【et-アンド- インタビュー】
春夏秋冬の曲を出すことで
季節の色を表現できるのが面白い
野島樺乃、栗本優音、モラレスきあら、山崎カノンによる新世代ヴォーカルグループのet-アンド-。今年は“春夏秋冬”をテーマにした楽曲を連続リリース中で、春の「花心」、夏の「夏海月」に続いて、第三弾となる秋曲「宵宵」が配信リリースされた。それらの楽曲に対する想いをメンバー全員に訊いた。
優音の書いた歌詞は、
言葉がきれい
デビューは2021年の夏ですけど、結成はそれよりも1年ぐらい前になるんですよね。
野島
はい。もともと私は愛知県で活動するSKE48のメンバーで、2019年に開催された『AKB48グループ歌唱力No. 1決定戦』の第1回で優勝しました。そして、もっと歌に特化したお仕事がしたいという相談を事務所の方ともしていて、それを機にプロデューサーの菊池一仁さんがプロジェクトを立ち上げて始動しようとしていることを教えてもらいました。まずは私の歌録りなどをして、そこからオーディションが行なわれて、この4人での活動が始まったんです。
『AKB48グループ歌唱力No. 1決定戦』が大きなきっかけになったんですね。
野島
はい。人生の大きなターニングポイントだと思いますし、そこで自信がついて、より歌が好きになりました。“歌をやりたい”と強く思えたきっかけでしたね。
そこに“歌が好き”という他のメンバーが加わって。
野島
モデルをやっていたり、ダンサーをやっていたり、ダンスヴォーカルグループをやっていたり、それぞれバラバラな経歴ですけど、私と同じで“歌が好きで、この世界で活躍したい”という気持ちのあるメンバーが集まってくれました。
それぞれどういう経緯で?
モラレス
私はエイベックスのアカデミーに通っていて、“きあらは今後ヴォーカルとしてやっていけたらいいね”と周りの方からも言っていただいていた中で、菊池さんのプロジェクトのオーディションがあることを知りました。“ぜひ受けたいです!”とすぐにお願いしてオーディションを受けたんです。
すごくいいタイミングでオーディションの話があったんですね。
モラレス
そうなんです。お話をいただいた時は高校3年生だったので、まだ地元の香川県にいました。大学生になるタイミングで東京に行く予定だったので、すごくいいタイミングでしたね。
栗本さんは?
栗本
私はもともと3年間ミュージカルをやっていました。辞めたあともどうしても歌がやりたくて、エイベックスの『キラチャレ2019』というオーディションを受けたんです。そして、歌部門で優勝することができました。それをきっかけに“プロジェクトがあるだけどどう?”と声をかけてもらって、菊池さんのもとでレコーディングをしたんです。オーディション用にレコーディングの仮録りをしている時からワクワクが止まらなかったし、初めてグループに入れるということ、それがヴォーカルに特化したものであることは、そのために『キラチャレ』を受けたと言っても過言ではないぐらいだったので嬉しかったですね。達成感もありました。
山崎
私も所属事務所の方から“やってみる?”と言っていただき、“やってみたいです!”と答えました。それで、菊池さんのところで声チェックをしてもらったんです。もともとはダンスヴォーカルユニットとして活動していて、みなさんの前でパフォーマンスするのが好きだったので、こういうかたちでまたパフォーマンスできるというのがすごく嬉しいです。
個性が集まった4人なので、やってみてかたちが見えてくる感じもあったと思いますけど、コロナ禍に入ってから活動が始まりました。リリースがあるだけでもファンの人たちも安心すると思いますが、活動開始からの1年はどうでしたか?
野島
コロナ禍初期よりは徐々にエンタテインメント業界も良くなってきましたけど、やっぱりコロナ前のことを知ってるからこそ、どうにもならないというもどかしさを感じますね。初めてワンマンライヴをやった時も、歓声もなくて拍手だけですし、MCをしていても声のリアクションがないので、無観客ではないんですけど、ライヴの一番の良さが失われている感覚でした。そこからスタートしたので、今年は野外フェスにも出演できたり、ミニアルバムも出せたり、リリースイベントでファンの方と直接コミュニケーションを取れる機会もあったりして、コロナ禍前と比べるとまだまだとは思いますけど、徐々に楽しみが増えてきたりしていると思います。
そろそろ声出しもできそうな状況ですしね。
野島
はい。コロナ禍ならではの盛り上がり方にも慣れてきたところはありますけど、やっぱり声出しができるのが一番だと思いますので、もうちょっとの我慢ですね。
そんな中、今年は春夏秋冬をテーマにした曲を連続で配信リリースしていくということで、面白い企画だなと思いました。
野島
春夏秋冬に合わせて曲を出すことになって、それぞれの季節の色というか、そういう曲ができるのが面白いし、楽しいし、例えば秋にライヴをするとなったら“宵宵だよね!”というイメージがつくのがすごくいいなと思いました。
春から振り返っていこうと思うのですが、第一弾は「花心」でした。
栗本
曲をいただいた時、春にぴったりな曲だなっていう印象でした。
栗本さんはこの曲でも作詞に参加されていますね。
栗本
はい。季節が“春”で明るい曲調だったので、応援ソングに持っていきたいと思って。物事の始まりには迷いとか不安があると思うんです。例えば中学3年生だったらこれから受験があるとか。迷いとか不安がある人たちに向けて、“ちょっとでも希望が与えられたらいいな”“ちょっとでも明るくなってもらえたらいいな”と思って歌詞を書きました。
3月、4月は卒業や入学などがあって、いろんな感情が入り混じる季節でもありますしね。
山崎
優音の書いた歌詞は、言葉がきれいだと思いましたね。《花明かり》という言葉は私では出てこないですし、日本の春から花にまつわる言葉をチョイスしてきたり、次の「夏海月」にも《カピスシェル》という言葉が出てくるんですけど、曲ごとにキャッチーな部分、ちょっと引っかかる部分とかは優音が書いているんです。そういうところもすごいと思います。
普段からそういうことに気を配ってる感じですか?
栗本
SNSとかを見ていて、“これいいなぁ”と思った言葉とか、ファンの方のコメント欄で“この方はこんなふうに思ってるんだ”と共感する部分など、新しく見つけた言葉や気持ちはメモしています。カピスシェルは家にたまたま飾ってあって。貝殻でできていて、ドアにつけて、開けたり閉めたりするとカランカランと音がするんです。仮歌をもらった時に、この音とかを入れたら可愛いんじゃないかと思いました。
「花心」はいろんな希望も感じられる曲になったと思うのですが、どういうふうに表現しましたか?
モラレス
明るい歌詞ですけど、私が歌う部分の歌詞は暗めなので、歌う時には表情も暗くしてみたり、悲しそうに歌ったりと感情の表現に気をつけています。
山崎
この曲は私ときあらが最初に歌って、途中から他のふたりが入ってくるので、そこはふたりの声が合わさり、引き立たせるようにしているところが好きです。“サビの部分の4人の掛け合いがすごくいい”とファンの方も言ってくれますし、私たちも歌っていて楽しいです。