英国が誇る名ギタリスト
アルヴィン・リー率いる
テン・イヤーズ・アフターの傑作
『ア・スペース・イン・タイム』
テレビドラマに採用された
テン・イヤーズ・アフターの曲
話を戻すと、本作の翌年には再びエレキ弾きまくりの好盤『ロックンロール・ミュージック・トゥ・ザ・ワールド(原題:Rock & Roll Music to the World)』(‘72)を作り、その勢いのまま2枚組のボリュームで『ライヴ!(原題:Recorded Live)』(‘73)が出る。このあたりがバンドのピークで、テン・イヤーズ・アフターは1974年にいったん活動を停止する。
アルヴィンはその後、ソロに転じ、米国南部のスワンプ・ロッカー、マイロン・ルフェーヴルと組んでレイド・バックしたアルバム『自由への旅路(原題:On The Road To Freedom)』(’73)を出し、新しい方向性を探ったりしている。その作品にはジョージ・ハリスンやロン・ウッドが匿名で参加するなど話題になった。だが、テン・イヤーズ・アフター復活を望む声はあとをたたなかったようだ。90年代に入ると、アルヴィンはTen Years Laterという、かつてのバンドのパロディーみたいな名でのソロプロジェクトをやってみたり、オリジナルメンバーでのテン・イヤーズ・アフターのリユニオンなどやっていた。ご多分にもれず、彼らも70年代に大活躍したバンドやアーティストの“昔の名前で出ています”的な活動をやっていたことになる。こうした再結成後の動画などもたくさんアップされていて見ることができるが、感心するのは、アルヴィン以下、メンバー全員、演奏力に衰えをほとんど感じさせなかったことだ。“あの時代”を生き抜いてきた人たちのいい意味でのしぶとさ、耐久性を改めて思わせられることでもある。
残念なことに、アルヴィンは2013年に病に倒れ、68歳で亡くなっている。彼亡きあとも、テン・イヤーズ・アフターはキーボードのチック・チャーチル、ドラムのリック・リーを軸に、若いギター・プレイヤーを加えて活動を続けているという。ベースのレオ・ライオンズは1974年の解散後はプロデューサーに転身して成功を収めている。
TEXT:片山 明