今、ライヴを観るべき最前線バンド5組

今、ライヴを観るべき最前線バンド5組
今年、春から夏にかけて、さまざまなフェスが開催されています。04 Limited Sazabys主催の『YON FES 2022』、NOISEMAKER主催の『KITAKAZE ROCK FES.2022』、PIZZA OF DEATH RECORDS主催の『SATANIC CARNIVAL 2022』、SiM主催の『DEAD POP FESTiVAL 2022』と無事に行なわれ、ライヴ好きの音楽ファンにとって”当たり前の日常”が徐々に戻っています。とはいえ、油断は禁物であり、状況は刻一刻と変わっていきますが、音楽シーンが前に進んでいることは間違いありません。ここでは今年上半期のフェスで目撃し、心を鷲掴みにされたバンドや現場をとんでもなく沸かせていたアクトをピックアップして紹介します(*例外あり)。
「GODSPEED」収録アルバム『NU BLACK』/SPARK!!SOUND!!SHOW!!
配信シングル「SLAY!!(feat.Hideyoshi)」/Paledusk
「SHINOBI TOP SECRET」収録アルバム『TREASURE』/Wienners
「Stir it up」収録アルバム『Buddys FM 045』/IRIE BOYS
「東京」収録アルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』/東京初期衝動

「GODSPEED」('19)
/SPARK!!SOUND!!SHOW!!

「GODSPEED」収録アルバム『NU BLACK』/SPARK!!SOUND!!SHOW!!

「GODSPEED」収録アルバム『NU BLACK』/SPARK!!SOUND!!SHOW!!

今年、各地のフェスで引っ張りダコ状態のスサシ。それも納得のパフォーマンスで、現場を、観客を、最高潮のフルテンションに引き上げる能力はちょっと頭1つ、2つ、3つぐらい飛び抜けているんじゃないかと思うほど、盛り上げるのが上手い。『DEAD POP FESTiVAL 2022』では灼熱の天候も相まって、ツノ付きフードタオルを身につけている観客があちこちにいた。それに対して、「ピカチュウ(※ツノ付きフードタオルを被っている人がピカチュウに見えるから)以外は座って!」と声をかけ、ピカチュウの観客だけジャンプさせるシュールな景色を作り上げ、現場に爆笑の風を吹かせた。もちろんピュンピュン!と鳴り響く電子音を含め、破茶滅茶なミクスチャーサウンドと奇天烈なパフォーマンスで観客のハートを完全掌握。一度ライヴを観れば、ぶっ飛ばされること間違いナシ!

「SLAY!!(feat.Hideyoshi)」('22)

/Paledusk

配信シングル「SLAY!!(feat.Hideyoshi)」/Paledusk

配信シングル「SLAY!!(feat.Hideyoshi)」/Paledusk

メタルコアを出発点に、ゴリゴリの音像を突きつけていた彼ら。ここ数年でヒップホップやエレクトロを貪欲に取り込み、MVもあえてメタルコアとは一線を引いたカラフルなチャラさを押し出し、独自の道を開拓している。ライヴ自体は自分たちの根っこにあるヘヴィミュージックのダイナミズムは失わないまま、横幅を最大限に広げた刺激的な音像を振りまき、『SATANIC CARNIVAL 2022』でもラウド/パンク好き両方のファンをブチ上げるハイセンスっぷりを発揮。まずはライヴハウスで彼らの音を浴びてほしい。

「SHINOBI TOP SECRET」('22)
/Wienners

「SHINOBI TOP SECRET」収録アルバム『TREASURE』/Wienners

「SHINOBI TOP SECRET」収録アルバム『TREASURE』/Wienners

7月20日に待望のニューアルバム『TREASURE』を発表するWienners。その新作からTVアニメ『ニンジャラ』エンディングテーマとなったこの曲のMVが先行公開された。オモチャ箱をひっくり返したキラキラしたごった煮パンクに和風テイストを振りかけ、またアサミサエ(Vo&Key&Sampler)による演歌調の歌い回しも極上のフックとなっている。すでにライヴで同曲は披露されており、早くもフロアーを激しく揺らすアンセム曲と化している。ここ最近のWiennersのライヴ強者ぶりは、現場の沸騰具合が物語っている。底抜けのパーティーサウンドを体感してほしい。

「Stir it up」('21)/IRIE BOYS

「Stir it up」収録アルバム『Buddys FM 045』/IRIE BOYS

「Stir it up」収録アルバム『Buddys FM 045』/IRIE BOYS

『DEAD POP FESTiVAL 2022』に出演予定だったtricotのメンバーが濃厚接触に該当することなり、急遽キャンセル。その代役として、横浜発のミクスチャーバンドであるIRIE BOYSが登場。もちろん本フェスには初登場となったものの、ライヴハウスで鍛え上げてきた腕力を振りかざす豪放なパフォーマンスで、初見の観客を含めて、クラップ&ジャンプの凄まじい熱気で盛り上げていた。エスニックなフレイバーに加え、自由奔放なロックサウンドが痛快で、フロントマンのAlan(Vo)はジャンベを叩き、原始的なリズムを注入。tricotの穴を見事に埋める大活躍で、ライヴバンドとしての矜持を魅せつけてくれた。

「東京」('22)/東京初期衝動

「東京」収録アルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』/東京初期衝動

「東京」収録アルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』/東京初期衝動

2ndアルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』ツアーファイナルとなった渋谷クアトロ公演(6月17日)。男顔負けのワイルドなパンキッシュさ、アイドルも裸足で逃げ出すキュートなポップ性、そのふたつを両輪にエンターテイメント性をグッと高めた彼女たちのステージングに魅了されっぱなしであった。以前は音をブッ放すイメージが強かったけれど、現在は観客を招き入れ、一緒に盛り上がろうとするファンな空気が増している。そんなライヴの中で特に印象深く、胸に深く刺さったのがこの曲だった。しーなちゃん(Vo&Gu)は哀切な声色を押し出し、ギター、ベース、ドラムは一音一音を鮮明に響かせ、楽曲のドラマ性をきっちりと盛り上げていた。「東京」という曲名には名曲が多いけれど、そこに堂々と肩を並べる金字塔的一曲だ。そう言えば、ライヴ中に「モッシュしていいのか?」と男性客が声を発し、「ご自由にどうぞ!」と冷徹に突き放すしーなちゃんのパンク作法も最高だった!

TEXT:荒金良介

荒金良介 プロフィール:99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。愛読していた漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(登場人物に洋楽アーティスト名が使用されていたため)をきっかけに、いきなりレッド・ツェッペリンの音源を全作品揃える。それからハード・ロック/ヘヴィ・メタルにどっぷり浸かり、その後は洋邦問わずラウド、ミクスチャー、パンクなど、激しめの音楽を中心に仕事をしてます。趣味は偏ってますが(笑)、わりと何でも聴きます。

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