2022年3月30日 at LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

2022年3月30日 at LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

【ザ・クロマニヨンズ
ライヴレポート】
『ザ・クロマニヨンズ ツアー
SIX KICKS ROCK&ROLL』
2022年3月30日
at LINE CUBE SHIBUYA
(渋谷公会堂)

2022年3月30日 at LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
2022年3月30日 at LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
2022年3月30日 at LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
2022年3月30日 at LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
2022年3月30日 at LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
 甲本ヒロトが“オーライ、ロックンロール!”とシャウトしてライヴがスタート! 始まった瞬間から、いつもと変わることのないテンションの高さでバンドの音が放たれ、甲本のヴォーカルが高らかに響き、がっちりと噛み合った歯車から生まれる4人のコンビネーションが会場を席巻する。今年1月24日からスタートした『ザ・クロマニヨンズ ツアー SIX KICKS ROCK&ROLL』の東京公演、3月30日LINE CUBE SHIBUYAのライヴは、“待望の”という表現が相応しい内容となった。いつもの光景でありながら、いつもと違うプロセスを通ったあとに取り戻しつつある“日常のロックンロール”にーー。

 コロナ禍もあり、約2年振りとなった全国ツアー。それだけでなく、今回のツアーがこれまでと違うのは、昨年8月から6カ月連続でシングルがリリースされ、表題曲とカップリング曲を収録してアルバム『SIX KICKS ROCK&ROLL』をリリースするという異例のプロジェクトが敢行されたことが大きい。

 いつもならシングル曲とアルバム曲という分け方で聴いていた楽曲たちは、昨年のシングル連続リリース方式により、個別に独立した楽曲として存在感を放つようになり、それぞれがファンにとって愛着を持つナンバーとして認知されてきた。インターバルを経て聴き込んだことで一曲一曲にすでに馴染みがあるせいか、いい意味で身構えることなくライヴに集中できるというわけだ。ファンの日常に溶け込んでいる、まさに”日常のロックンロール”をライヴでさらに体験できるというのは、大きな意味を持つ。まるでベストアルバムのツアーのような充実感がそこにあるからだ。

 ステージに話を戻そう。シンプルこの上ないロックンロールナンバーを次々に披露し、ひたすら会場の熱気を高めていくメンバーのその姿からは、ストイックでありながら心からライヴを楽しんでいるのが伝わってくる。魂の熱唱で曲の高みに一瞬で辿り着く甲本の喉は今日も最高潮だ。ハーモニカに持ち替えてソロを吹くと、会場の空気そのものが弾かれたように震える。真島昌利のギターソロはいつにも増してシャープで、楽曲に多くの聴きどころを加えていく。そして、ベースの小林 勝とドラムの桐田勝治による鉄壁のリズムセクションが楽曲たちを支える。

 ライヴの曲順も見事にストレートだ。これまでのツアーを経験したファンなら誰もが思うことだが、セットリストにあえてひねりを加えずにわかりやすい流れで曲をつないでいく。「千円ボウズ」をはじめ、アッパーな曲のスリリングな演奏でたたみかけるだけでなく、ミディアムナンバーでユーモラスなコーラスを取り入れた「もぐらとボンゴ」、レゲエの要素を取り入れ、間を生かしたアンサンブルの「冬のくわがた」など、ゆったりした曲でも彼らの持ち味は変わらない。

 また、切れのいいギターのカッティングで突き進む「ここにある」、印象的なメロディーが後味を残す「爆音サイレンサー」といった、幅広い曲調で魅了していく。さらに「ごくつぶし」では、分厚いサウンドでカッティングを聴かせる真島のギターと甲本のエモーショナルなハーモニカが鮮烈な対比を聴かせる。加えて、迫力のあるソロのかけ合いではライヴならではの醍醐味を見せつけ、前半のハイライトとも言える名場面を飾った。

“『SIX KICKS ROCK&ROLL』は12曲で構成されています。そして現在、11曲演奏しました。なかなか良かったと思います(笑)。自分で自分を褒めたいと思います。あと一曲、間違えないように頑張ります”

 …と甲本が折り返し地点で締め括る。連続リリースシングル曲だけでなく、ブルージーな「空き家」、高速8ビートの「メタリックサマー」といった過去の曲も彩りを加えていく。そして、これまでの彼らの代表曲も続々と登場。“ここから最後までブッ飛ばしてやりたいと思います。アキレス腱を伸ばしておけよ。今日は声を出したらいけんらしいけど、汗をかくのは大丈夫らしいから、5キロでも6キロでも痩せて帰ってくれ。準備はええか?”と甲本が煽ったあと、すかさずハーモニカのフレーズを繰り出し、ドラムのビートに合わせて真島が鋭いカッティングで応酬。「暴動チャイル(BO CHILE)」がパワフルに奏でられる。

 いっそう尖った演奏で後半はますますヒートアップ。「生きる」をはじめ、ライヴ映えする最強のナンバーが続くと、会場は底なしの盛り上がりを見せる。「紙飛行機」では真島がステージ上手に移動。客席近くでギターを弾いて煽る。そして、「タリホー」などアツい楽曲たちを浴びせたあと、“ありがとう、楽しかったよ”と楽器を置いたメンバー4人。これでいったん引き上げるのかと思ったら、ツアーグッズであるタオルを全員が客席に向けて掲げてみせる。しかも、結構長い時間をかけて。観客もその間、長い拍手でこの日のライヴを称える。タオルに描かれたツアータイトルを観客全員に刻みつけるように、観客はメンバーにねぎらいの拍手を刻みつけるように、互いにエールを交換し合う心地良い時間が流れていた。

 そして、ステージを降りることなく、ここからアンコールに突入。こういう演出だったのか、この日のノリだったのかは分からないが、ライヴをクールダウンさせることなくステージを続行! “盛大なアンコールをいただき、再び登場、ザ・クロマニヨンズ。あと短い時間しか残っていないけど、最後まで楽しんでいってくれよ!”といった名残惜しそうな甲本のMCに続き、冷めることのない熱気とともに「エイトビート」など、ライヴで起爆力を持つ曲で攻め続ける。この日最高のパフォーマンスに全身全霊を傾ける4人のタフさと、ロックンロールを心底愛する思いの強さが凝縮されたライヴであり、その姿勢は最後の一曲まで貫かれていた。

“ありがとう、楽しかった。またやりたい。また絶対やるぞ! ロックンロール!”

 ロックンロール愛にあふれた甲本のMCとともに、ラストは再びタオルを掲げて全員がステージに立ち、余韻を残してゆっくりと終了を迎えたのだった。

 リリースのタイミングでツアーを行なえなかった前作『MUD SHAKES』の収録曲も含め、4月まで続く今回のツアーでは彼らの生々しいロックンロールが堪能できる。ライヴでしか味わえない衝動と感動をぜひその体に刻んでほしい。

撮影:柴田恵理/取材:岡本 明

※現在ツアー中のため、セットリストの公表を控えさせていただきます。
ザ・クロマニヨンズ プロフィール

ザ・クロマニヨンズ:2006年7月23日13時41分、『FM802 MEET THE WORLD BEAT 2006』に出現。その後、数々の夏フェスにも出現し、デビュー前から話題を呼んだ。そして、同年9月に待望のシングル「タリホー」でデビュー。22年1月に15枚目のアルバム『SIX KICKS ROCK&ROLL』、23年1月に16枚目のアルバム『MOUNTAIN BANANA』を発表。そして、24年2月に17枚目のアルバム『HEY! WONDER』をリリースし、同年2月16日より『ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024』(全国43公演)を開催。ロックンロールをこよなく愛する4人が最強のロックンロールを響かせる!ザ・クロマニヨンズ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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