【聖飢魔II インタビュー】
こんなに聖飢魔IIらしいものが
出せるのは幸せだと思う
魔暦元年(1999年)の解散以降初であるとともに23年振りとなる新大教典(アルバム)『BLOODIEST』。幅広さと上質さを兼ね備えた楽曲群は実に魅力的だし、新たな顔を見せていることも見逃せない。そのポテンシャルの高さに圧倒される意欲作について、ギタリストのルーク篁参謀とジェイル大橋代官に語っていただきました。
曲を作る時は必ず自分なりの
チャレンジがないといけない
23年振りとなる新譜大教典を作るにあたって、コンセプトなどはありましたか?
参謀
最初は特になかった。一番最初は再集結のたびに発布(リリース)してきた曲をまとめて、それだと物足りないので新曲も作ろうか…みたいな話だったんだ。そういうところから始まって、時が経つにつれてだんだん肉がついていって、いろんな贅肉がついてきて、こういうことになったという感じ(笑)。
代官
自分たちで掲げたテーマみたいなものはなかったけど、曲出しをザァーッとやっていって集まった曲を聴いた時に、制作側からもっとアグレッシブにしてほしいというオーダーが入ったんだ。もっとアグレッシブな曲が欲しいと。その結果、より曲調の幅が広がったというのはあるね。
アグレッシブさが加わることで、『BLOODIEST』は聖飢魔IIの歴史や個性などを凝縮した大教典になったと感じます。自作曲を作るにあたって意識したことなども教えてください。
参謀
俺は最初に「MIGHTY PUNCH LINE」を構成員(メンバー)たちに出したんだが、自分が新曲を書く時に心がけているのが、もちろんいいメロディーだとか、いいリフだといったこともあるけど、それにプラスアルファして、必ず自分なりのチャレンジがないといけないと思っているんだ。「MIGHTY PUNCH LINE」のリズムの感じとか、ドラムのリムショットから入るあたりとかは、今までやったことがなかったので、それがひとつのチャレンジだったというのはあるね。
「MIGHTY PUNCH LINE」は和太鼓のようなドラムや狂騒感のあるネイティブ感などが活かされていて、新たな聖飢魔IIの魅力を味わえます。それに、シニカルな視線でいながら前向きな歌詞もいいですね。
参謀
やっぱりね、何か針は刺してやりたいという気持ちがあるんだ。楔は打っておきたいというか。だから、最終的にはいいことを言うにしても、その手前は刺しておきたくて、「MIGHTY PUNCH LINE」もそういう歌詞になっている。内容としては“いろんなことがあるけど、最後にオチがつけばどうにかなる”“今が酷くてもオチがつくまで頑張ろうぜ!”ということを歌っている。
“こういう時代だからこそ明るく、前向きにいこうぜ!”とストレートに歌うのではなく、参謀の悪魔柄が出ているのがいいなと思います。
参謀
ただ単に“前を向け!”というメッセージを垂れ流すことには意味を感じないからな。そうやって自分なりのチャレンジや自分らしい歌詞を活かした「MIGHTY PUNCH LINE」をまず出したら、そのあとに曲について“もっとアグレッシブに”と言われて腹が立って(笑)。“うるせぇな。じゃあ、メタルに寄せればいいんだろ?”と思って出したのが「LOVE LETTER FROM A DEAD END」。でも、それは正解だったと思う。うまく乗せられたわけだけど、「LOVE LETTER FROM A DEAD END」がかたちになった時に、“確かに聖飢魔IIと言えばこうだよな”ということを感じたから。
「LOVE LETTER FROM A DEAD END」はメタリックなナンバーですが、現代の音楽に相応しいスピード感が…
参謀
だよな! この曲は俺の中では、若いイメージがあるんだ。まだ若く頑張れているんだから、もうちょっと褒めて…みたいな(笑)。
参謀
そう。“うるさいなぁ”と思いながら手のひらで転がされるという。
とはいえ、「LOVE LETTER FROM A DEAD END」は本当にカッコ良いです。YouTubeにアップされているMVも必見です。
代官
MVもさ、“グリーンバックで良くねぇか?”みたいな(笑)。
代官
実写で本当に爆破させるというな。爆破の炎も、撮影当日の気温も37度とかで暑くて大変だったよ。予想より早く梅雨明けになってしまってね。
参謀
それに、夜になってからはボーン!と爆発させると虫がすごかったんだ。爆発した後に虫がワァーン!と出てくるという(笑)。
うっ、そうだったんですね…。でも、CGなどではなく、生の爆破というのは本当にカッコ良いです。
代官
そう言ってもらえると救われるけど。あと、歌詞と映像がまったく関係ないんだよ(笑)。
参謀
そう。だから俺さ、撮影の間ずっと頭の中が“?”でいっぱいだったよ。“これでいいのかな?”って(笑)。
代官
あのMVは爆破がメインで、我々は付け合わせなんだよ(笑)。爆破だけだともたないから音楽とバンドを置けという(笑)。
参謀
俺もそう思っていた(笑)。だけど、MVが公開になってからのコメントを見ると、みなが“いい!”と言ってくれているんだ。この国で爆破をやれる場所は2カ所くらいしかなく、特撮の聖地らしくてな。“どっちなんだろう?”みたいなことが話題になっていたりして。だから、結果的には良かったんじゃないかと思う。
そう思います。インパクトがありますし、ああいうMVがフィットするバンドは少ないですし。