「小さな初音ミクが歌ってる!!」フラ
ンスJAPAN EXPO、熱狂の4日間。10月
にスペイン・マドリッドで開催のイベ
ント出演も発表!!
そのJAPAN EXPOで、自身初となる有観客ライブを行った一人の日本人歌い手女性がいた。アニソンやボカロ曲を中心としたJ-POPをカバーするなど国際派の歌い手として活動中のSinging Cosplayer Hikariだ。
その4日間の様子を時系列でお届けしよう。
■1日目:7月14日(木)
JAPAN EXPOの1日目。
この規模のイベントでは、日本では、信じられない話だが、JAPAN EXPOの音楽ステージでは、リハーサルがない。ぶっつけ本番で、ライブ直前の転換中に、サウンドチェックのみを行う。このサウンドチェックで、Singing Cosplayer Hikariが、日本の着物ブランド「ふりふ」のぶどう柄の浴衣で、フランスの観客の前に初めて登場すると、大きな歓声が沸き起こった。
他の日本人アーティストたちは、フランス語通訳を介して日本語でMCを行っていた。しかし彼女はJAPAN EXPOの3日間、3つのソロステージのMC全てをフランス語で行った。即興の「掛け声」以外、日本語を使うことはなかった。
彼女はフランス語を理解できるわけではないし、話せるわけでもない。「フランスの皆さんへのMCでは、私の想いを、きちんとフランス語で伝えたい」。そう考えた彼女は、数か月前からフランス語の発音レッスンで特訓し、歌とともにフランス語MCを披露したのだ。
MC後に披露した3曲目は、テレビアニメ『ギルティクラウン』のEGOISTの「The Everlasting Guilty Crown」だ。この曲は、今回のフランスでのセットリストのアニソンの中で、フランス向けということではなく、自分が大好きな曲を歌いたいという理由で選曲した曲で、フランスの方が知らなくてもしょうがないという思いで選んだ曲だった。
しかし、4日間毎日開催され、長蛇の列が出来続けた彼女のサイン会で、フランスをはじめとするヨーロッパの多くの観客が、サイン会で、彼女に語った言葉は、「The Everlasting Guilty Crownが一番良かったよ。」だった。彼女が今回のJAPAN EXPOで最も印象に残った出来事だったとフランス媒体でのインタビューでも語っている。
4曲目は、YOASOBIの「怪物」。フランスでは、テレビアニメ『BEASTARS』が人気で、このアニメの曲である「怪物」きっかけでYOASOBIのファンになる人が多いという。
再度フランス語のMCを挟んで、5曲目に、テレビアニメ『炎炎ノ消防隊』のMrs. GREEN APPLE「インフェルノ」のイントロが鳴り始めると、約800人まで膨れ上がった観客の歓声が、一層大きくなった。同曲は、JAPAN EXPO用に彼女が用意した曲で、イベント直前7月12日に、フランス・日本を含む全世界で音楽&映像配信開始した曲で、「残酷な天使のテーゼ」に勝るとも劣らない熱狂の渦となった。
3回目のフランス語のMCの後、最後の曲は「夢と葉桜」。2021年4月に彼女がカバーバージョンをリリースした曲で、ミュージックビデオはYouTubeで250万回再生されている。Apple MusicやiTunesのJ-Popチャートでは14か国で1位となり、フランスでも5回デイリー1位になった曲だ。こうして彼女の人生初有観客ライブ、フランスデビューは大成功に終わった。ライブ後のサイン会には、その後、3日間4ステージを全て観に来ることになるフランスをはじめとするヨーロッパ中の新しいファン達が長蛇の列を作った。
実はこの日の夜、イベント主催者と出演者や関係者によるオープニングパーティーが会場内で行われた。日本のみならず海外でも人気の日本の制服ブランドLucyPopのアリス柄のひと際目立つ制服で参加した彼女は、現地インフルエンサーに、たくさん声をかけられ、双方のSNSに写真をアップした。なかでも、現地の歌い手インフルエンサーとは、彼が歌うフランス語版のアニソンと彼女が歌う日本語版アニソンカバーの動画を見せ合うなど大いに盛り上がりを見せた。
■2日目:7月15日(金)
そして、7月15日金曜JAPAN EXPO2日目。例年JAPAN EXPOでは、金曜日の来場者が一番少ないため、今回はこの日だけ入場料を安くした影響で、この日は、初日を超える遥かに多くの来場者が会場を埋め尽くした。
JAPAN EXPOは、漫画家やアニメーターや声優のトークセッション、フィギュアなどアニメグッズの販売、イラストレーターによる漫画・アニメ風似顔絵イラスト、武道演武、殺陣披露、日本食の紹介などありとあらゆる日本文化を様々な形で紹介するイベントだが、中でも一番人気のコンテンツはコスプレである。ステージで登場する世界中の人気コスプレイヤーだけでなく、一般客も一緒に、イベント全体が、大コスプレ大会となっている。
Singing Cosplayer Hikariは、その名前からコスプレイヤーであると紹介されることも多いが、彼女は全くのコスプレ未経験で、2021年元旦の歌い手活動開始と同時に、コスプレを始めたばかりのコスプレ初心者である。国内のコスプレイベントへの出演実績はなく、昨年7月にイギリスの同種のイベントHYPER JAPAN ONLINE 2021に、今回のJAPAN EXPO同様歌い手、コスプレイヤー双方で参加したのに続き、2回目である。
今回もその時と同じ、「千本桜」衣装の初音ミクコスプレで、臨んだ。ウィッグを制作したのは、日本の人気コスプレイヤー「えなこ」のウィッグなども手掛けるウィッグ制作の第一人者のshotacが担当した。人生初のライブの翌日のライブがキャパ3,000人のKITSUNEステージ。「こんな広い会場に、お客さん集まるんでしょうか?」の本人の懸念をよそに、10時45分~の午前中のステージにも関わらず、約1,500人もの観客がライブ時間前に集まっていた。最前列から中央部分には、もともとYouTubeなどSNSで彼女を知っていた数十名のファンの他、前日の1stステージで彼女に魅せられたファンが中心に約500人。そして、その周りに集まったのは、コスプレステージの観客席に常駐する「来場者コスプレイヤー」や「コスプレに興味のある来場者」など約1,000人。合計で約1,500人もの観客が集まっていたことになる。
後に、フランスの地上波ラジオ局のRadio Canutの人気番組「MUTEKI」のディレクターが取材時に、この時の様子を教えてくれたのだが、この瞬間以降、身長154cmで細身のSinging Cosplayer Hikariは、「小さな初音ミク」と呼ばれていたらしく、「小さな初音ミクが、ボーカロイド曲をライブしてる。しかもめちゃくちゃ上手い!今KITSUNEステージに来て!!」とコスプレ仲間に連絡したとのことだ。この後、KITSUNEステージには、どんどん人だかりができていく。
前日同様のフランス語のMCの後、2曲目、3曲目は、フランスの知名度に確信はなかったものの、彼女のカバー曲の中では、比較的新しい曲となっている「フォニイ」と「マーシャル・マキシマイザー」を立て続けに披露。イベントのオープニングパーティーで出会ったインフルエンサーはTikTokerが多く、フランスにも、TikTokuユーザーも多いようで、日本ではTikTokでも人気のあったこの2曲は、フランスにも知名度があったようで、引き続き盛り上がりを見せた。
2回目のフランス語MCの後、披露したのは、彼女がボカロ曲の中で、「夢と葉桜」と並び、思い入れの強いAyase作詞作曲の「夜撫でるメノウ」。同曲を披露したこの日以降、Apple MusicフランスのJ-Popトップミュージックビデオチャートに、彼女のカバーバージョンの「夜撫でるメノウ」がチャートインし始めた。
その後は、日本同様暑い日が続いたフランスで、日本の夏のボカロ曲「Fire◎Flower」「アサガオの散る頃に」を「三松」「ふりふ」の浴衣を着ながら歌う彼女のミュージックビデオを背景に、「小さな初音ミク」の歌声が響く。観客の数は増え続け、約3,000人にまでに膨れ上がっていた。この日も最後の曲は「夢と葉桜」で締め、堂々と人生2回目のライブを3,000人の観客の前で披露した。最後のMCでは、翌日の自分のLucyPopの制服衣装とお揃いのリボンとネクタイを物販ブースで販売することをフランス語で告知した。
確かに、データでは、YouTubeやSpotifyに、たくさんのフランスの方が彼女の動画を見たり、カバー曲を聴いてくれるデータはあったものの、リアルに「この娘だったのか!」という実感をHikari自身が感じ、今後のさらなる国際的な活動に手ごたえを感じ始めた。
■3日目:7月16日(土)
7月16日土曜。JAPAN EXPO3日目。前日よりさらに多くの来場者が会場を埋め尽くした。
初日と同じ13時15分からのTSUBAMEステージの前には、初日より遥かに多い約800人がぎっしりステージ前を埋め尽くし、最前列には、彼女とお揃いのLucyPopのリボンをつけた女の子がいた。
サイン会や物販ブースで配布した約1,000枚のフライヤーやSNSで投稿したスケジュール画像に使われたメイン画像がこの日のLucyPopの制服だったこともあり、彼女がステージに登場しただけで大きな歓声が起こった。
最初のフランス語のMCの後、「インフェルノ」「怪物」と初日と同じ曲を披露。2回目のMCの後、2日目と同じ「夜撫でるメノウ」の次に、テレビアニメ『超時空要塞マクロス』の劇中でリン・ミンメイこと飯島真理が歌った「愛・おぼえていますか」を披露した。同曲は、アニメの中の戦争の中で、失われた文化の記憶をこの曲の歌声で、敵も味方も思い出すという曲となっている。
ウクライナ紛争開始直後から、Apple MusicウクライナのJ-Popトップミュージックビデオチャートで、Singing Cosplayer Hikariの「夢と葉桜」が15日以上連続でデイリー1位となったことを受け、急遽YouTubeに公開することにしたのが、「愛・おぼえていますか」の動画だ。日本語・英語・フランス語の他に、ウクライナ語・ロシア語の歌詞翻訳字幕をつけて公開しており、圧倒的にウクライナ語とロシア語の字幕環境で再生されている。
紛争地域を飛行機が避けるため、日本から15時間かけてフランスにやってきた彼女が、今なお近くで紛争が続くヨーロッパはじめ世界の平和を願って歌い上げた。
そして、この曲の後のMCで重要な発表があった。「皆さん、これが私のフランスで最後のソロステージになります。寂しいですか!?」とフランス語で呼びかけると、「寂しい!」と歓声が沸き起こる。
「ここでお知らせです。10月1日と2日、スペインのマドリッドで開催されるOtaku Partyというイベントに私が出演することになりました。是非スペインまで会いに来てください!」と彼女が告知すると、ステージ前方から中央に陣取っていたこの3日間ですでに熱心な彼女のファンになった観客から歓声が沸き起こった。
今回のフランス遠征で大きな手応えを感じた Singing Cosplayer Hikari。間髪入れずに、わずか3ヶ月後の海外ライブ第2弾を発表した。スペインからのJAPAN EXPOの来場者だけでなく、多くのフランスのファンがスペインまで駆けつけることになりそうだ。
さらに、ここでステージには、 Singing Cosplayer Hikariがパーソナリティをつとめるアニソンセッション番組『アニソンPARTY!』の共演者、大西洋平が登場(日本の文化放送でラジオオンエア。フランスではManga NewsのYouTubeチャンネルで公開)。
Singing Cosplayer Hikariは、なかやまきんに君とのコラボで2022年1月にリリースし、すでに100万ストリーミング再生を超える配信ヒット曲「お願いマッスル」を大西洋平と共に披露した。サイドチェストポーズや彼女が振付を考案したダンスも交え、大盛り上がりで終了した。
4曲目からは、Singing Cosplayer Hikariがステージに登場し、「怪物」と同じく、テレビアニメ『BEASTERS』の曲であるYOASOBIの「優しい彗星」を二人で歌い始める。続く5曲目に、テレビアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のいきものがかり「ブルーバード」を歌い始めると、観客の合唱が始まり、盛り上がりが加速した。
さらに、ステージには、フランスで、テレビアニメ『鬼滅の刃』竈門炭治郎役のフランス語版吹き替え声優のエンゾ・ラツィトが登場し、ステージの3人が、アーティスト名義「アニソンPARTY!」で、7月10日に配信を開始したテレビアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』16代目オープニング曲であるKANA-BOONの「シルエット」を披露すると、会場のボルテージは最高潮に達した。
■4日目:7月17日(日)
JAPAN EXPO最終日となる7月17日日曜には、Singing Cosplayer Hikariのサイン会と物販だけが行われた。ライブは行われなかったものの、フランスを中心とするヨーロッパのファンたちが、彼女との別れを惜しんで多数集まり、会場は大いに賑わった。
【Singing Cosplayer Hikari フランス JAPAN EXPO Paris 2022 全ライブセットリストとYouTube動画プレイリスト】
[ 7月14日 (木) ]
【Singing Cosplayer Hikari 全34曲のカバー歌動画YouTubeプレイリスト】
【Singing Cosplayer Hikari SNS情報】
【制服ブランドLucyPop情報】
【Otaku Party Madrid情報】
【文化放送『アニソンPARTY!』情報】
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