テリー・ライリーとクロノス・クァル
テット、9月26日にビルボードライブ
横浜にて一夜限りの日本初競演が決定
 坂本龍一、田中泯、岸田繁らからコ
メントも

世界的作曲家/音楽家、テリー・ライリー。世界で最も影響力のある弦楽四重奏団のひとつ、クロノス・クァルテット。半世紀近くに渡って固い絆で結ばれ、ジャンルの枠に囚われないユニークな存在であり続けている両者が、初秋の横浜で一夜限りの日本初競演を開催することが決定した。
クロノス・クァルテット (c) Erik Kabik
テリー・ライリーとクロノス・クァルテット。「クラシック」や「現代音楽」といったジャンルの壁を飛び越え、長年にわたって音楽シーンにユニークかつ多大なインパクトを与え続けてきた両者の師弟関係は非常に強固である。その蜜月の始まりは、後年数々のグラミー賞に輝くこととなるクロノス・クァルテットのキャリア最初期、’ 70年代のカリフォルニアに遡る。
当時、テリー・ライリーは、1968年に発表されたミニマル・ミュージックの金字塔「In C」や、ザ・フーの代表曲「Baba O’ Riley」(1971)にも大きな影響を与えた「A Rainbow in Curved Air」(1969)などで既に作曲家・音楽家としての評価を確立し、カリフォルニアのミルズ・カレッジで教授として教鞭を執っていた。そんなライリーがある時、プロとしてのキャリアを開始したばかりの新進弦楽四重奏団(=クロノス・クァルテット)を、大学が活動をサポートするレジデンス・アーティストとして選んだのである。テリー・ライリーは当時の事を「若い彼らはいきなり僕に作曲を依頼してきたよ」と楽しそうに回想している。
以来、クロノス・クァルテットにとってテリー・ライリーは、共同作業を最も多く行なっている作曲家の一人であり、彼らのために書き下ろしたり、彼らが初演したライリー作品は非常に多い。例えるなら黒澤明と三船敏郎、あるいはヨーダとルーク・スカイウォーカーのような、両者の互いへの深い敬意に基づいた幸福な関係が、21世紀の今日に至るまで続いている。
近年でも、惑星探査機「ボイジャー」打ち上げ25周年を記念して、「探査機から地球に送信されてきたサウンドをもとに音楽的なイベントを」というNASAの依頼で作られた楽曲「サン・リングス」のアルバムが、’ 20年度のグラミー賞も受賞している(初演は’ 02年)。
クロノス・クァルテットは一昨年、久しぶりの来日ツアーを行う予定であったがパンデミックのため延期。振替ツアーである今回の来日は実に19年ぶり。本公演はそのスピンオフ。パンデミックのため同年2月以降、日本に留まる事を選んだライリーとの日本初競演コンサートが遂に実現。コロナ・パンデミックが生んだ僥倖とも言えるこの貴重な一夜。それぞれの演奏はもちろんのこと、両者によるセッションも予定されている。ぜひ、間近でライブを体験してほしい。
■Comment for テリー・ライリー / クロノス・クァルテット

坂本龍一 (作曲家/アーティスト)
坂本龍一
テリー・ライリーとクロノス・カルテットは、これまでいくつかの素晴らしいアルバムを出しています。
僕はそれぞれのファンなので、彼らのコラボは嬉しくて仕方がありません。
今回はどんな音楽をやってくれるんだろう、と興味津々です。
ぜひ多くの人に聴いてほしいと思います。
Photo by zakkubalan ©︎2022 Kab Inc

◆ジム・オルーク (ミュージシャン)
ジム・オルーク
32年前、シカゴで初めてテリー・ライリーとクロノス・カルテットを観たときのことは、今でも強く印象に残っています。
テリーが持っていたヤマハのオルガンは、チューニングと倍音が彼の正確な耳と合うように改造されていたのを覚えています。
音楽がホールに反響しながらも、格子状の構造を作り出し、私の耳が見えるようになったのを覚えています。
このような思い出を、みんなが未来に引き継いでくれることを願っています。

◆ピーター・バラカン (ブロードキャスター)
ピーター・バラカン
クロノス・クァルテット + テリー・ライリー。
どんな展開になるか、予想できません。
それでも、このそうとうレアな共演を想像しただけでわくわくします。

◆犬童一心 (映画監督)
犬童一心
もはや伝説なはずなのに、
気付けば、イキイキとテリー・ライリーとクロノス・クァルテットが横浜にいるそうです。
すごい。リアルか?
その、今を纏った音が、どこへ向かうか、聴きとどけたい。

◆一柳慧(作曲家)
一柳慧
テリー・ライリーは今もまぎれもなく、先駆的ミニマル・ミュージックの作曲家である。
彼はあまたの後輩のミニマリスト達に大きな影響を与えながら、
今も自分の書法を貫いて
インシーを連想させる他の人が真似できない音楽を書き続けている。

◆田中泯
田中泯
野望という言葉が好きだ。
文字を見ていると頑張れ、自意識を解放せよ、勇気を持て、と言われているようだ。
「ミニマル」は僕にとって等身大の野望だ。
ジャンル示す言葉などではない。
テリーさんの方へ走っていってみよう。
©︎石原淋 Rin Ishihara
蓮沼執太
テリー・ライリーさんの音楽とは、
高校生の時に『Shri Camel』と出会い、自由学園明日館で初めて生演奏を聴きました。
NYウォール街のフェデラル・ホールで観た、息子さんギャンさんとの共演も暖かいものでした。
この夏、テリーさんのラーガ・クラスに参加しました。
空間に漂う気配に寄り添うようにして、
テリーさんの口から発せられた音は、自由で開放された響きでした。
テリーさんの音楽はこのラーガ体験のように、
常に生まれ続けて、生まれ変わっているように感じます。
過去を軽々と更新して、どんどん新しい未来へ進んでいる。
このコンサートは創造性に触れるチャンスです。
岸田繁

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