CHiCO with HoneyWorks

CHiCO with HoneyWorks

【CHiCO with HoneyWorks
インタビュー】
いろんなチャレンジを
してきた2年間を
一枚に収めることができた

これまで以上に多彩なラブソングと音楽ジャンルが満載の4thアルバム『iは自由で、縛れない。』。“キュン”だけではない“どきり”や“ぐさり”まで、青春の瑞々しさといったポジティブな形容では片づけられない“陰”な感情まで盛り込まれている。しかし、それもまたCHiCO with HoneyWorks(以下、チコハニ)の愛のかたち。たゆまず歩み続けた進化の証が、ここに確かに刻まれている。

今までになかったタイプの
恋愛曲が収録されている

“iは自由で、縛れない。”ってなかなか意味深なタイトルですが、どういった意味が込められているんでしょう?

今回、収録曲の中にいろんな恋愛ソングがあるんですね。いつものようなキュンキュンした曲だけじゃなく、元カノから今カノへの曲だとか、都合のいい存在として扱われているような曲もあったり、今までになかったタイプの恋愛ソングが収録されているんです。つまり、“愛にはいろんなかたちがあるんだよ”という意味で、このタイトルになりました。

なるほど! アルバムのために描き下ろされた新曲4曲のうち2曲が今までのチコハニにはなかったタイプの恋愛ソングですから、そのへんはHoneyWorksサイドとしても最初から狙っていたところだったのかもしれないですね。

そうですね。例えば10曲目の「きっと別れるよ」は“別れたあとも相手のSNSをチェックしちゃう人っているよね?”っていうところから生まれた曲で、まさに今までになかったものが描きたいということで作ってくださったんです。SNSで今カノの写真を見たことが発端になっている、もう“ザ・現代”の恋愛を描いた曲で、“いやぁ、リアルだなぁ~”って思いました(笑)。いつもより、さらにダイレクトな歌詞が多かったので、むず痒かったです。

《未練じゃないし/気になるのフツーだし》とクールぶりながらも、元カレの浮気癖をあげつらって《きっと別れるよ》と今カノに釘を刺すという、この微妙な心理状態を歌で表現するのは、さぞ難しかったのでは?

どこかしら別れたあともマウントを取っている感じですよね(笑)。なので、悲しく歌ったほうがいいのか、淡々と歌ったほうがいいのかって、ちょっとテンション感は悩みました。ただ、“シンガーCHiCOの力量が見えるような楽曲が作りたくて、J-POPでシンプルな音を目指した”と言っていただいたので、いわゆる喜怒哀楽のニュアンスというよりは、ちょっとテクい感じを目指しています。赤文字でメモしてあるんですけど、“テクい感じでよろしく”と言われたんで(笑)。

いや、エモすぎず淡々としすぎずで、絶妙な歌唱ですよね。最後の《でも別れる》だけアカペラなのも怨念がましくていいんですが、もう歌が詞世界にハマりすぎなので、CHiCOさんの実体験かと勘違いする人も出てきそう。

それはちょっと困りますね! “違うよ”って言わなきゃ(笑)。

そんな「きっと別れるよ」に続くのが「あなたは恋をしていない」と、これまたタイトルからしてパンチがありますが、この2曲ってもしや連作だったりします?

そういうわけではないです! このつながりだと、確かに“えっ、もしかしてアンサーソングですか?”みたいになりますけど

「きっと別れるよ」の今カノが、実は「あなたは恋をしてない」の愛されていないヒロインかと思ってしまいました(笑)。曖昧な関係に葛藤する気持ちを歌っているバラードなので、こちらもヴォーカルのハードルは高そうですよね。

さっきの「きっと別れるよ」はディレクションがKaoruで、ふたりで話し合いながら進めていったんですが、「あなたは恋をしてない」はディレクションがshitoさんだったんです。shitoさんはニュアンス重視の方なので、こちらはテクい感じではなくニュアンス優先で歌っていますね。例えばAメロ、Bメロでは無機質なボソボソ感を出して、語尾を溜息風にしたりとか、うまく歌うというより不安定さとかニュアンスを押し出しています。

“やっぱり自分は愛されていないんだ”という哀しみが伝わりましたし、まさしく今までになかった恋愛ソングだなと。

いやぁ、チコハニだからぶっ込んできたジャンルだとは感じましたね。CHiCOというリアルな人間がいるからこそ歌うことができる恋愛ソングで、これは『告白実行委員会』では絶対に書けないだろうなと。実際、CHiCO with Honeyorksではいろんな挑戦楽曲を盛り込みたいって、毎回言ってくださっているんですね。それこそ「あなたは恋をしてない」の次の「スーパーアイドル(笑)」でも、表に出る配信者とリスナーの間のラブという、普通の男女間の恋愛とは違うベクトルのラブを歌っているし。これまた新しい関係値のラブソングを持ってきてくださったなって、私はすごく嬉しかったです!

こちらは既発シングルのカップリング曲ですが、負の感情が爆発したガチガチのヘヴィロックで、「あなたは恋をしてない」からの振り幅がすごすぎですよ。

切なく終わったと思ったら、いきなりギターの低音が入るんで“え!”ってなりますよね。“どういう心持ちで聴けばいいんだろう?”って情緒不安定になりそう(笑)。これも8年やらせてもらって、年齢も重ねてきたタイミングだからこそ歌える楽曲なのかなとは思います。1stアルバムでこんな曲あったら“恋愛キュンキュンでデビューしていたよな!?”ってちょっと戸惑いません?

確かに(笑)。これも相当な尖り具合の曲で、“主人公のモデルは誰?”といろいろ勘繰られてしまいそう。

そのへんは想像にお任せしますということで(笑)。まぁ、“メンタルが強い人だなぁ”って感じですけど、まったく自分じゃこういう人になれないので、演じてみて楽しかったです。“くたばれや”とか冗談でもファンに言ったことないし、この潔さが逆に気持ち良くて、歌っていて“あぁ、いいなぁ”って。

自分から遠いキャラクターだからこその楽しさですよね。では、逆に今回のアルバムの中で、一番共感できた曲は?

自分で作詞をしたというのも含め、配信限定シングルの「LOVE FIGHT」ですかね。歌詞にもある《「好きなことは好きなだけ」これが俺のスタイル》っていうのを貫き通して今の自分がいるわけですし、この曲でコラボした漫画『女子力高めな獅子原くん』は自分というものを表現できる作品だったので、書いていてすごく楽しかったです。

獅子原くん=男子目線の曲ですが、アーティストという立場の人には刺さる歌でもありますよね。男子目線と言えば、アルバムの幕開けを飾る1曲目でありリード曲でもある新曲「リベンジゲーム」は、完全に甲子園を目指す野球少年のストーリーではないかと。

そうです。TVアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』のオープニングになった「決戦スピリット」(2020年2月発表のシングル)がスポーツ系のニュースとかでも流していただく機会がすごく多くて、そういうアツい曲を好むファンの方も多かったんですね。“じゃあ、また同じようなタイプの曲を!”ということで、「乙女どもよ。」(2019年8月発表のシングル)のMVに出てきた隅田くんという野球少年の曲を作ったんです。なので、“MVは甲子園がテーマのカッコ良い映像になる予定で、メンズがたくさん出てくるから”と作画のヤマコさんに“CHiCOちゃんが好きなキャラクターの特徴を教えて!”って訊かれたんですよ。

なんて答えたんですか?

“デコ出し、ワンレン、ツーブロとかですかね?”みたいな(笑)。なので、デコ出しのキャラがいたら、それは私のリクエストです。今後、この曲が甲子園とかで流れたら…もう、赤飯炊いて喜ぶしかない!

楽しみです(笑)。ロックなアッパーチューンなので、レコーディングでも燃えたのでは?

体力は使いましたね。サビの《動け体》や《研ぎ澄ませろ》は急にキーが高くなるんで、“こういうの大好きじゃん!”とか思いながら、仮歌では裏声で歌っていたんです。でも、絶対にこれは地声のほうがいいってなって、録りの日にやってみたら出ちゃったんで、力を込めて歌いました。
CHiCO with HoneyWorks
アルバム『iは自由で、縛れない。』【初回生産限定盤A】(2CD+Blu-ray+ライトノベル小説+豪華特典)
アルバム『iは自由で、縛れない。』【初回生産限定盤B】(2CD+Blu-ray+ライトノベル小説+豪華特典)
アルバム『iは自由で、縛れない。』【通常盤】(CD+豪華特典(初回仕様のみ))

OKMusic編集部

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