70年代〜のスカ/レゲエ界に
燦然と輝く
トロンボーン奏者
リコ・ロドリゲスの大傑作
『Man From Wareika』

70年代末、英スカ・リヴァイバルの
筆頭、ザ・スペシャルズに加入

アルバムは、初期のレゲエを…もっとマニアックな言い方だとナイヤビンギ(ラスタの宗教性をバックグラウンドに持つレゲエ・ミュージック)を代表する名盤の一枚として扱われるだけでなく、今も特別なものとして位置付けられている。現在はダブ・ヴァージョンを追加した拡大版が出回っているが、こちらも必聴である。日本のミュージックシーン、特にMUTE BEATや初期の東京スカパラダイス・オーケストラなどにも、その影響を見ることができる。

高い評価を得ながらも、アルバムセールスはそれほど芳しいものでもなかったらしいが、先に紹介したようにボブ・マーリー&ウェイラーズのツアーに誘われたり、多くのセッションに招かれるなど、リコは尊敬を集め、マイペースな音楽活動を続けていたようだ。そのうち、リコはレゲエファンがあっと驚くような行動に出る。70年代末、パンクムーブメントがひと段落し、様々な音楽性のポストパンク勢が出現する中、ブラック&ホワイトが混在するバンド編成でファッションも2トーンでキメ、スカリヴァイバルとも言える音楽性のバンドが現れる。奇しくも昨年末にリード・シンガーだったテリー・ホール(Terry Hall)が急逝したばかりだが、その代表格とも言えるザ・スペシャルズ(The Specials)や日本でもホンダのCMに出演するなど人気を集めたマッドネス、ザ・セレクターなど、20代の英国の若者たちのバンドが出現したのだが、なんとリコがザ・スペシャルズに正式メンバーとして加入したのだ。このバンドでもリコは「A Message To You Rudy」など英国チャートでトップ10に入るヒットの誕生に寄与している。

この後もリコは長く音楽を続け、90年代に入ってからはジュールズ・ホランズのR&Bオーケストラにトロンボーン奏者、時にはヴォーカリストとして活躍している。2007年にはイギリスの音楽産業への貢献を称えられ、MBE(Member of the British Empire)に指名されるが、次第に体調を崩し、2015年9月4日、入院先のロンドンの病院で亡くなっている。享年80。

TEXT:片山 明

アルバム『Man From Wareika』1977年発表作品
    • <収録曲>
    • ■Disc 1
    • 1.This Day
    • 2.Ramble
    • 3.Lumumba
    • 4.Africa
    • 5.Man From Wareika
    • 6.Rasta
    • 7.Over The Mountain
    • 8.Gunga Din
    • 9.Dial Africa
    • 10.Africa
    • 11.Free Ganja
    • 12.Free Ganja
    • 13.Far East
    • 14.No Politician
    • 15.Firestick
    • 16.Ska Wars
    • 17.The Sidewinder
    • ■Disc 2
    • 1.This Day Dub
    • 2.Gunga Din Dub
    • 3.Africa Dub
    • 4.Lumumba Dub
    • 5.Dial Africa Dub
    • 6.Man From Wareika Dub
    • 7.Over The Mountain Dub
    • 8.Rasta Dub
    • 9.Ramble Dub
    • 10.Take Five
    • 11.Soundcheck
    • 12.Children Of Sanchez
    • 13.You Really Got Me
    • 14.Midnight In Ethiopia
    • 15.Shabeen
    • 16.Night Of The Bongo Man
    •  
    • ※ダブ・ヴァージョンを追加したリイシュー盤より
『Man From Wareika』(’77)/Rico

OKMusic編集部

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