BiSHの想いが詰まった『MONSTER biS
H 2022』初日、キヨサクや真心ブラザ
ーズとの共演に「8年前ではありえな
いこと」

『MONSTER biSH 2022 〜最後にもう一度!絶対出たいぞモンバス!!〜 supported by MONSTER baSH』2022.5.28(SAT)・29(SUN)香川・さぬき市野外音楽広場テアトロン
『MONSTER biSH 2022 〜最後にもう一度!絶対出たいぞモンバス!!〜 supported by MONSTER baSH』
香川の中心地・高松から約22キロ。琴電の終着駅である琴電志度駅から車で20分ほど走ったところにある、大串自然公園(さぬき市)。さらにそこから、決してなだらかではない山道を登り降りしてようやく野外劇場のさぬき市野外音楽広場テアトロンに到着できる。
ステージの背景には瀬戸内海が広がり、その向こうには小豆島や豊島など離れ島を望むことができる。そんな見晴らしの良いロケーションのなか、5月28日(土)、29日(日)の2日間『MONSTER biSH』が開催された。『MONSTER biSH』は、「楽器を持たないパンクバンド」ことBiSHが、「モンバス」の略称で親しまれている中四国最大級のロックフェス『MONSTER baSH』への出演をアピールするため、2017年より開催しているイベントだ(後日、今年も出演が決定!)。
今回は、2023年にグループが解散することもあり『~最後にもう一度!絶対出たいぞモンバス!!〜』と銘打って実施。2日間計5組の出演者たちは、緑に囲まれた自然豊かな会場で自分たちの音楽を響きわたらせた。
UKULELE GYPSY「みんな生の音楽を求めて、しびれをきらしている」
UKULELE GYPSY(キヨサク from MONGOL800
初日のトップバッターで登場したのは、UKULELE GYPSY(キヨサクfrom MONGOL800)。フロントマンのキヨサクは「ゆるっとやりますんで楽しんでいってください」とウクレレの弦に指をなぞらせ、口笛を吹きながら誰もがよく知る「アロハオエ」でスタート。この日の香川は気温が30度を超える夏日となっていたが、たちまち清涼感が広がった。観客も座って体を揺らしたり、芝生スペースに寝転んだり、くつろぎながら音色に耳を傾ける。
2曲目は、MONGOL800の代表曲「あなたに」。スピーディーな原曲とは明らかに違い、ゆったりと染みわたるテンポ感で味わい深さを醸し出す。速さが異なるだけで、その曲が訴えかけてくるものが変わる。音楽が持つ不可思議さを感じることができた。
UKULELE GYPSY(キヨサク from MONGOL800)
「いやあ、実にゆるやかな始まりですみません」と笑うキヨサクは、「加山雄三さんから『沖縄の加山雄三を名乗って良いぞ』と言われたので」と加山の「お嫁においで」をカバー。おなじみの曲中台詞をアレンジして、「幸せだなあ。僕は『MONSTER baSH』でBiSHのみなさんに誘われたのが幸せだなあ」と口にした。
ブルーハーツのカバー「ラブレター」やオリジナル曲「祝福の唄」を弾き語ったあと、キヨサクは「今日は本当に開催できて良かった。モンパチのツアーも、否が応でも4年ぶりになりますし。そろそろみんな、生の音楽を求めて、しびれをきらしている時期ですよね」とロックファンの気持ちを代弁。
UKULELE GYPSY(キヨサク from MONGOL800)
ラストのモンパチの曲「小さな恋のうた」では、演奏途中でBiSHのメンバーが合流してコラボ。「初セッション、リハはほぼなし」というキヨサク。しかし事前準備がほとんどなくても、そこはさすが、日本のロック史に輝くヒットナンバー。BiSHの6人も印象的なサビを楽しそうに歌いきった。
時間を忘れそうなくらいのんびりとした景色にいかにもマッチした、UKULELE GYPSYのステージだった。
真心ブラザーズが放った、ロックンロールの真髄

真心ブラザーズ

続いて登場したのが真心ブラザーズ。1曲目「突風」でのYO-KING(Vo.Gt)のシャウトは、当初座っていた観客の腰を上げさせるには十分なほどの説得力があった。「今日は強力なリズム隊を連れてきました」とベースのグレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)、ドラムのサンコンJr.(ウルフルズ)が紹介され、「空にまいあがれ」「不良」を演奏。歌唱に熱を帯びてきたYO-KINGは、ここで上着を脱ぎ捨てた。
真心ブラザーズ
刺激的な言葉が吐き出される「人間はもう終わりだ!」では、桜井秀俊(Gt)の攻撃的なギターサウンド、そしてサンコンJr.の強烈な打撃音が聴き手の胸を叩きつける。さらにグレートマエカワのベースラインがうねりまくる。
真心ブラザーズ
「ここでスペシャルゲストをお呼びしたいと思います」とステージに招かれたのが、BiSHのセントチヒロ・チッチ。YO-KINGから「難しいのに、よくぞこの曲を。できるかな。でも失敗するくらいがちょうどいい」とコラボのセレクト曲について触れられると、チッチは緊張の面持ちで「好きな曲なんです。好きな曲がいっぱいあるので迷ったんですけど」と語った。そしてはじまった「拝啓、ジョン・レノン」。YO-KINGのシャウトボイスにチッチのなめらかな歌声が加わり、この名曲にあたらしい彩りを与えていく。チッチはときおり楽器隊の演奏を見ながら、充実した様子で歌った。

真心ブラザーズ

桜井が「次の曲は手短な曲なんですけど、付き合ってくれますか」とチッチに呼びかけ、YO-KINGが<どかーんと景気よくやってみようよ>と開口。真心ブラザーズ屈指のポップナンバーのコラボに、チッチも両手を上げて大盛り上がり。
その後は真心ブラザーズのみのセットに戻り、海が見えるロケーションにぴったりの「ENDRESS SUMMER NUDE」、色気たっぷりの演奏「明日はどっちだ!」で締めくくった。ロックンロールの真髄に触れるようなパフォーマンスだった。
●BiSH「真心さん、キヨサクさんたちは大好きな大先輩」
BiSH
日が沈み始めた18時20分頃、BiSHが登場した。格好良くスタートを切るかと思いきや、チッチはオープニングMCで「モンスタービッシュにじゅう……。あ、間違えた」と言葉に詰まると、場内から笑いが。「『MONSTER biSH 2022』!」と仕切り直して、「スパーク」で開幕。海の向こうにまで届きそうなアイナ・ジ・エンドのブルージーな声。そして発生ができない分、全身でアクションして彼女たちのパフォーマンスに応える清掃員。1曲目から会場が一体となった。
BiSH
チッチの「一緒にぶっ飛ばしていこう」の掛け声で「BiSH―星が瞬く夜に―」のイントロが鳴ると、一斉に大きな手拍子が。モモコグミカンパニーはまだ足りないとばかりに「みんな元気ですか!」と清掃員をさらにのせていく。
「ろっくんろおるのかみさま」のあと、MCでハシヤスメアツコは「私たちの後ろ、見えていますか。すばらしい海、そして空。めちゃくちゃ気持ち良いです」と笑顔を浮かべ、チッチは「真心さんが大好きなので今日も出てくださって、キヨサクさんも『MONSTER baSH』にたくさん出ている大大大先輩。大好きな先輩方なんです」とあらためて共演を喜んだ。
BiSH
●セントチヒロ・チッチ「今日という日に届けたかった曲」
BiSH
6人は『MONSTER baSH』の思い出について、初出演した2017年、ライブをするステージとは別のステージにハシヤスメが行ってしまったことを挙げ、チッチは「あっちゃん(ハシヤスメ)がひとりだけステージにいないという大事件があったけど、そこからいろんなことを乗り越えてここまできました」と振り返り、笑いをあつめた。
そしてアイナの「愛ってなにか分からへんけど、ひとつだけ答えを出しました。それは奪い合うものではないこと。次の曲は、もしみんながしんどくなっても、自分のなかにも目いっぱいの愛があるから、誰かの愛を羨ましいとかではなく、自分に目を向けてみたらという思いで振付を作りました」というMCから、「BROKEN」がスタート。マイクスタンドをメンバーがバトンパスしていく個性的な振付がアイナの「愛は奪い合うものではない」という言葉を示している。ラストでは自分なりの愛を見つけた瞬間を、全員がマイクスタンドをつかむことで表現した。
BiSH
「生きててよかったというのなら」の演奏は、ハシヤスメが「生きていて良かった。響きますね、この時間帯にこの曲は」と噛み締めれば、チッチも「珍しい曲をやりましたが、今日、届けたかったんです。今日という日はBiSHにとって特別な日で、明日からも目いっぱい届けていきたい」と感慨深そうに語った。
BiSH
「オーケストラ」「beautifulさ」で本編のパフォーマンスを締めくくり、アンコールでは「ALL YOU NEED IS LOVE」で「ここにいるすべての人に目いっぱいの愛を届けます」と清掃員たちに想いを捧げ、「サラバかな」で「この日をずっと忘れないでください」と訴えかけて全パフォーマンスを終えた。
ライブ後、UKULELE GYPSY、真心ブラザーズが再登場。アイナが「あらためてすごいメンツですよ。こんなことがあり得るとは思ってもみませんでした、8年前は」とグループ発足時を思い返すなど、いろんな気持ちを交錯させながら初日のクライマックスを迎えた。
BiSH
取材・文=田辺ユウキ 写真=オフィシャル提供(酒井麻衣)

■2日目のレポートは、明日6月24日(金)公開予定!

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