後世にまで伝えられるべき
才能を今再び!
薄幸のシンガーソングライター、
ジュディ・シルが遺した2枚の名作

90年代以降の再評価、
今もリスペクトされ続ける存在に

その儚い生涯を思うとやり切れない気持ちにさせられるが、救われるのは、死後15年、20年たって彼女の再評価のチャンスが訪れたことだ。この才能を知れば、再評価は必然と思えるが、90年代に入ってささやかなアコースティック、フォークのブームが起こり、奇跡的に彼女のアルバムがCD化されて日の目をみた。それを機に世界中のシンガーソングライターから尊敬を集めるようになり、また、アバンギャルド、オルタナティブ、音響派と呼ばれるような一派からも彼女のサウンドは再評価され、中でもソニック・ユースのメンバーだったジム・オルークがジュディの死後に出た未発表音源集『Dream Come True』のリミックスを担当し、再発売された。また、ジュディの『Judee Sill』と『Heart food』が多くのデモ音源を加えて、2枚組CD『Asylum Years』としてリリースされるなど、生前とは比べものにならない評価をもって彼女の名前が広く知られるようになった。2007年には彼女の素晴らしいパフォーマンスを記録した『Live In London - the BBC Recordings 1972 - 1973』も発売されている。盛大な拍手を浴びているその時間、彼女も束の間の幸福を味わえただろうか。

TEXT:片山 明

アルバム『Judee Sill』1971年発表作品
    • <収録曲>
    • 01. Crayon Angles
    • 02. The Phantom Cowboy
    • 03. The Archetypal Man
    • 04. The Lamb Ran Away With the Crown
    • 05. Lady-O
    • 06. Jesus Was a Crossmaker
    • 07. Ridge Rider
    • 08. My Man On Love
    • 09. Lopin' Along Thru The Cosmos
    • 10. Enchanted Sky Machines
    • 11. Abracadabra
アルバム『Heart Food』1973年発表作品
    • <収録曲>
    • 01. There's A Rugged Road
    • 02. The Kiss
    • 03. The Pearl
    • 04. Down Where the Valleys are Low
    • 05. The Vigilante
    • 06. Soldier of the Heart
    • 07. The Phoenix
    • 08. When the Bridegroom Comes
    • 09. The Donor
『Judee Sill』(‘71)/Judee Sill
『Heart Food』('73)/Judee Sill

OKMusic編集部

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