DAIGO☆STARDUST
『The space toy』に
あふれるロック愛!
DAI語的に言えば
“DYH=DAIGO、やっぱり半端ない”

David BowieとBOØWYへの愛

“聴き手を選ばなかった”と書いたが、M3「Queen Stardust」以降、彼自身の歌唱力もさることながら、歌の主旋律がとても親しみやすく、これもまた聴き手を選ばないものであることに気付く。M3はスタンダードなロックンロールで、メロディーはワールドサイズなポップさと言ってよかろう。M4「永遠のスペースカウボーイ」もポップだが、サビで少し切ない印象になっていくところに日本らしさが感じられる。M5「dear sunshine」もメロディーにはやはり和風があって、全体的にややマイナーでありつつも、サビはキャッチーに仕上げているのは優秀だと思う。この辺まで聴いてくると、本作がアルバムとして何ら問題がないばかりか、かなりちゃんとした音楽作品であることは明白である。メロディー展開や(おそらくは)コード進行などにはDavid BowieオマージュやBOØWYリスペクトが感じられて、非の打ちどころがないとは言わないまでも、2000年代J-ROCKのひとつの側面を象徴する作品と言ってもいいような気がしてくる。もしかすると、『The space toy』はよく出来すぎていたのかもしれない。それゆえに、いい意味でも、そして悪い意味でも、そのメロディー、サウンドがリスナーの想像の範疇を出なかったのではないだろうか。(語弊がある言い方だろうが)DAIGO☆STARDUSTは最初から優等生だったのだ。本作前半を聴いてそんなことを思った。

ソウルな雰囲気もあるM6「D☆TRANCE」はワイルドなギターリフがひたすらカッコ良いし、幻想的なエレピとシンセが終始楽曲を彩るM7「Dolly」はサイケデリックロックの匂い。朴訥にも思えるバンドサウンドのM8「ruby & sapphire」は、それゆえにロック少年のひたむきさを感じとることもできよう(その意味では、M8の間奏で入るモノローグは当時から賛否あったようだが、個人的には肯定的に捉えることができた)。モータウンビートを取り込んだダンサブルなナンバー、M9「I wanna be your star」は明らかにBOØWYの影響、もっと言えば布袋寅泰の影響を隠してない楽曲だろう。モータウンのリズムだけでなく、ギターのフレーズは「ホンキー・トンキー・クレイジー」や「季節が君だけを変える」辺りを彷彿させる。オマージュ、リスペクトだけでなく、ダンサブルさのあとで切ないメロディーを持ってくる辺りにはちゃんとDAIGOらしさを感じられて好感が持てるところでもある。そのあとで氷室京介作曲のデビュー曲でもある、M10「MARIA」を配しているのはBOØWY愛の表れだろう。シングル曲は本来2曲目に置くのが不文律である。M10はメロディーは氷室の「Claudia」と同じであるから、如何にもヒムロックな旋律ではあると認識はするが、DAIGOの声質とサウンドの仕上がりからは、そこまでヒムロックヒムロックした感じではない気はする。「Claudia」に比べると拙い感じは否めないものの、そこは若さの発露と前向きに捉えたい。アルバムのフィナーレはM11「heavy heavy」。ミドルテンポのヘヴィロック。Aメロはラップ調のヴォーカルで、サウンドは中東風とそれまでの楽曲とは一風変わった雰囲気で進むものの、やはりサビはキャッチー。彼のメロディメーカーとしての汎用性の高さのようなものを感じるのであった。

OKMusic編集部

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