ではアーティストとしてフィーチャーしていただいたんですが、次からは番組のバンドで演奏させていただくようになって、今も続いています。
―――いろんな人とセッションしたりすることで、刺激されることもありますか?
刺激されますね。特にバンド・スタイルってメンバー全員が主役みたいなところもあるじゃないですか。SCANDALがまさにそうでしたもんね。自分ではバンドの中の主役でいたいという気持ちも大きいんですよ。でも、サポートのお仕事もやってみたら結構面白くて、今も楽しくやらせていただいてます!
―――例えばYOASOBIやももいろクローバーZのサポートプレイヤーとしての活動って、すごく得るものも多い現場だと思うんです。そのあたりはいかがですか?
YOASOBIを支えるバンドって、職人的なサポートミュージシャンというよりは、コンポーザーのAyaseさんの昔からの知り合いばかりなんですよ。私だけ新参者って感じではあるんですけど、そういう意味ではすごくバンドっぽいんです。サポートバンドだけどバンドっぽいといいますか……すごく面白い活動ができていると思いますね。現時点では理想に近いスタイルかもしれません。他のメンバーも個々の活動をしていますし、私もアーティスト活動を頑張らなきゃって刺激を受けますし。なので、2023年は自分もソロとしてかなり動かなきゃって感じてます。
―――まさに2023年1月20日にはコロナ禍で延期になったソロとしての初ライブ(Veats Shibuya)が控えています。今にして思えば、延期になったことで逆にポジティブに感じることはありますか?
最初に決まった時は“早めにライブをやろう!”って感じで直近でスケジュールを組んだんです。当時は動いてみなきゃわからないよね!っていう勢いもあったので。もちろん、そこでライブができたらできたで、楽しかったとは思うんですよ。でも、今の方が絶対に自分が納得的できるライブができるんじゃないかなと。そういう意味では、今のタイミングでライブをやることになってよかったかもしれないですね。
―――サポートミュージシャンにはギターにvivid undressのyu-yaさん、ドラムには目眩SIRENの仄雲さん(YOASOBIのサポートメンバーでもある)が参加してますね。
今回はホントに自分の好きなミュージシャンの方に声をかけさせていただきました。実はyu-yaさんは私が一方的に好きなギタリストさんなんで、今回初めてお願いしたんですよ。なので、リハーサルで初めてお会いすることになるので、今から緊張してます(苦笑)。
やまもとひかる
■ 夢は“東京ドーム”でライブがしたい!
―――様々な経験が増えてきた今、“こういうアーティストになっていきたい”という理想像はありますか?
そうですね……理想はソロ・アーティストっていう存在でいられるミュージシャンでいたいとは思ってます。もちろん、ベースの腕が評価されて、ライブやセッションに声をかけてもらえるっていうのも嬉しいですけど。
―――これまで発表されたソロ作品では、幅広い音楽性がうかがえますが、特に好きなのはどういう楽曲なんですか?
音楽は雑食ですね。これからもいろんな曲に挑戦したいし、バキバキのプレイだけじゃなく、ベースがベースらしいことをやっているような曲もやってみたいです。
―――月並みですけど、ライブに関して夢はありますか? 日本武道館でやりたい……とか。
実は東京ドームでライブしたいと思ってます! ソロとしてなのか、必要とされて呼んでもらった現場なのか……それはまだわからないですけど、漠然と東京ドームでライブしたいっていう思いはあります。
―――そういう前向きな発言、いいですね!
気持ちとしては、楽しく活動ができたらなっていうのがいちばんだと思ってます。
―――ベースプレイヤーという部分で言えば、海外での活動も考えられますもんね。
そういえば、YouTubeには海外の方もたくさんコメントしてきてくれるんです。まぁ……私自身は日本語以外、まったくしゃべれないですけどね(苦笑)。ちょうど、12月にYOASOBIのお仕事でインドネシアとフィリピンに行ってきたばかりなんですよ。私にとっては、それが初海外で。もう全然言葉がわからなくて(笑)。身ぶり手ぶりで「チョップスティック、いただけますか?」って感じでゆっくりしゃべって大笑いされました(笑)。
―――そんな一面が(笑)。プレイスタイルからは想像できないです!
いやいや、普段ヒマな時間はひたすら寝てますよ(笑)。あとは動画見ながらお菓子食べてるか……そんな感じなんです。隙あらばベースを弾くみたいなタイプではないんですよ(苦笑)。だから久々にベースに触ると、初めて弾いた時みたいに水ぶくれができちゃったりして(笑)。
―――意外過ぎます。そんなひかるさんの初ライブ、楽しみにしています!
はい! がんばります! ぜひいろんな人に来て欲しいですね。
取材・文=海江 敦士、SPICE編集部 構成=SPICE編集部

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