SUPER BEAVERの根本姿勢であり新境地
ーーアニメ『ヒロアカ』OPテーマ起用
、新曲「ひたむき」に込めた想い、ア
コースティックVer.の「秘密」を語る

SUPER BEAVERがTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第6期オープニングテーマとして書き下ろした新曲「ひたむき」をシングルとしてリリースした。その「ひたむき」はサウンド、メッセージともにSUPER BEAVERの正攻法と言えるロック・チューンだが、「ひたむき」というこれまたSUPER BEAVERらしいタイトルに集約された思いが、コロナ禍の2020年、2021年、そして2022年を懸命に走り続けてきたからこそ辿りついたバンドの新境地であることは、メンバー達の発言からも読み取ることができるだろう。彼らのライブ・アンセムをリアレンジしたカップリングの「秘密 -Acoustic ver.-」も同様だ。リアレンジということで、スタジオで作り上げた印象もあるけれど、「秘密 -Acoustic ver.-」の発想のきっかけもライブで芽生えた、さまざまな思いだったという。自分達の自主企画ライブのタイトルに「現場至上主義」を掲げる彼ららしい。インタビューの最後に今後の制作について尋ねているが、今思えば、愚問だったようだ。来年の6月まで予定が決まっているライブおよびツアーの中で、彼らはまた新たな境地に辿りつくに違いない。
渋谷龍太(Vo)
ーー現在、SUPER BEAVERとして最大規模となる4都市8公演のアリーナ・ツアー『都会のラクダSP~東京ラクダストーリービヨンド~』の真っ最中です。横浜アリーナ2デイズ、大阪城ホール2デイズを終えたところですが、その手応えをおひとりずつ聞かせてください。
柳沢亮太(Gt):4本やらせてもらって、シンプルにすごくいいツアーが始まったと思いました。自分達のアリーナでのライブに対して言うなら、昨年よりも一層手応えが感じられると言うか、着実にアリーナという規模でも地に足を着けたと言うか、どしっと構えたライブができているんじゃないかと思います。
渋谷龍太(Vo):ツアーと銘打って、アリーナを回るのは去年に引き続き2回目なんですけど、去年以上に楽しめています。自分達も楽しめているし、見ている方も楽しんでいるんじゃないかなと思います。やっぱり慣れてなかったので、前回は。今が慣れているのかと言えば、まだまだだとは思うんですが、去年を踏まえた上で、今、回れているので、しっかりと楽しむことを忘れずにと言うか、意識せずに楽しめているので、すごく健全だと思っています。
藤原“34才”広明(Dr):前回のアリーナ・ツアーに加え、今年の3月から7月にホール・ツアーを回らせてもらった経験が今のアリーナ・ツアーに生きている気がします。経て、経て、今のツアーがちゃんといいものになっているという実感もありつつ、メンバーだけじゃなく、スタッフも含めーー同じチームでやらせてもらっているので、1人1人の技術、思いが集約されて、いいライブになっているという手応えを感じながら回らせてもらっています。
上杉研太(Ba):前回のアリーナ・ツアー以上にストイックにやれている印象があります。常にミーティングを繰り返しながら、事前に準備して、ライブの後も改善点を話し合いながらやっているんですよ。1日目を踏まえ、さらに細かく修正して、2日目にトライしようということで、ツアーだからこそできるクオリティの上げ方が前回よりもできるようになってきた。あとはアリーナを回りながら、学園祭に出させてもらったりとか、ライブハウスでやったりとか、イベントに出たりとかもしているんですけど、いい意味で、そこに違いがなく、ちゃんと最新のライブがこれだという感じで、全部が本当に、いい感じでできているっていうのが何よりも自信になりますね。
ーーアリーナ・ツアーでは、「ひたむき」もやっているんですか?
渋谷:初披露がアリーナ・ツアーの初日だったんですよ。
ーーお客さんの反応はいかがでしたか?
渋谷:もちろん、『僕のヒーローアカデミア』のオープニングテーマに抜擢していただいたってこともあると思うのですが、ライブで披露する前から聴いてくださってる方もたくさんいたみたいで、「新曲やります」と言って、柳沢のギターが鳴った時にもう、(お客さんの)「あー、来た!」というのはわかりました。なので、すごく待っていてくれたんだなっていうのはあるし、楽しんでくれているんだなって感じています。
柳沢亮太(Gt)
ーーその「ひたむき」はサウンド、メッセージともにSUPER BEAVERによる正攻法のロック・ナンバーだと思うのですが、『ヒロアカ』の主題歌というキッカケがなかったとしても、このサウンド、このメッセージはいつか自然に出てきたんじゃないかとも思います。「ひたむき」はいつ頃、どんなところから取り組んでいったんでしょうか?
柳沢:制作を始めたのは今年のホール・ツアーの序盤だったから、5月ぐらいですね。その頃に元になる形ができました。今、質問してもらって思ったんですけど、SUPER BEAVERが歌いたいものが、どういうタイミングで、何によって引き出されて、楽曲として形になるのかっていうのはバラバラなんですよ。「ひたむき」という楽曲、および「ひたむき」というタイトル、その中で歌っていることは、潜在的に最近のSUPER BEAVERが持っていたものだとは思うんですけど、今回、オープニングテーマを書かせてもらったことによって引き出されたというところもあると思います。もちろん、それだけじゃなくて、ツアー中だったというところでのライブ感とか、2月にリリースした『東京』というアルバムの制作で得た音作りとか、アンサンブルの作り方とかが「ひたむき」にも反映されていると思うので、いろいろなものがトリガーとなって、この楽曲ができたのかなという気がしますね。
ーーたとえば、『ヒロアカ』にインスパイアされて出てきた言葉とか、楽器のフレーズとかはあるんですか?
柳沢:もちろん考えると言うか、アニメと僕らが言いたいことがリンクするところは、歌詞の面でも探します。例えば、ヒーロー対ヴィランという構図がこの物語の真ん中の線としてあると思うんですけど、そのヒーローとヴィランがそれぞれ正義なのか、悪なのかというと、見る方向、見る人、どういう思いで見るのかによって変わるというか。それはアニメの世界だけではなくて、現実の中にもすごくあることですし、自分が正義だと思って掲げているものが人を傷つけることだってあるし……みたいなことはSUPER BEAVERが「自分とは?」と問いかけながら、ずっと向き合い続けているテーマではあると思うんですけど、今の僕らがそこを改めて歌うんだったらというところには、今回、『ヒロアカ』のお話があったからこそ向き合えたと思います。ただ、それが「ひたむき」ってタイトルになったのは、ホール・ツアーを回っていたことが大きかったと思うんですよ。コロナ禍の2020年、2021年を経た上で、この数年の中で一番、純粋に楽しもうという気持ちで来てくれたお客さんがすごく多いとホール・ツアーの中で実感したんですけど、そこに行き着くまでの日々の生活がそれぞれにあって、それぞれにとっての正解もあって、もしかしたら他人が間違っているように見えたこともあるかもしれないしーーそんなことを考えたとき、この曲はできあがっていったと思います。
ーー《どれだけ面と向き合っても 想いすれ違うかもしれない》と歌っていますね。
柳沢:そうですね。サウンドで言うと、『ヒロアカ』の今回のシーズンがこれまで以上にシリアスなものになるので、特にイントロはそういう緊張感を、番組のオープニングで流れたとき、表現できるようなものを意識しつつ作ったかな。全てを『ヒロアカ』に寄せたわけではないんですけど、このお話があったからこそ、着想を得られた部分ももちろんあると思います。
上杉研太(Ba)
ーーこの曲が柳沢さんから上がってきたとき、3人はどう感じましたか?
上杉:完成するまでに、けっこうやり取りはあったんですけど、最初に聴かせてもらった時にもう、強い曲だなと。ここからブラッシュアップしていったら、ぶっ刺さる曲になるだろうなって思いました。
藤原:そうですね。すごくいい曲だと思いました。歌詞の言葉にハマるリズムがキャッチーだったんですよ。 
渋谷:タイトルからしてSUPER BEAVERの根本姿勢っぽかったので、SUPER BEAVERというバンドが『ヒロアカ』とどこまでリンクして、どれだけそれぞれに合ったものができるんだろうと楽しみにしていたんですけど、どんぴしゃでしたね。SUPER BEAVERとしてこの曲だけ掲げても十分に成り立つぐらい強い曲だと思いました。
ーー渋谷さんがおっしゃったようにタイトルからしてSUPER BEAVERらしいと思いました。SUPER BEAVERには、「ひたむき」のようにひらがなの単語をタイトルにした曲がけっこうあるのですが、そこは意識したんですか?
柳沢:ひらがなのタイトルにしようと意識するのではなく、漢字でも書けるんだけど、敢えてひらがなにすることはあります。漢字だったり、ひらがなだったりにした時の、言いようのない責任感がSUPER BEAVERにはあって(笑)。これはもうイメージの話でしかないんですけど、そもそも英語のタイトルがSUPER BEAVERにはあまりなくて、逆にカタカナじゃないと成立しないものもあるんです。だけど、本来、ひらがなや漢字の言葉をカタカナ表記にしたり、アルファベット表記にしたりすることは、なんとなくバンドの性格上していないというか。そういうところでいうと、ひらがなでそのものを表すタイトルになることが多い。漢字だと、やや堅くなったりカチっとするというか、これもイメージの話なんですけど、「ひたむき」もそこらへんのぱっと見た時のバランスを考えたと思います。
ーー「ひたむき」という言葉を普段、日常生活の中で使うことってあまりないと思うのですが、どんなところから思いついたのでしょうか?
柳沢:ツアー中はいつもライブが終わると、カメラマンさんから写真をもらって、SNSで発信するんですけど、この間のホール・ツアーでも写真を見ながら、その日のライブの光景を思い出していたら、不意に「ひたむき」というワードが自分の中に浮かんできて、ちょうどこの曲を作っている時だったから、そのままタイトルにしたんですよ。この数年間の僕らだけじゃなく、見にきてくれる方も含めた紆余曲折ーーそれぞれに生活が変わったり、考え方が一新したりした中で、少しずつ許されることも増えてきて。ライブ・シーンで言ったら、この間のホール・ツアーはフルキャパで回らせてもらったんですけど、みんなマスクはしているものの、漂っている空気から確実に昨年よりも楽しんでいることが伝わってきたんです。ただ、それは何かを忘れたということではなく、一生懸命乗り越えてきたからこそというか。前回のホール・ツアーでも各地方に行って、場所によっては市民会館と名の付くホールでもやらせてもらったんですけど、市民会館はその街で生活している人がコンサート以外でも足を運ぶところじゃないですか。そういうことを考えながら、「みんなこのライブに足を運ぶために毎日、一生懸命がんばってきたんだよな」と改めて想像させてもらったんですけど、そういうことが「ひたむき」という言葉に繋がっていて、ツアー中、見にきてくれる人の顔を見ていたからこそ、自然にふっと出てきたワードだったのかなという気はします。
藤原”34才”広明(Dr)
ーーその言葉をステージ上でお客さんに向かって、声として発する渋谷さんは、ひたむきという言葉についてはどんな印象が?
渋谷:もろ自分達だなと思うんですけど、「ひたむき」という言葉自体、僕はそんなに若い言葉に感じないというか、闇雲にいろいろなことに対して、真摯に挑む姿勢とはまたちょっと違うというか。「ひたむき」はなんとなく焦点が定まっている感じがするんですよね。自分の中では。無闇矢鱈にやれることを全部、無作為にやるがむしゃらさとは全然違って、ここと決めたものに対しての姿勢という気がしているので、けっこう見据えている感じがする。自分達が挑むことも含め、いろいろなことを見据えた上での姿勢という気がしているから、意志を感じる言葉だと自分では捉えています。「とにかくやったろうぜ」ではない感じで、こういう気持ちがあって、こうだからこそ生まれる姿勢だと思ったから、そういうものまで全部伝えられたらいいなとは思っていますね。
ーー歌詞の中にも、《意志を持って笑いたい》というフレーズがありますね。
柳沢:「ひたむき」を漢字に変換すると、「直向き」と出てくるんですよ。今、ぶーやん(渋谷)が言ったことって、まさに「直向き」だと思うんですけど、ひたむきと読んだとしても、「直向き」はタイトルとしては違う。でも、ひらがなにすると、ぶーやんは若い言葉に感じないと言いましたけど、どこかみずみずしさも感じられるような字面であるにもかかわらず、ぶーやんが言っていた意志も伝えられる。そういうところも含め、SUPER BEAVERっぽいと思いますし、『ヒロアカ』の主人公達の姿勢ともすごくマッチすると思いました。
渋谷龍太(Vo)
ーーサウンド面についても聞かせてください。冒頭のギターのリフからすごく印象的で、その後、左右で鳴っているギターのコード・カッティング、その真ん中でうねるように鳴るベース、どっしりと支えながら推進力を作っているドラム、迷いを振り払うような勇ましさを湛えながら躍動するボーカル……各パートに対しては、そんな印象を受けたのですが、アレンジやプレイを作る上で、それぞれにどんなことを意識しましたか?
上杉:イントロ、Aメロ、Bメロ、サビというそれぞれのセクションで、弾き方、フレーズともにこういうのがいいなっていうのは、デモを聴いた時すでに浮かんできていたので、そこでいかにちゃんとどしっとした部分もありながら、ある意味ブライトな感じもある音像を作るっていうのは、僕だけに限らず、全体のサウンドの作り方としてあったと思います。バンド・サウンドという1個の塊なんだけど、ちゃんとそれぞれの点が際立っている。それと同時に隙間が空きすぎちゃって、軽くならないようにどーんともしている。そういうサウンドを話し合いながら作っていきました。結果、各パートが代わる代わる前に出て、スポットライトが当たってというふうに、それぞれが主役になり得るような差し引きがあるアレンジになったので、1個1個の音を聴いても際立っているし、アンサンブルとしても迫力があるものになったとは思います。
ーーその上でドラムはどんなことを考えたのでしょうか?
藤原:さっき言ってもらった推進力は全箇所で意識しつつ、メロディに対するリズムの組み合わせは何通りも考えました。結果、推進力が必要な時と必要じゃない時の差し引きは、細かいところを見れば、多めにやったかもしれないです。
ーー柳沢さんのギターは?
柳沢:デモを作ったとき、ヘッドアレンジとして、音数を減らした中でのリズミカルさは意識していたので、ワンコーラス目が終わった後、ギターは何も弾かずにベースとドラムと歌だけにするとか、冒頭のベースも最初からブリッジ・ミュートするとどんな感じになるだろうというのを、リーダーと相談しながら試してみて。ボーンと1発がサステインを伸ばしながら弾くよりも、ボン・ボン・ボンと音が止まるタイムが早い、そういう音で鳴らすことによって、ルートは支えられるんだけど全体の音像に割と隙間ができるみたいな。アレンジとして、そういう構造にできたらいいと最初から考えていました。そういう音の抜き差しによる立体感は最初から意識していたので、ギターも右と左にいるんですけど、せーので鳴ると言うよりは絡み合うようなフレーズにして、ベースもドラムもギターも歌をよけつつ、なおかつここはベース、ここはギターと際立つようにプリプロの段階から細かく調整しました。そういう歌を邪魔しないところでのせめぎあいは、全体を通して意識しましたね。
渋谷:それだけ演奏陣が意識的にアレンジを作ってくれたので、僕は何も意識せずに、というスタンスで歌えました。大体、いつもそうなんですけど、こういうふうにと考えすぎると、打算的な歌になっちゃって、それに自分が気づいたとき、自分が一番冷めちゃうんですよ。そういうふうにならないようにいつも思っています。だから今回も、こんなふうに歌おうとは考えずに、今、出せる引き出しを全部出して、歌にする感覚でやりました。
柳沢亮太(Gt)
ーー曲のブリッジで突然、アコースティック・ギターのコード・ストロークと歌だけになるところが新鮮でした。
柳沢:実はそこで転調していて、半音落としているんです。デモの段階ではいわゆるオチサビだったんですけど、最後に大サビを持ってくるにあたって、その大サビをもっと盛り上げるにはどうしたらいいだろう? 音を重ねればいいのか、前にフックを足せばいいのか、いや、そういうことじゃないなという話になったとき、キーとしては大サビがトップキーだったので、それより上に転調するってことはあり得ない。じゃあ逆に下がればいいんじゃないかとアイデアが出てきたんですけど、キーも下がって、それまで前のめりだった曲の勢いが少し落ち着くんだから、思いきってアコギだけにしてみるのもおもしろいんじゃないか。そしたらリスナーとの距離も一気に縮まるんじゃないかということでやってみたんです。
ーーなるほど。そういう発想だったわけですね。今回、カップリングは「秘密」のAcoustic ver.ということで、最初はアコギの弾き語りに近いものなのかなと思ったら……。
柳沢:そうなんですよ(笑)。
ーーこんなにリッチなアレンジでやっているんだなとちょっとびっくりしつつ、これ、すごくいいなと思ったのですが、来年1月のアコースティック・ライブ『アコースティックのラクダ』のために作ったんですか、それとも、『秘密 -Acoustic ver.-』ができたからアコースティック・ライブをやることになったんですか?
柳沢:その2つだけが連動しているわけではなくて、だいぶ複合的で。「そもそもはシングルのカップリングどうする?」というところから始まっているんです。もちろん、カップリングに新曲を入れるというアイデアもあったんですけど、2月にアルバムが出たばかりだし、そのリリース・ツアーもやっている最中だったし、「ひたむき」に加え、もう1曲、新曲を作ったとして、ライブでやり続けられるのかと考えたら、情報過多になってしまう。そういう会話があった上で、だったら既存の曲の服を着替えさせると言うか、アレンジ違いのもののほうが楽しんでもらえるんじゃないかとなったんですよ。「じゃあ、どの曲がいい?」と話して「秘密」になったんですけど、この間のホール・ツアーで久しぶりに全か所で「秘密」をやったんです。「秘密」はコール&レスポンスも含め、ライブでどんどん成長していった曲だったので、コロナ禍に入ってからやる機会が減っていったんですけど、客席と僕らとでまた一緒に歌えるようになったタイミングでもう1回、セットリストに復活できたらいいなと思っていて。それが2021年を経て、声を出せない状況でもみんなに楽しんでもらえているという手応えがあったことから、この間のホール・ツアーで改めてセットリスト入りしたんですけど、お客さんの代わりに自分達4人が歌って届ける形でやっている時にアコースティックにしようという話が出て。「秘密」なら今、話したようなストーリー性もあるし、コール&レスポンスがありきになっていたけど、真逆のAcoustic ver.として表現したら、また楽しんでもらえるんじゃないかということになり……というタイミングで、たまたまアコースティック・ライブの話が出てきたという(笑)。これまでもリリースしている、していないはともかく、SUPER BEAVERはアコースティックにアレンジにしてきた曲がけっこうあるんですよ。
上杉研太(Ba)
ーーでも、「秘密 -Acoustic ver.-」は厳密にはアコースティックじゃないという(笑)。
柳沢:そうなんですよね(笑)。そもそも俺、最初からエレキ弾いているし。 
ーーAcoustic ver.の一言では、リッチなアレンジが伝わらなくてもったいないと思ったんですよ。
柳沢:俺らも1回、スタジオで談義になりました。「アコースティック・バージョンって何?」と。
上杉:アコギを使うからこそできるリアレンジですね。要は、1回完成しちゃってるものだから、そこにテーマがあったほうがリアレンジしやすいということになったんですよ。俺達2人は、やっているアプローチとしては基本的にアコースティックじゃないですからね。
ーー上杉さんもエレキ・ベースですよね。
上杉:がんがんエレキですよ(笑)。
藤原:ずっとアコースティックなのは、僕だけですね。
柳沢:そうだね(笑)。
ーーあ、なるほど。
柳沢:ドラムってそもそもアコースティックですからね。それをマイクで増幅させているだけで。ただ僕達はケーブルを繋いじゃってるんで。でも、それでもアンプラグドと言ったりするわけじゃないですか。
藤原:繋がなきゃよかったんじゃないの。
柳沢:ははは。
渋谷:極端な奴がいる(笑)。
柳沢:だから、俺達がアコースティックだと思えば、アコースティックだという。そういう話をスタジオでしたんですよ。
ーーなるほど。アレンジするにあたってはアコギを使うことも含め、テーマみたいなものはあったんですか?
柳沢:以前、「歓びの明日に」という曲を、アコースティック・アレンジにしたことがあって、それはゆったりとした弾き語りだったんですよ。そういうのももちろん素敵だし、好きなんですけど、アコースティックにリアレンジした時に、テンポがただ遅くなると言うよりは、本当に様相が変わると言うか、人は変わらないんだけど、身に着けているものががらっと変わるほうがおもしろいんじゃないか、楽しんでもらえるんじゃないかというのは大前提のテーマとしてありました。だから、ビートは変わっていいし、そのビートにハマるんだったら、歌の節回しも変わっていい。それはメロディも若干変わるってことなんですけど、そういうこともあり得るという脳みそでのスタートでした。だから、さっきリーダー(上杉)も言ったとおり、元のある曲なので、全分解するっていうのもなかなか難しくて、じゃあ、どうしようかって言っている時にジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャーっていう基盤になっているリズムを、リーダーが弾き始めて、それに合わせてヒロがドラムを叩いたら、エンジニアさんが「その感じいいかもね」と。じゃあ、それを軸にしていこうってところからこの全体像ができあがっていきました。
ーー冒頭のシンガロングから変わりましたね。
柳沢:はい、思いっきり変えました。
ーー節回しを変えると、歌うのが難しくなかったですか?
渋谷:難しかったですよ。リズムの捉え方はゆっくりなんですけど、実はテンポそのものはそんなに変わっていないから、大きく構えているリズムに対して、同じテンポで歌うと、かなり違うものになっちゃう。だから、ある程度、どーんと構えてないといけない。みんなの歩幅と合わせないといけないから、それをあの歌の中で表現するというのは、けっこう大変だなと思って、テンポについては相談させてもらったんですけど、なので、その部分では少し大変だと思ったところはありました。それと、ああいうアレンジになるなら、歌い方も変えなきゃいけないから……変えなきゃいけないと言うか、呼ばれたように歌うだけなんですけど、呼ばれたように歌っただけじゃ成り立たない部分もけっこう多かったので、そこはいろいろ考えながらやった部分はありましたね。
ーー原曲のギター・フレーズも活かしていますね?
柳沢:はい。活かせるところを活かしたらおもしろいと言うか、けっこうトリビュートに参加させてもらう時のカバーに近いと言うか。全部は壊さないんだけど、改めて、今、表現するんだったら、どういうのがSUPER BEAVERらしいかなと考えつつ、原曲の良さは取り込めるなら取り込んでいきたいという。それが1つのフレーズでもおもしろいし、みたいなのは今回も、自分らの曲ではあるんですけど、できるだけフラットな感覚でやってみました。
ーーそういうリアレンジを、1月のアコースティック・ライブでは「秘密」以外にもいろいろな曲で楽しめる、と?
上杉:その予定ではあります(笑)。
柳沢:今回、NHKホールも含め、会場が全部、自分達にとって初めてのところなんですよ。COTTON CLUBとBillboard Live OSAKAは食事もできるんだよね?
渋谷:できる。
柳沢:お客さんが食事している前でライブする経験がないですからね。そういう意味では、どうなるのかわからない(笑)。しかもCOTTON CLUBとBillboard Live OSAKAは、1日2回しと決まっていて、それも初めてで。1部と2部の違いがあるのかとか、それぞれどういうテンションになるのかとか、もう全く未知の世界なんですよ(笑)。
藤原”34才”広明(Dr)
ーー曲の装いを変えるとおっしゃっていましたが、アコースティック・ライブでは、みなさんの装い、つまり衣装もいつもとは違うものになるんですか?
渋谷:なんとなくそういう話もしましたけど、こうしようぜと決めているわけではなくて。ただ、それぞれの会場にドレスコードがあるだろうから、それに合う恰好にしようかぐらいの話はしています。
柳沢:短パンで行って、ヒロがはじかれたらもうできないからね。
渋谷:それ、おもしろいな。
柳沢:ハハハハ。
藤原:短パンでやったっていいじゃんな。
柳沢:いや、ドレスコードというのがあるからさ。
藤原:それはお客さんでしょ?
渋谷:あなたは?
藤原:私は演者ですから。
渋谷:演者は半ズボンOK?
上杉:ネクタイさえしてればいいんじゃない? 半ズボンでも。
柳沢:『名探偵コナン』か!
渋谷:(AC/DCの)アンガス・ヤングか!
藤原:リアルに俺も考えたんだけどさ、スニーカーじゃないとドラム叩けないから。スニーカーに合うドレスコードというと何ですか?
渋谷:セットアップにスニーカー履いたりしてるじゃん。
藤原:いつものVANSを履きたいんだよ。
渋谷:あ~。
上杉:会場に電話してみるか、VANS履いてもいいですかと(笑)。
柳沢:ドラムセットで隠しとけばいい。
渋谷:入場の時だけ、ちゃんとした恰好で、ドラムに座ったら、膝からビッて。
藤原:わざわざ半ズボンにする!? 戻る時、バレるじゃん。お客さんが出るまで待ってるの?
渋谷:出る時は怒られても大丈夫。
上杉:それかお客さんが入る前からドラムのところで待ってるか。
柳沢:すみません。めちゃくちゃ話が逸れましたけど、それぐらい未知なんです。
ーーそんなところも見どころじゃないか、と。
上杉:確かに、それもお楽しみですね。
ーーさて、そんなアコースティック・ライブがあって、1月、2月と自主企画の『現場至上主義』があって、3月にはFCツアーがあって、さらに4月から6月まで19都市を回るホール・ツアーがあってと延々とライブが続くのですが。
上杉:すごいですね(笑)。
ーー今後の制作については、どう考えているのでしょうか?
柳沢:えっと、それは君達、制作のことを考えていますかという質問ですか?(笑)。
ーーいやいやいや、もちろん考えているとは思うんですけど、いつ頃、何をリリースしたいみたいなことは、なんとなくでも考えているのかな、と。
柳沢:何らかの動きは出せていけたらいいなと思っていますけど、なんせライブがいっぱいあるんで。ただ、ライブがあるから制作ができないわけじゃないというのはこれまでと一緒で、合間合間で制作もするでしょうし、入れる時にはスタジオにも入ると思います。
上杉:それはあれですよ。
渋谷:どれ?
上杉:例年の動きを見て、予想していただければ。
柳沢:ツアーが続くと言っても、ずっと東京にいないわけじゃないですしね。具体的な予定までは言えませんけど、シンプルに曲は作っていきたいと思っています。その時が来たらリリースもするでしょうし、来年もがんばります。
SUPER BEAVER
取材・文=山口智男 撮影=大橋祐希

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