3年ぶりの『なにわ淀川花火大会』で
夏は花火しか勝たんと再認識、来場者
に訊いた「あなたの楽しみ度は?」

3年ぶりに大阪の夏の風物詩が戻ってきた! 8月27日(土)に、待ちに待った『第34回 なにわ淀川花火大会』が開催された。お天道様も楽しみにしていたかのような快晴のもと、「なにわの夜空を熱くする!やっぱり夏は花火しか勝たん!」をテーマに、淀川の空に見事な花を咲かせた。空白の期間があったからこそ、感動もさらに大きいものだった。この夜を関西の人たちがどれだけ楽しみにしていたのか、イープラスエリアにて今か今かと待ち構えていた7組に話を訊いた。
開場直後。すでに人の波が。
JR塚本駅から歩いて約10分。淀川の河川敷に設けられた協賛観客席の塚本入場口チェックゲートを入ると、一番手前にあるイープラスエリア入場口に辿り着く。早速中に入るとずらっと並ぶ椅子の向こうに、淀川と梅田の景色を見渡せる。壮観だ。
イープラスエリアには、お弁当とお茶が用意されているe+VIPペアシート、くつろぎながら観られるサマーベッドエリア、家族連れにもってこいのe+桟敷エリア、一体感を楽しめるイープラスシートの4種類が用意されている。場所取りが不要、近くで観られるという有料エリアのメリットに加えて、「どう楽しみたいか」で席を選べるのも良い。
インタビュー開始!
今回はこの広い会場で、来場者にインタビューを実施した。暖かく了承してくれた7組が、それぞれ「どれだけ楽しみにしていたか」をお届けしよう。(花火大会のレポートは次ページに掲載)
●初の『淀川花火大会』をゆったりと過ごす、初々しいふたり●

ズラリと並ぶイープラスシート(指定席)
まずはズラっとパイプ椅子が並び、打ち上げ前から高揚感が伝播するイープラスシートからスタート。打ち上げ中も周りの人から漏れ出る感嘆のため息が伝わり、ライブ感が溢れていた。
「まだ人混みの中に行くのは気が引けて……」と話すのは、少し遠いところからやってきた高校生のふたり。まだまだコロナ禍のため感染リスクを抑えつつも、一緒に観たいという気持ちから奮発したのだ。
楽しみ度1000%なふたり ※撮影時のみマスクを外しています
ふたりは『淀川花火大会』の存在は知っていたけれど、実際に観るのは初めてとのこと。「観たかったから、誘ってもらって「やったー!」という気持ち」と、満面の笑みで答えてくれた彼女の楽しみ度は「1000%」! 散らされたハートがまばゆく、思わずこちらの目尻も下がる。ふたりに1200%の幸あれ。
●20代からの約束を実現させた、友達5人組●
次に談笑していた5人組に話を訊いてみた。「20代から毎年『淀川花火大会』を観にきていたのですが、30歳になったら有料席に行きたいなと話していて。30代になったから初めて来ました」と素敵な関係性を教えてくれた。8人分まで一緒に席を取れるということで、イープラスシートを選んだようだ。

おつまみを手に、楽しむ準備は万端! ※撮影時のみマスクを外しています
「いつもは橋の向こう(梅田)側から観ていたから、欠けている花火とかもあったので、今日は全部を堪能したいです」と、これまでと違う景色を楽しみにしている皆さん。全てが隈なく見える有料席から観た景色は、間違いなく「30代の夏の思い出」の1ページに刻まれたことだろう。
●フランクフルトも食べて準備万端!●
「『淀川花火大会』を観に来るのも、有料席も初めてなんです」というカップル。「人が多いのが嫌で6月の終わりから7月前半あたりに席を取ろうとしたら他はもう売り切れていて……。その時にまだ抽選の受付をしていたイープラスで取れてよかったです」と言うので、有料席の人気の高さに驚かされる。
初の『淀川花火大会』を100000%楽しむ! ※撮影時のみマスクを外しています
話しかけたときには屋台のフランクフルトを食べていて、満喫する準備は万端のように見えた二人の楽しみ度は「100000%」とのこと! 一緒に可愛らしいうさぎを描いていた仲睦まじい二人にも120000%の幸あれ!
屋台には絶えず人が並んでいた
ちなみに今回は感染症予防のため、屋台ではアルコールの販売やヨーヨー釣りなどのゲームなどは残念ながら中止。しかしフランクフルトや焼きとうもろこし、焼きそば、かき氷などの定番メニューは用意され、十分に夏祭りを感じることはできた。
美味しそうにかき氷を食べる少年
●桟敷で家族団欒のひとときを●
4人まで座れるe+桟敷エリア
続いてイープラスシートから奥に進み、e+桟敷エリアへ。大人も寝転がれるくらい大きなマットレスが敷き詰められている。特典のレジャーシートの上で、持参したお菓子やお弁当を広げてピクニックのように過ごしている家族連れも見受けられ、辺り一帯に穏やかな時間が流れていた。
家族団欒のひとときを過ごしていた4人家族に、e+桟敷エリアを選んだ理由を聞いてみた。「過去二回ほど有料席で観た時に花火の規模が大きくて感動したので、復活した今回は是非ともと思って席を取りました」とすっかり『淀川花火大会』の虜な様子。
お母さんが描いたイラストが二人にそっくり ※撮影時のみマスクを外しています
「子供たちがいるので、ゴロンとできる場所が良かったんです。なので抽選で当たった時は良かったー! と思いました」とほっとした表情を見せたお母さん。ボードにスラスラと描いてくれたのは、兄弟の特徴を捉えた可愛く愛が詰まったイラスト! お兄ちゃんは前に観た花火を忘れてしまったそうなので、この写真が今回の花火を思い出すキッカケのひとつになれると嬉しい。
●サマーベッドに寝転んで観てみたかった●
サマーベットの角度は自由に変えられる
桟敷エリア以外に寝ながら観られるのがサマーベッドエリア。好きな角度で自由に楽しめる。来場客の退場後に座ってみたところ、少し涼しくなった風が心地よく、そのまま寝れそうなくらいにリラックスできた。規制退場の関係から40分間はエリア内で過ごさなければならないが、サマーベットの上であればその待ち時間も苦ではないかもしれない。
ここで話を訊いたのは、前回はe+VIPペアシートで観ていたというお二人。「コロナになる前に有料席を取って「めっちゃ良いやん! 来年もここに来よう!」という話をしていました。それから中止が続いていたので今回が二回目です」と振り返る。
第一希望のサマーベッドをゲット! ※撮影時のみマスクを外しています
「前に来た時に近過ぎて首が痛い瞬間もあったので、寝転んで観られると良いなと思っていて。今回はサマーベットを第一希望にして応募しました」と狙い通りに席を取れた模様。横になりながら降り注ぐ花火を観るのは気持ち良いだろう。ボードに書いてくれたのは、今は声に出せない「ひゃっほぉー」。来年こそはと願うばかりだ。
●常連さんもお墨付きのVIP席「来年もここが良い!」●
最後はe+VIPペアシートを紹介。VIPというだけあって他のシートと比べて見やすいところで、優雅に過ごすことができる。さらにはお弁当と冷えたお茶も用意されている。お弁当は特製パッケージとなっていて、イープラスエリアではこの席でないと食べることができない特別感満載のもの。さらに12種類のおかずのどれもおいしく、ボリュームたっぷりなのにあっという間に食べ終わってしまう。
まさに今からお弁当を食べようとしていた常連の夫婦。「これまでもずっと有料席で観ています。やっぱり近いから、家から見える小さい花火ではもう物足りないですよね」という。一度体験してしまったら抜け出せないようだ。
奥さんの言葉に少し照れる旦那さん ※撮影時のみマスクを外しています
「いつもは違うところで取っていたのですが、今回はあっという間に他のところが売り切れてしまったので初めてVIP席に来ました」と渋々答える旦那さんにすかさず「私はここが良いし、来年からもここが良いと言ってるんです(笑)」と合いの手を入れる奥さん。来年もお二人が、お気に入りのVIP席に来られますように。
さらに「人混みになるのはわかっていたので、ゆったりとしたところで観たい」と今回、初めて花火を有料席で鑑賞するVIPカップルも。「調べていると花火と音楽との融合というワードを見かけました。どんなものなのか楽しみです」と演出への期待を高める。目も耳も嬉しい、五感がフル稼働した花火大会本番の様子は、次のページにてレポートする。
>花火大会レポートは次ページ
●PM 7:30 オープニング 〜 開幕のファンファーレ 〜●
今年の花火のテーマは「Re:start」。迫力あるオープニングテーマ、ロッシーニ「ウィリアム・テル序曲」で『なにわ淀川花火大会』はRe:startした。
カウントダウンと共に空高く打ち上げられた大輪の花に、最初の大きな拍手が湧き上がる。高さや形状、色など、さまざまな花火が目まぐるしく咲き乱れるスターマインは圧巻だった。勢いそのままに緑黄色社会「Mela!」、Mrs. GREEN APPLE「ダンスホール」へと続く。「ダンスホール」では色が変わりながらピカピカと散っていったり、真ん中の球を中心に無数の光が広がって行ったりという演出が多く、曲も相まってミラーボールのように見えた。
●PM 7:43 SMILE ~ 笑顔満開 ~●
色鮮やかな空から一転、青い世界がYOASOBI「群青」とともに繰り広げられていく。リズムにあわせて右から左へ、左から右へと次々に打ち上げられる花火とともに手拍子をしている人もちらほら。最後には、虹がかかったような見事な扇形の水上花火が開く。同じ目線で水上花火を楽しめるのも河川敷で観る魅力のひとつだ。
続いて花火の勢いもよいWANIMA「眩光」、打ち上げられている最中の玉もキラキラと光った藤井 風「きらり」へ。ここではスイカや花、ニコちゃんマークなどの変わり種や、万華鏡のようなもの、ランダムな動きをするものなど、バラエティに富んだ花火を満喫できた。
●PM 7:57 Peace ~ 大阪から平和を叫ぼう ~●
強いメッセージ性を持つONE OK ROCKRenegades」とともに平和への願いを込めて、大阪から世界へ向けて打ち上げられた。令火薬の正しい使い方を示すかのように、水上、柳、菊、牡丹とさまざまな種類の花火を一度に咲かせる。
そして日常の些細な幸せを歌うTani Yuukiの「W/X/Y」に。頭上を見上げると巨大な花火に包み込まれるような感覚に陥いり、目線を落とすと乱れ打ちされている放射のラインが美しい花火が視界を彩ってくれる。上も下もと、全てを捉えきれないほど当たり一面の花火に、感動なくしてはいられない。
●PM 8:11 LIFE ~ いのち輝く未来へ ~●
静けさを取り戻し、Mr.Childrenの「HANABI」に乗せて、赤く繊細な曲線が日本の花火の魅力を引き出す。歌詞の<もう一回 もう一回>にあわせて二段階で弾けたり、時間と高さを活用して立て続けに大きな花を咲かせたりする演出がたまらない。そして煙火師が大阪発上陸のということで、光が消えかかったところで再びピカピカと輝くものや、代表作「光の宝石」など、初めて観る花火に驚きの声を抑えきれない。
ケツメイシ「友よ 〜 この先もずっと…」では、天にも届きそうなくらい高く大きな花火が力強く打ち上げられ、フィナーレに向けて加速していった。
●PM 8:23 グランドフィナーレ ~ なにわの夜空に大瀑布 ~●
最後はミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』の劇中歌「This Is Me」とエルガー「威風堂々」とともに、全身で花火を浴びていると感じるほど圧倒的なボリュームでたたみかける。曲の盛り上がりに合わせて次から次へと打ち上げられ続け、心から「夏は花火しか勝たん!」と思える壮大なフィナーレを飾った。
コロナ禍での開催について模索し続け、ようやくの思いで再開できた『第34回 なにわ淀川花火大会』。例年よりも屋台は少なく、大きな声出し禁止などの制限はあった中でも、これまで以上に観客の心を震わせたのは、しばらく鳴り止まなかった拍手からも窺える。来年もまたこの場所で、うならひとつでも制限なしに、夏の終わりを迎えたい。
取材・文=川井美波 撮影=高村直希

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