希望か、絶望か、互いの関係性を暗示
するビジュアルが解禁  宮沢りえ主
演『アンナ・カレーニナ』

2023年2月より、東京・大阪にて上演される、COCOON PRODUCTION 2023 DISCOVER WORLD THEATRE vol.13『アンナ・カレーニナ』のビジュアルが解禁となった。
ロシアを代表する文豪レフ・ニコラエヴィチ・トルストイが1800年代後半に書き上げた長編小説『アンナ・カレーニナ』は、世界中から称賛され、「芸術上の完璧であって、現代、ヨーロッパの文学中、なにひとつこれに比肩することのできないような作品」と言わしめたロシア文学の金字塔だ。今回、フィリップ・ブリーンの演出でBunkamuraシアターコクーンに初登場する。
タイトルロールとなるアンナ・カレーニナを演じるのは、宮沢りえ。さらに、コンスタンチン・リョーヴィンを浅香航大、アレクセイ・ヴロンスキーを渡邊圭祐、カテリーナ・シチェルバツカヤ(キティ)を土居志央梨、ダリヤ・オブロンスカヤ(ドリー)を大空ゆうひ、シチェルバツカ侯爵夫人を梅沢昌代、ステパン・オブロンスキーを梶原善、アレクセイ・カレーニンを小日向文世と、若手からベテランまで豪華キャストが結集した。
アンナ、ヴロンスキー、カレーニンの三角関係を中心に描かれることが多い本作。今回のフィリップ版では、破滅に向かうアンナの「愛」と、未来への希望を感じさせるリョーヴィンとキティの「純愛」とを対照的に描く。
発表されたビジュアルは、アンナと三人の男性(上からリョーヴィン、ヴロンスキー、カレーニン)がまるでダンスをしているかのように行きかったりすれ違ったりしながら、互いの関係性を暗示している。それぞれの目線の先にあるのは希望か、絶望か……。
激動する19世紀後半のロシア貴族社会の人間模様を描いたトルストイの長編大作が、新解釈で戯曲化し、演出するフィリップの手によってどのように現代に蘇るか、期待しよう。
【Story】
19世紀ロシア。美しく魅惑的な社交界の華アンナ・カレーニナは、
著名な政府高官の夫カレーニンと一人息子と共にサンクトペテルブルクに暮らしていた。
ある日、モスクワを訪れたアンナは、若き青年将校ヴロンスキー伯爵と出会う。
一目で惹かれ合う二人。熱烈なヴロンスキーからのアプローチを拒絶し続けるアンナだったが、
自分の心を偽ることができず、ついにヴロンスキーと恋に堕ちる。
カレーニンは妻アンナの気持ちと行動を知りつつ、体面を保つために妻に忠告するにとどめていたが、
当然心中穏やかではいられない。そんな夫にアンナは、堂々と「ヴロンスキーを愛している」と告げるのだった。
若くして結婚したアンナにとって、それは“初めての恋”にほかならなかったのだ。
カレーニンとの離婚が成立しないまま、アンナはヴロンスキーとの間に娘をもうけ、一緒に暮らし始める。
だが社交界の掟を破ったアンナに周囲が注ぐ視線は、当然冷たい。
ヴロンスキーとの愛に全てを捧げる覚悟を決めていたアンナだったが、次第に精神的にも追い詰められていく。
一方、アンナの兄オブロンスキーは、自身の浮気が原因で妻ドリーとの夫婦仲が危機に瀕していたが、
アンナの取りなしでどうにか事なきを得ていた。
オブロンスキーの若き友人リョーヴィンはドリーの妹キティに一度求婚するも、
ヴロンスキーに夢中だったキティにあえなく振られ、田舎で農地経営に精を出していた。
キティもまたヴロンスキーへの淡い恋心を踏みにじられ、愛を信じられなくなっていたが、
勇気を出したリョーヴィンからの二度目のプロポーズを受け入れる。
リョーヴィンとキティは真実の愛を手に入れ、地に足の着いた暮らしを始めるのだった。
不安定なアンナを支えるヴロンスキーに対し、アンナは勝手に新たな女性の影を感じていた。
疑心暗鬼にかられたアンナは朦朧と街をさまよい──。

演出:フィリップ・ブリーン コメント
2019年の『罪と罰』以来私は日本に帰ることができます。パンデミック前の多くのプロジェクトがそうであるように、『アンナ・カレーニナ』も2019年の半ばに台本の作業が始まり、ようやく公演が実現します。ヨーロッパも日本も多くのことが変わりましたが、トルストイが探求している、何が私たちを人間たらしめているか−生誕、死、結婚、戦争、出産、憧れ、愛、欲望–は世界が変わっても永遠に変わりません。この偉大で壮大な小説は奥深い感情に満ちていて、世界文学史において比類なきものであり、私たち人類に共通する人間らしさを思い出させくれます。それはこの不確かで困難な時代にこそ大切にされるべきものです。未だかつてないほどにこの「ワールドシアター」と言うアイディアがとても重要に思えます。今回は素晴らしい宮沢りえさんとコラボレーションできることを特に楽しみにしています。彼女が演じるのはこの作品のタイトルロールであり、彼女のことを思いながら上演台本を書き、そして3年以上も演じるのを待って下さった役です。演出家として、稽古場で彼女とのワークを始めるのが待ち遠しくてたまりません。更に翻訳の木内宏昌さんはその匠の技を持って3つの文化と言語を紡いで、トルストイの偉大な小説をもとに私が書いた戯曲をしっかり正確に表現する日本語の台本を生み出してくれます。日本の観客の皆様には、悲劇的で、優しくて、時にすごく滑稽で、でも究極的には深くて鮮やかで、散らかった人間の姿をご覧いただけることと思います。国際的な文化を超えたコラボレーションがこんなにも必要で大切だと感じたことはありません。稽古が始まるのが待ち遠しいです。

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