FRUITS ZIPPER、満員となった初のワ
ンマンライブ アンコールラストは代
表曲「わたしの一番かわいいところ」

TikTokで「わたしの一番かわいいところ」が楽曲視聴数5億回と、この夏バズっている7人組アイドルグループ・FRUITS ZIPPERの『1stワンマンライブ 〜KIKKAKE〜』が、9月12日(月)に恵比寿LIQUIDROOMで開催された。
アソビシステムのアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」から、4月にデビューしたばかりのFRUITS ZIPPERだが、この日のチケットはソールドアウト。「実を結ぶ=FRUIT」に、「元気を与える=ZIP」を組み合わせたグループ名が示すように、短期間で数多のライブを経験し、多くの観客に元気を与えた7人。この暑い夏を乗り越えた彼女たちの努力が、満員の観客という形で実を結んだのだ。
会場が暗転すると、ファンの持つペンライトによって、フロアはメンバーカラーの7色に染まる。ステージに設置されたスクリーンにVTRが流れ、ひとりずつ、ステージに立つことの意味を語る。
「アイドルという存在に救われてきたんです。自分も誰かにとってそういう存在になれたらいいなと思って」(月足天音)「キラキラになりたかった。一生懸命がんばりたい」(松本かれん)
「いろんなカルチャーからパワーをもらった原宿という街。私も誰かのパワースポットになりたい」(真中まな)
「何度も諦めた夢。ここでならえられると思った。大好きなアイドル、大きく羽ばたきたい!」(櫻井優衣)
「小さい頃からすぐそばに音楽があって、音楽とずっと関わり続けられる場所を探していたら、FRUITS ZIPPERに出会った」(早瀬ノエル)
「ずっと私がアイドルとして飛躍することを応援してくれていたファンの人たち」(仲川瑠夏)
「あのときたしかにそう思った。アイドルをやるまで死ねないって」(鎮西寿々歌

櫻井と仲川の、かつてアイドルとして経験した挫折を乗り越え、再びここに立っているという決意。月足と真中の「恩返し」の心。松本と早瀬の純粋な願い。そして鎮西の覚悟。彼女たちひとりひとりの思いの切実さが伝わってくる。
クラップのリズムにあわせ、ステージに現れた7人。SEのEDMサウンドに合わせて舞い、円陣を組み、合わせた手を離すと、全員が花びらのように散っていき、笑顔を振りまいた。
オープニングを飾るのは王道アイドルソング「skyfeelan」。メンバーのツイートをもとに作詞されたこの楽曲。7人は自分の実感のこもった言葉を歌いあげる。初ワンマンライブにも関わらず、硬さはまったく感じられず、しなやかに楽しむ姿が頼もしい。

続く「君の明るい未来を追いかけて」も爽やかなナンバー。ファンも一緒にサビの振りを踊り、7色のペンライトがフロアのそこかしこで煌めく。
MCでは櫻井が「今年の4月にデビューしてから4ヶ月半経ったんですけど、全員で今日この日を目標に頑張ってきました。満員のLIQUIDROOMで、私たちの集大成を見せたいです!」と語る。マルチリンガルの早瀬は、配信を通して英語で海外のファンに“NEW KAWAII”を発信した。
MC明けは、オープニングのアイドル感満載なイメージから一点、「Re→TRY & FLY」「We are Frontier」というクールな楽曲をパフォーマンス。強烈な重低音にも負けない彼女たちの歌声に圧倒される。照明と映像の力も借りながら、楽曲の世界観を柔軟に表現するFRUITS ZIPPER。たった4曲で“NEW KAWAII”を体現してみせた。
メンバーが一旦ステージを後にすると、スクリーンで突如ラジオ番組(?)「ふるっぱーなう」がスタート。この日のライブタイトルにちなみ、「KIKKAKE振り返りコーナー」が行われた。それぞれのメンバーが「FRUITS ZIPPERの活動がきっかけ(KIKKAKE)で変わったこと」をテーマに話した。

最年少17歳の早瀬は、日傘や日焼け止めを使うようになり、メイクも覚えたと語り、かわいらしさ満点。一方、年長組の真中は「人を信頼して任せることも伸びるための1つ」という実感のこもった気づきを明かし、鎮西は「私たちだけじゃ何の意味もないから。聞いてくれる人、観てくれる人がいるから、意味がある」と気づいたと語る。
他のメンバーの「変わったこと」も、「社交的になった」(櫻井)「早起きできるようになった」(松本)、「マイクがぶれなくなった」(月足)「エゴサするようになった」(仲川)とユニーク。メンバーの個性の振り幅が大きいのも、FRUITS ZIPPERの魅力だ。

ラジオが終わると、新衣装を身にまとったメンバーが新曲「世界はキミからはじまる」を初披露。煌めきと切なさが同居したメロディーが印象的なこの楽曲。
“これからもさっきもずっと一緒だって/忘れられないよう刻むんだ/何度も何度も何度も何度も/何度だって伝えるよ”というフレーズは、FRUITS ZIPPERとファンがこれから紡ぐ数多の思い出について歌っているようだ。
パフォーマンス後のトークでは、鎮西が「初披露の新曲、『世界はキミから始まる』…」と言った瞬間「始まる」の部分が、ディレイして繰り返し流れてしまうハプニングも。しかしそんなトラブルも鎮西は「どうしよう、次元超えた?」と笑いに変えてしまう頼もしさを見せた。
そしてライブは後半戦へ。マフラータオルを振り回す夏曲「ふれふるサマー!」では、間奏のサンバのリズムに合わせておどけるメンバーがキュートだ。続いて、松本が「わたしの一番かわいいところ」と言うと、FRUITS ZIPPERの存在を知らしめたこのアンセムに会場がどよめく。この夏、たくさんの人びとのかわいさを引き出したこの曲だが、本家のかわいさはファンをノックアウトするには、あまりある破壊力だった。

「完璧主義で✩」では、“世界に飛んでいきたいの”、“休むヒマはない”とFRUITS ZIPPERの決意を歌い上げる。そして本編ラストは「RADIO GALAXY」。アレンジ、テンポ、メロディーが万華鏡のように次々と変化していく難易度高いこの楽曲も、余裕で歌い踊る7人が頼もしい。鳴り止まない手拍子に応え、ステージに現れたメンバーは、再び新曲「世界はキミからはじまる」をパフォーマンス。その後、雑誌『B.L.T.』でFRUITS ZIPPERの密着連載がスタートすること、そして11月11日に2ndワンマンライブが渋谷 WWW Xで開催すると発表した。
最後のMCで、メンバーそれぞれがこの日のライブの感想を語る。
真中「ここにいるみなさんの視線をこうやって感じてると、より強く、FRUITS ZIPPERとしてひとつになって、これからも活動していきたいと改めて思える、そんな一日でした」
櫻井「FRUITS ZIPPERに入ってから、たくさんの応援してくださるみなさんがいることを実感することも増えて、私もいつか誰かのきっかけに、誰かがアイドルになりたいって思えるきっかけになれたらいいなって思う気持ちも出てきました」仲川「いろんな世界中の(ライブハウスの)楽屋の壁にサインをたくさんいっぱい書いていけるように頑張っていきます」月足「この夏満足感と充実感がすごいあって幸せだったので、これからFRUITS ZIPPERとみんなで素敵な季節、四季を過ごしていけたらなって思っています」
早瀬「FRUITS ZIPPERに入って、きっかけは自分で見つけるものなんだって気づきました。これからもいろんなきっかけとかチャンスを見逃さずに、もっともっと大きな自分になって行けたらなって思います」
松本「これからはかれんが楽しいって思うだけじゃなくて、みんなが楽しいなって楽しませられるアイドルになりたいなって思います。これからも一生懸命頑張るので見ててください」
鎮西「私はみんなのおかげで日々支えられて前を向いて生きているので、みんなにとっても、私たちがそういう存在であってくれたらって。お互いにそういう関係にこれからもなっていけたらなって強く心から思います」
真中や松本、鎮西は感極まって泣き出しそうになる瞬間も。しかし、7人ともしっかりと自分の言葉でファンと対話できる強さを感じさせた。そして最後は、代表曲「わたしの一番かわいいところ」をパフォーマンス。キャノン砲で色とりどりの紙テープが舞い、7色に染まるフロアをさらに鮮やかに彩った。最後に鎮西は「私たちFRUITS ZIPPERは『原宿から世界へ』をモットーに、これからも駆け抜けていくので、今後とも応援よろしくおねがいします」と挨拶。
この勢いそのままに、FRUITS ZIPPERは、さらなる高みへと駆け上がっていくだろう。7人の煌めきが加速していくにつれ、“嘘じゃない瞬間”を積み重ね、世界を色鮮やかに染めていく。そんなFRUITS ZIPPERの快進撃を目撃するきっかけを見逃さないでほしい。このライブの模様はZAIKOにてアーカイブ配信中。

text:安里和哲
photo:Masayo

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