葛葉「やっぱかっこいいっすね、みん
な!」『Kuzuha & Kanae & ROF-MAO
Three-Man LIVE「Aim Higher」』レポ

2022.7.27(Wed)Kuzuha & Kanae & ROF-MAO Three-Man LIVE「Aim Higher」@ぴあアリーナMM
2022年7月27日(水)、横浜・ぴあアリーナMMにて『Kuzuha & Kanae & ROF-MAO Three-Man LIVE「Aim Higher」』が開催された。「にじさんじ」に所属するバーチャルライバーである葛葉、、そしてROF-MAO (加賀美ハヤト・剣持刀也・不破湊・甲斐田晴)の、6人・3グループによる3マンライブとなる。会場は1階席から4階席まで埋まり、立ち見客まで並ぶほどの超満員。また各出演者の冒頭の一部無料(シリアルコード購入で全編視聴可能)で配信されたニコニコ生放送にも、画面を埋め尽くすほどの大量のコメントが寄せられていた。バーチャルライバーならではの演出や自由なトーク、アイドルさながらのステージは興奮必至。その圧倒的なパフォーマンスをレポートしていく。
■冒頭アナウンスも出演ライバーが担当。4人同時のバク転も披露したROF-MAOのステージは圧巻
ステージ開始の18時直前、館内アナウンスで「みなさんこんばんはー、叶でーす」「不破ッ、湊でぇーす……」「甲斐田ッ、晴です!」とライバー3人が個性的に挨拶。開演に先立っての諸注意とお知らせを、出演者らが自ら読み上げるというファンサービスを行った。途中で噛みそうになりつつも、アナウンスは終了。最後は「せーの……」と「また後でねー」の声がかぶるというややグダグダな締まりの悪さで笑いを誘い、早くも会場を沸かしていく。
しばらくして、オープニングの映像が画面の中央スクリーンに流れ始める。10から1までのカウントダウンのたびに高鳴っていくジングル。客席のペンライトは思い思いの「推しライバー」のカラーで染まり、照明が落ちた会場を銀河のような美しさで彩っている。
1組目にはROF-MAOが登場。4人揃った黒の衣装に身を包み、早速彼らのデビュー曲「New street, New world」から会場を沸かせる。続けて2曲目では加賀美ハヤトが「今からぴあアリーナ、ダンスホールにしていいですかー?」と叫び、パーティチューン「Let’ s Get The Party Started!」を披露。間奏では甲斐田晴と不破湊が「うわー、めっちゃいるっすよ、人!」「可愛い子多いねぇ」「うわっ、目ぇ合った、目ぇ合った!」と自由過ぎるトークを繰り広げれば、加賀美ハヤトがどこからともなく巨大な岩を抱えて「ライブに戻れー!」と言ってぶん殴る……という、バーチャルライブならではの愉快な演出も繰り広げられる。
MCパートを挟み、3曲目にはORANGE RANGEのカバー「キリキリマイ」を披露。「ステージ爆発3秒前、3、2、1……」でステージから火花が上がる激しい演出も。キレのいいラップを披露しながら、4人は縦横無尽にステージを練り歩く。かなりハードなステージを終え、「すごい運動量ですね」「トップバッターっぽい」とメンバーらから感想が漏れる中、加賀美ハヤトは「収録とかしてるときの脳内BGMがこれになることが結構多かった」と、意外な選曲理由を語った。
またMCの話題は、グッズ紹介のペンライトから、それぞれのメンバーカラーへ。そこで剣持刀也が、動画のコメント欄の文字が不破湊と「紫」でかぶってしまっている問題に触れた。「今日はじゃんけんで決めよう」と剣持刀也から持ちかけたのだが、結果は、仕掛けられた方の不破湊が勝ってしまうというまさかの事態に。「何で負けるんですか!勝負挑んどいて!」と不破湊にツッコミを入れられつつも、剣持刀也のコメントカラーは一時的に「青」へと落ち着いた。

「どうやら儀式が済んだみたいなんで……あの曲に参りましょうか」と加賀美ハヤトが匂わせつつ、続いて披露されたのは「I wanna! You wanna!」。サビでメンバーが揃って大きく手を振るなどの派手な振り付けを見せるが、もちろんそれだけではない。間奏部分で「あれいきますよー!フォーメーションB!」と加賀美ハヤトの掛け声で4人等間隔に並ぶと、「1、2、1、2、3、GO!」の掛け声で一斉にバク転を決める。バーチャルライバーの限界を超えたアクションに、会場の熱はますます上がっていった。

そして5曲目には、カバー曲「きみはマザーファッカー」を披露。スクリーンの映像も原曲を歌うザ・リーサルウェポンズのMVさながら、「新番組」「出演 加賀美ハヤト 剣持刀也不破湊 甲斐田晴」「提供 Aim Higher」などのテロップが並ぶという細かい演出も見られた。
早くも舞台は終盤へ。打って変わって、「ラックハック」「知っている手紙」と、クールで切ない曲を2曲続けて披露。やがて最後のMCでは一人ひとり、今回の感想が告げられた。まずは「ペンライトの海、こんな景色なのかと。とても素敵な思い出になりました」と甲斐田晴。不破湊は、「俺たち、がんばってきてたんだな。がむしゃらにやってきてはいたけど」と、この日の舞台に立てたことをしんみりと語った。剣持刀也は「本当に幅が広がっている。何回も(ライブを)行ってるけど、感慨深いんだ。日々成長させてくれてありがとう」と感謝を述べ、最後に加賀美ハヤトが「もうすぐ(ROF-MAOが結成して)1年ですよね。みなさん懲りずにご愛顧いただけたら」と社長らしく締めた。そうして最後に「前進宣言」で再び会場をブチ上げ、圧巻のステージを終えた。
■デビューアルバムを引っ提げ、アーティストとして新生。魅惑の王子・叶に、観客一同が虜に
続いてのステージには叶が登場。黒子のバックダンサー2人を引き連れ、当日にリリースされたばかりの1stミニアルバムから「ブロードキャストパレード」を披露した。天使のような笑顔を振りまきつつも、2曲目には一転、アップテンポなカバー曲「天才ロック」をダンサーらと動きを合わせながら歌い、アーティスト・叶の姿を見せつけた。
ただ物凄い運動量に、続くMCでは「はあ、はあ……お水をいただいていいですかね……想像以上に大変で」と苦労の様子も伺わせるが、その漏れる吐息にさえ色っぽさを感じてしまう。デビューアルバムの宣伝も挟みつつ、この日の特別衣装もステージをくるくる回りながら披露し、「ちょっと酔った……」とお茶目なセリフも漏らした。
3曲目には「エンヴィーベイビー」、そして4曲目には「ダウナーウィッチ」と、色っぽい歌とダンスでカバー曲を続けて披露。スクリーンに映し出される幻想的な映像も相まって、完全に引き込まれてしまう。「歌ってみた」動画としてもアップしているこの2曲については、続くMCでも「『ダウナーウィッチ』とか、当時は何回も何回も録り直して、思い出深い曲」とこだわりを語った。
たった一人でステージに立つことを「めちゃめちゃ緊張している」と語りつつも、「なかなかこんなに自分の思いを伝えさせていただける機会もない」とポジティブな感想も述べる叶。続く5曲目には再びデビューアルバムから「ANEMONE」を披露。さらにMCを挟み、6曲目には、メディアミックス作品『Lie:verse Liars』の主題歌として自身が歌う新曲「ハルを追いかけて」がフルバージョンでライブ初披露となった。
ステージは暗転。響き渡る拍手の中で、7曲目にはカバー曲「パメラ」を披露。美しい高音域と感情に訴えるようなダンスで、ますますステージは魅力的に彩られていく。続く8曲目では再びダンサー2人が戻ってきて、YOASOBIのカバー「群青」を共に踊り、高らかに歌声を響かせた。
いよいよ次の曲で最後ということで、MCにてステージの感想を述べる叶。今回のセットリストは自身で考えたものだそうだが、「僕が5年やってきて、僕が僕と思うものを選ばせていただきました」とのこと。最後の曲も、「僕をたらしめるもので、最も大切な曲」として、「花束の行方」を歌い上げる。曲の合間では天井に向かって投げキッスも披露し、ファンの心を最後まで離さない、永遠に見とれてしまうような舞台を締めくくった。
■セクシーでスタイリッシュなキング・葛葉が登場。茶目っ気たっぷりのユルいトークとのギャップに悶絶
いよいよ最後の1組、「待たせたなー!最後まで盛り上がっていくぜー!」と、葛葉が登場。観客席のペンライトは叶のターンブルーから、一気に葛葉のブラッドレッドに染まり上がる。一面に広がる曼殊沙華畑のような光景の中、1曲目に「Wonder Wanderers」、2曲目に「Bad Bitter」と、序盤からハードなロック曲を披露した。
最後はキメポーズをするも、「……っぷっ、ハーッ、ハーッ……」と大きく息を吐き出し、「水飲みまーす……」とキメ顔から一転、いつものユルい葛葉の表情を見せた。「ニートにはキツいな!しんがりニートはヤバすぎでしょ!」と「(叶の)踊りもかっこよかったし、(ROF-MOAの)バク転なんかもできないですけど、精一杯やらせていただきます」とギャップを見せつつ、会場を楽しませていく。ユルいながらもエンターテイナーとしてはキングの風格だ。
続く曲ではソファに腰かけ、「神っぽいな」を披露。ノリのよい振り付けとクールな歌声で神々しさを醸し出しつつ、続くMCでは「これ、意外と様になってるでしょ?加えて、休憩もできるのよ。この一石二鳥、とんでもねぇな」と、実に100歳超えのニートらしい感想を述べた。
続くステージではスタンドマイクで4曲目に「甘噛み」、5曲目に「エンドゲーム」と、色気あふれる2曲を披露。6曲目では一転、バラード曲「Owl Night」で観客のハートを一気に奪い去っていく。誰もがオーバーキルを迎えたであろうこのステージのあとのMCでも、「どうでした?スタンドマイク演出。スタンドマイクをうまく使うと、動きを減らしながらよく見せれるんですよ!」と、また茶目っ気たっぷりのトークも忘れない。
早くも終了間近。「改めて、気持ちいいっすね!」と舞台の感想を述べた後も、「こういう場に来ると、ダンスもやろう、ボイトレも頑張ろう、作曲なんかも頑張っていこうかなと思うんですけど、家帰ると8割ぐらい減るんですよ、モチベーションが」と自由度の高すぎるトークは止らない。「残り2割で、微々たる成長を見せてます!」と言えば、会場からは温かな拍手が送られる。むしろたった2割でそこまでの成長に至ったのかと考えれば、そのポテンシャルたるや計り知れない。
最後の2曲には、「一生懸命を見せたいと思います。よろしくお願いいたします!」と謙虚な姿勢を見せながら、「debauchery」、さらにL'Arc〜en〜Ciel のカバー曲「READY STEADY GO」で、セクシーかつスタイリッシュなステージを閉じた。
■アンコールで6人全員集合!最後の場内アナウンスまでファンサがすごい
会場にアンコールの拍手が鳴り響いたあと、ステージには出演者の6人が全員集合。左から葛葉・加賀美ハヤト・剣持刀也・不破湊・甲斐田晴・叶の並びで改めて挨拶を述べた。
ここで葛葉が「じゃあ、改めて……」と仕切り、ステージの一人ひとりに感想を求める。まずは加賀美ハヤトが「みんな、いつの間にこんなの仕込んでたんだ!?」と互いのステージの凄さを讃えれば、他のメンバーからも「ダンスとかさ」「パフォーマンスとかも」「『神っぽい』し」と思い思いに感想があふれ出す。剣持刀也も、「3マンなんで、他の人が目当てのお客さんもいたんじゃないかと思うんですけど、たぶん全部楽しめたんじゃないかと」と言えば、観客も拍手でそれに同意した。
続いて不破湊は、全員が新規3D衣装であることに触れ、「それも本当にびっくりしまして。また、第2回やろうよ」と気さくな調子でとんでもない誘いの言葉を送り、再び会場も割れんばかりの拍手で包まれる。また甲斐田晴は、「ライバーって意外と夏休みが無くて。みんなと一緒にできたし、みんなに聴いてもらえたから、今日の絵日記はこれかな、みたいなイベントができた」と小学生のような愛らしい感想で、観客の母性本能をくすぐった。
そして叶。今までのライブでは、開催されるたびに「このライブが一番楽しかったを更新し続けてきた」そうだが、「今回は名残惜しさと言うか、寂しい気持ちも。いつもと違う角度を見せていただきました。素敵な一日をありがとうございました」とアーティストらしい感想を述べ、拍手が起こる。
最後は葛葉。「やっぱかっこいいっすね、みんな!ダンスはすごいよ!バク転怖いよ!」と一人ひとりを褒めまくりながら、「モチベーションをすごい沢山もらってるし。それを放出できるのがいいことだと思うので……」と言いかけると、「何かいいことを言おうとしてるな」と周りにツッコミを入れられ、最後は「あー、超楽しかったわー!みんな、マジありがとー!」と照れ隠しで雑に締めてしまい、笑い代わりの拍手で会場は大いに沸いた。
そしてアンコール曲として、6人全員で「虹色のPuddle」を披露。客席はふたたび、開演のときのように思い思いの推しカラーで虹色に染まり、まさにステージと客席が一体となる感動的なフィナーレを迎えた。

6人が舞台を去ったあとも、「以上を持ちまして、本イベントの全プログラムが終了いたしました……」と、舞台を終えたばかりのメンバーらが自ら退場の際の諸注意をアナウンス。規制退場の間も、推しの生声に惚れ惚れしたままの観客の表情が印象的であった。
改めて、「Aim Higher」には「より高いところ(目標)を狙う」という意味がある。それは登壇のメンバーにとっての言葉であることはもちろん、会場を訪れた面々、また有料・無料含め配信で彼らの舞台を応援したファンに向けた言葉であるようにも感じる。ライバー一人ひとりも成長著しいが、それを支えるファンの一人ひとりも、常に一歩、また一歩と高まっていくモチベーションで、彼らのことを応援し続ける。そうやってファンとして「推し続ける」というのも、一つの才能であると誇っていいのだ。それはまさに、最後に歌われた「虹色のPuddle」の歌詞でもつづられている。「好きなことを好きと言える 君が眩しいよ」と。
どうかこれからも、変わらない気持ちで推し続けて欲しい。それが彼らをまた「Aim Higher」へと導く原動力となるはずなのだから。
レポート・文=平原学

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