70年代〜のスカ/レゲエ界に
燦然と輝く
トロンボーン奏者
リコ・ロドリゲスの大傑作
『Man From Wareika』
ロンドンを激震させた
レゲエムーブメントの波に乗る
その時期、マーリーのアルバムを出していたアイランドレコードはクリス・ブラックウェルという、早くからレゲエに入れ込んでいた白人がオーナーだったのだが、当時、レーベルの看板となるバンドの中にスティーヴ・ウィンウッド(スペンサー・デイヴィス・グループ、エリック・クラプトンを擁したブラインド・フェイスでの活動でも知られる)率いるバンド、トラフィックがあった。そのトラフィックのドラマー、ジム・キャパルディのソロアルバム『Short Cut Draw Blood』(’75)にリコは参加している。それもあってリコはクリス・ブラックウェルの知るところとなり、マーリーと並ぶ本物のラスタ、リコとアイランドは契約を交わす。
さっそくアルバムが制作されることになったのだが、アイランド側は一計を案じる。里帰りレコーディングを提案するのだ。相変わらず政情は不安定だったが、マーリーの成功もあってジャマイカはスカ/レゲエの震源地として盛り上がっており、リコも故郷に錦を飾る気分で帰国し、思い出深いワレイカ・ヒルで本作のレコーディングは行なわれる。個々の参加ミュージシャンについての情報がないのだが、ボブ・マーリーのアルバムにも参加しているセッション・プレイヤーから英国でのセッション仲間、そしてAlpha Catholic Boys Home時代の知り合いなど多彩な面子が揃っている。そして、本作のリズム隊を務めるのが、ドラムのスライ・ダンバー(Sly Dunbar)とベースのロビー・シェイクスピア(Robbie Shakespreare)で、後にレゲエ史上最強のリズム隊と言われるようになるふたりだった。彼らはジャマイカ内外のレゲエアーティストのレコーディングだけでなく、数多くのロック系アーティストからも共演を請われるようになる。その中にはボブ・ディランのような人物も含まれていたくらいだ。