『Hello! Project ひなフェス 2022』
アイドルシーンを歌唱力で牽引、Jui
ce=Juiceプレミアムと銘打たれた初日
昼公演をレポート

『Hello! Project ひなフェス 2022』2022.04.02 幕張メッセ国際展示場1・2ホール
4月2日、ハロー!プロジェクトのイベント『Hello! Project ひなフェス 2022』が幕張メッセ国際展示場1・2ホールにて開催された。今年、この春恒例イベントは2日間にわたって行われ、1日目の昼公演は「Juice=Juiceプレミアム」と銘打ち、アイドルシーンにおいてトップクラスの歌唱力を誇るグループをメインに据えた約2時間半のショーとなった。
イベントのスタートは12時半。コロナ禍で思うようにライブができない上に、早い時間からライブをするのはフィジカル的にもボーカル的にも決して簡単なことではないが、8人(有澤一華の新型コロナウイルスへの感染が確認されたため欠席)はいきなりのアッパーチューン「Borderline」でキレのあるボーカルを場内に響かせた。ちなみに、この日は会場に集まった5,000人の観客に加え、BSスカパー!&CSテレ朝チャンネル1での生中継と全国の映画館で実施されたライブビューイングを通じて、多くのファンがこの日の熱演を見守った。
Juice=Juice
MCでは、来月30日の日本武道館公演をもってグループとハロー!プロジェクト卒業が発表されている稲場愛香が各メンバーにコメントを求める。新メンバー入江里咲が「いやぁ~、もう楽しいです!」と新人らしからぬ度胸を見せつけたかと思えば、彼女と同い年でグループ内では先輩にあたる松永里愛は「武者震いっていうんですか?  ウキウキしちゃって」と入江を超えていく。そして、ハロー!プロジェクトを代表する歌姫・段原瑠々は「楽しんでいきたいと思いまーす!」と天真爛漫な笑顔で意気込みを語った。
「TOKYOグライダー」では、8人がメインステージの中央から真っ直ぐ伸びるランウェイを弾むように歩き、細かいフレーズをナチュラルに歌いつないでいきながらセンターステージへ向かった。不思議なのだが、サビでもなんでもないフレーズでも鳥肌が立つぐらい、彼女たちの歌の力はすごい。続く、「KEEP ON 上昇志向!!」ではメンバーがメイン、センター、サブへと散ってのパフォーマンス。距離のあるステージを駆け回っても息が上がることなく涼しげな笑顔で歌いこなす。この曲でJuice=Juiceの出番は一旦終わり。他のグループのステージが続いていく。
Juice=Juice楽曲が再び披露されたのは、ハロプロ研修生、OCHA NORMA、アンジュルムBEYOOOOONDS、この回限定のソロ&シャッフルユニット、モーニング娘。’ 22によるステージが終わったあとのこと。他グループによるカバーコーナーだ。最初に登場したのは7月13日にデビューが決まっているOCHA NORMAの10人。彼女たちが歌ったのは「地団駄ダンス」だ。これはJuice=Juice楽曲の中でも異色な存在で、振りや節回しにコミカルな要素が濃い。これをデビュー前の10人がパフォーマンスするというのはかなりのベストマッチで、キビキビとしたフレッシュな動きが楽曲に新たな魅力を吹き込んでいた。OCHA NORMAは自分たちのステージで披露した「恋のクラウチングスタート」も素晴らしく(ランウェイを全力で走っていく姿に思わず笑ってしまった)、7月13日のデビューが楽しみでならない。
BEYOOOOONDS
続いて登場したのはBEYOOOOONDS。歌うはまさかの「プラスティック・ラブ」。竹内まりやが1984年に発表したシティ・ポップの名曲を現代版にアップデートしたカバー曲だが、BEYOOOOONDSのグループカラーとは真逆の選曲。しかし、だからこそ面白い。いつもは表情豊かにパフォーマンスする彼女たちがシリアスかつ、大人っぽく歌い上げた。特に、当時の楽曲に造詣が深い島倉りかの艶のある歌唱や、西田汐里、山﨑夢羽、高瀬くるみらのフェイクが絶品だった。
アンジュルム
最後にカバーを披露したのはアンジュルムだ。「裸の裸の裸のKISS」をセンターステージでパフォーマンスした10人は、歌はもちろんのこと、フォーメーションの美しさでも楽曲の魅力を引き出していた。この前に立ったステージでは、5月11日発売の新曲「愛すべきべきHuman Life」が特に印象に残った。堂島孝平作詞作曲によるとびきり明るいスカナンバーで、サビ終わりの<And you>の繰り返しが特に楽しく、リリースが待ち遠しい。
3組によるカバーコーナーが終わると、Juice=Juiceの面々が再びステージに姿を現し、ラストまで駆け抜ける。まずは、「GIRLS BE AMBITIOUS! 2022」。これは2015年7月にリリースされた1stアルバム『First Squeeze!』に収録されている自己紹介ソングで、新メンバー加入後などその時々によって歌詞が変わるのだが、2022年バージョンはリーダー植村あかりによる冒頭の<Juiceの未来は私にかかってる>でかなりグッときてしまった。かつては<その前に天然を治したい でもそんな薬あるの?>と歌っていた彼女の力強く頼もしいフレーズは、明るいサウンドに乗っかるからこそなおさら感動が強かった。<掴んでやる 輝く未来 きっとこの手で>――Juice=Juiceにとって激動だった2021年を経て、いま改めて掲げられた高らかな宣言に、彼女たちの明るい未来の一端を見た気がした。その一方、工藤由愛の<タコの足は足じゃなく全部腕なんですよ あれ?……聞いてない?>にはただただ笑った。
MC明けに披露されたのは4月20日にリリースされる3rdアルバム『terzo』に収録される「STAGE~アガッてみな~」。この曲も8人の熱に満ちたパワーチューンだ。<ステージの主役は誰にも譲るつもりはない><どんな明日が来ても私が主役><これからがいいとこ まだプロローグ>とこれでもかというぐらいパワフルな言葉が続く。さらに、間奏では井上玲音が強烈なボイスパーカッションをカマすなど見どころだらけ。この曲は今後のライブでもどんどん存在感を増していくだろう。
笑顔が弾ける「ポップミュージック」を挟んで、「Goal~明日はあっちだよ~」へ。いつ聴いても名曲なのだが、「GIRLS BE AMBITIOUS! 2022」からの流れでいつにも増してエモーショナルに響く。ついステージに釘付けになってしまい、メモをとる手が何度も止まった。エンディングで稲場が聴かせた、カッコよくもキュートなロングトーンにヤラれた。
ラストは「Magic of Love (J=J 2015Ver)」。初期から歌われる彼女たちの代表曲が、稲場が卒業する寂しさ、新メンバーの成長を見る喜び、そして既存メンバーの圧倒的な歌唱力への驚きを改めて呼び起こし、さらなる感動を生む。この曲ではちょっとした変化もあった。これまで2番Bメロ<どうしよう 何処にいるの>のあとに入るコールは<ここだよ、朋子>だったが、この日メンバー全員が<ここだよ、りさち>と叫んだことによって、昨年11月にグループを卒業した金澤朋子から入江へと引き継がれたのだった。そして、変わっていくJuice=Juiceがあれば、変わらないJuice=Juiceもある。それはやはり、彼女たちの歌だ。ラスサビ前からメッセ中に鳴り響いた段原渾身のフェイクがそれを証明していた。
「Magic of Love (J=J 2015Ver)」を8人が歌い終えると、ステージにはこの日の出演者が勢ぞろい。そして、「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」を熱唱するのだった。全員が一列に並んでのパフォーマンスは圧巻のひと言。こうして今年のひなフェスの先陣を切る「Juice=Juiceプレミアム」は幕を閉じたのだった。

取材・文=阿刀”DA”大志

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