TENDOUJIが“EASY PUNK”を掲げた遊
び場、リキッドワンマンを目撃した

EASY PUNK PARK on Smoke!! 2022.2.25 LIQUIDROOM ebisu
TENDOUJIの音楽ジャンルって何?」バンドマンなら一度は聞かれるであろう質問に対する彼らなりの解として、新たに掲げられたワード“EASY PUNK”。そしてそのステートメントをタイトルに組み込んだライブシリーズが『EASY PUNK PARK』だ。
最新アルバム『Smoke!!』のリリースを記念して開催された『EASY PUNK PARK on Smoke!!』のうち、2月25日公演の会場はLIQUIDROOM ebisu。TENDOUJIがリキッドルームでワンマンを開催するのは2020年2月、つまりコロナ禍寸前に行われたワンマン以来。歓喜に満ちたあの日の光景を忘れられずにいるファンも多いかと思うが、メンバーたちも同じ気持ちらしく、ライブは「あの日に置いてきたものがちょっとだけあった気がしてたんです。なので、今日はみなさん、アホほど盛り上がってください! よろしく!」というモリタナオヒコ(Vo/Gt)の挨拶から始まった。
モリタ、アサノケンジ(Vo/Gt)、ヨシダタカマサ(Ba)、オオイナオユキ(Dr)とともに銅鑼もオンステージ。となれば、そう、1曲目は「COCO」である。そして「みなさん、あの時のように最後まで自由に楽しんでってください!」とアサノが呼びかけると、助走のイントロを経て「Killing Heads」へ。あの日にも演奏されたライブ定番曲を、あの日よりも格段に逞しくなったサウンドで鳴らすことで、初っ端からバンドの成長を見せつけた。
そもそも“EASY PUNK”というワードには、自分たちの音楽を気軽に自由に楽しんでほしいという想いが込められているとのこと。そこから考えると、メンバーが“あの日のように”と繰り返し言っていたのは、ライブは全然特別なものになんて変わっていないんだ、だから今までと同じ気持ちで楽しめばいいんだ、と伝えるためだったのかもしれない。
新旧織り交ぜたセットリストを展開したこの日は、『Smoke!!』収録曲を全曲披露。ポップパンク的なエッセンスが感じられる「Stupid!!」が最初のブロックで登場し、ライブを勢いづける役割を果たしていたのに対し、次のブロックでは、日本語の歌詞が初めて取り入れられた「HELLO」や「これまで1回しかやったことないからすごく甘い目で見てください」との前置きされた「VITAMIN」が披露されたり、アサノとヨシダが楽器チェンジした「MY SOFT BONES」(『MONSTER』に収録されていたヨシダが初めて制作した曲である)があったり、TENDOUJI TVでハーモニカを吹けるようになりたいという目標を掲げたヨシダによるお披露目タイムがあったりと、新しいアプローチによる初々しい場面が続いた。そして「もう一人活躍してもらいたいやつがいる!」と10曲目には、オオイが作った曲でオオイ自身がボーカルをとる「Blur blur」を披露。遊び心溢れる楽曲はこの日のセットリストの中でもやはり異彩を放っている。
モリタがカッティングとともに力強く歌い始める「SURFPUNK」を皮切りに、疾走感溢れる「BANANA HIGHWAY」に「Feelin’ 」などが重なりクライマックスへ。特に、アサノの鳴らすギターの音が半音ずつ上がっていったあと、そのまま突入した「Peace Bomb」にはフロアも大いに沸騰。観客の上々な反応に焚きつけられる形で、「THE DAY」では4人が魂のこもった演奏を見せた。そんなコミュニケーションを経てのMC。モリタは観客のことを友達や仲間、フレンズと表現するも、どれもしっくりこなかったのか、「ソウルメイトだと思ってます」と言い直す。
そうして本編ラストに演奏されたのは、アルバムでは1曲目に配置されている「Boys」。28歳で会社を辞めバンドを結成した自分たちの境遇と重ねてモリタが「想像したこと、やりたいこと、イメージ、全部は叶わないかもしれないけど、続けていたら叶うこともあるんだなと思います。バンドもそうですね」と語った直前のMCも相まって、ロマンティックなメロディ、サイケデリックな音像が希望に似た余韻を残したのだった。
アンコールでは、「楽しんじゃいけないのかな、幸せを感じちゃいけないのかなと思うこともあったけど、そこは自分で認めてあげようぜって歌を1年経って作りました」と紹介された「I don’ t need another life」を筆頭に4曲を演奏。そして最後には「とにかくいっぱいライブやりますからまた来てください。一番大事なのはやめないことだと思っています。ずっとやめないでバンドやってるので、みんなまた遊びに来てくださいね!」(モリタ)と再会を約束したのだった。“EASY PUNK”の精神とともに、TENDOUJIはいつでもあなたを待っている。

取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=伊藤瑠生

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