【明田川進の「音物語」】第65回 選
曲の仕事(後編)「ウルトラマンレオ

 前回に続いて僕が担当した選曲の仕事について、「ウルトラマンレオ」(※1974年放送)の話題を中心にお話します。
 当時まさか「ウルトラマン」の仕事に関わるなんて思ってもいませんでした。円谷プロがつくった東宝の特撮映画は好きでいろいろ見ていましたし、僕が虫プロにいた頃に放送された「ウルトラQ」もリアルタイムで見ていました。虫プロのアニメーター陣も大好きで、放送がはじまったらみんなテレビの前に集まってくるぐらい熱中していました。「怪奇大作戦」も人気がありましたね。
 「ウルトラマンレオ」の音楽を手がけたのは冬木透さん、効果は前回お話した小森護雄さんです。小森さんはのちに録音処というスタジオをつくられますが、「レオ」の頃から親しくさせてもらい、一緒にアングラの芝居を見にいったりしていました。当時、小森さんはロマンポルノで知られる監督の山本晋也さんと仕事をしていて、「紹介できるよ」ということで大久保スタジオでダビングされているところに会いにいったことがあります。
 「ウルトラマン」シリーズは1年間の長いシリーズなため、シリーズの作法を学ぶ意味合いで、最初に「レオ」の前のシリーズの何話かを少し手伝った覚えがあります。皆さんご存じのとおり、「ウルトラマン」には物語の展開や音楽の入れ方ふくめ型のようなものがありますよね。選曲についても、よほど監督から指定がないかぎり、これまでの流れにそったオーソドックスなやり方で行っていました。曲発注のさいも、これまでのシリーズの例にならって「こういう曲は必ずほしいですよね」という話を冬木さんとした記憶があって、録音現場にも足を運んだと思います。長いテレビシリーズですからとにかく時間におわれていて、特撮の部分だけ映像が間に合っていないときは特撮班まで状況を聞きにいったりしていました。
 「恐怖劇場アンバランス」と同じように「レオ」にも各話で監督がいて、「恐怖劇場アンバランス」でご一緒した山際永三さんもいました。「レオ」をやっていて面白いなと思ったのは、テレビシリーズでは普通なかなかだせない“監督の意志”のような部分が表現できるのだなというところでした。「ウルトラマン」の作法という制約があるからこそ、そのなかでいろいろな表現をやってみようということなのでしょうね。これまでの「ウルトラマン」シリーズのなかには民話を土台にしたものが何本かありますが、そうしたものも描ける面白さがあったように思います。
 円谷プロ作品では、他に「マイティジャック」(※1968年放送)の選曲も担当しました。音楽は冨田勲さんです。フジテレビが鳴り物入りではじめた、初の大人向け1時間特撮ドラマでしたが残念ながら上手くいかず、途中からタイトルを変えて子ども向きの30分番組になりました。この作品についてはあまりよく覚えていなくて、最後までは関わっていないと思います。

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