L→R 桜井 賢(Vo&Ba)、坂崎幸之助(AG&Par)、高見沢俊彦(EG)

L→R 桜井 賢(Vo&Ba)、坂崎幸之助(AG&Par)、高見沢俊彦(EG)

【THE ALFEE インタビュー】
思いどおりにならなくても
僕らは生きていかなくちゃいけない

“不要不急じゃない音楽を
作ってやるよ!”って思う

そのアルバム『天地創造』収録曲について、いくつか具体的におうかがいしたいと思います。オープニング「天地創造」がハードロック/プログレ、2曲目「Funky Cat」がダンスチューン、そして3曲目が「組曲: 時の方舟」と、アルバム冒頭3曲でサービス過剰と言いますか、頭から相当に濃い内容だと思います。

高見沢
これはあえて濃くしましたよ。普通「天地創造」みたいなものをやるバンドは「Funky Cat」のような曲はやりませんからね。で、「Funky Cat」をやるようなバンドは「組曲: 時の方舟」みたいな曲はやらない。だから、あえてまったく違う3曲並べた次第です。それが僕らの今ですからね。アコースティックギターがあって、エレキギターがあって、ベースがあって、3人が歌えて、コーラスができて…というのが僕らの強味でもありますからね。それを最大限に活かしてるのが、冒頭の3曲だと思います。

景気がいいと言うと何ですが、世間の不安感を払拭するかのような冒頭3曲ですよね。ですが、今の時代、組曲を入れるのって相当に勇気のいることではないかと。

高見沢
僕らにしたら自然のことですよ。今でも組曲はいくつもありますからね。当初は組曲だけのアルバムで、3枚組とも思ったけど、ディレクターに全力で反対されました(笑)。

何でも今のJ-POPはイントロも短く、タイムも3分程度にする傾向があって、そうしないと最後まで聴いてもらえないという話も聞きます。

高見沢
そういう傾向に、あえて逆行しているバンドがあってもいいのではないかと。不要不急って言われたら、“だったら、そうじゃないものを作ろう!”とも思ったしね。イントロにもドラマがあります。そこは今後もこだわって行きたいですね。とにかく。僕らは演奏も自分たちでするから、イントロをなくしちゃったらつまんないじゃないですか(笑)。
坂崎
イントロは歌の一部だよなぁ。
高見沢
そう! ギターの音色もね、やっぱりそこを活かしたいから。そうすると自然とイントロは長くなりますね(笑)。

確かに。あと、「Funky Cat」ですが、THE ALFEEの過去曲には「Funky Dog!」(1990年10月発表のアルバム『ARCADIA』収録曲)というナンバーもあって、この辺はタイトルからしてファンがニヤリとしそうですね。

高見沢
そうですね。アンサーソングではないですが(笑)、「Funky Dog!」があるなら「Funky Cat」があってもいいかなって。

「Funky Dog!」以外にも過去にファンクチューンがあったと伺ってますが、私のようなTHE ALFEE弱者には“THE ALFEE=ファンク”はちょっと意外でした。

高見沢
僕らは3人とも8ビートの人間なんで、16ビートはすごく不得手なんですよ。だからこそ、やるんですよ!(笑)
坂崎
ひねくれ者ですから(笑)。
高見沢
8ビートの人間なんで、逆に面白いんですよ。“8ビートが染み込んでいる人間が16ビートをやるとこうなるんだな”みたいな(笑)。大変ですけど。
坂崎
あとはラップだな(笑)。
高見沢
滑舌がいいうちにやんなきゃダメだな(笑)。
桜井
俺はもう無理(笑)。

(笑)。あと、「組曲: 時の方舟」ですけど、アルバム『THE RENAISSANCE』(1984年7月発表)にも組曲は収録されていて…

高見沢
「GATE OF HEAVEN」ですね。

「組曲: 時の方舟」のタイムはそれを超えましたね。

高見沢
超えました。9分近いです。
坂崎
「DNA Odyssey」(1989年3月発表のアルバム『DNA Communication』収録曲)も長かったよね? 
高見沢
あれも長い!(註:「組曲: 時の方舟」は8分48秒で、「DNA Odyssey」は8分56秒。「DNA Odyssey」が最長) 「組曲: 時の方舟」に関して言えば、組曲はコンサートを意識しているところもあります。僕ら3人ともプログレッシブロックが結構好きで、Yesとか、King Crimsonとか、Pink Floydとか聴いてきましたけど、プログレって自己満足の世界じゃないですか(笑)。 

はい。何となく分かります(苦笑)。

高見沢
聴いている人を置いてけぼりにする傾向にありますよね。そういう反省も含めて、今回の「組曲: 時の方舟」は置いてけぼりにさせないように、展開をどんどん変えていこうと。3人が歌えるからヴォーカルが変わることによってカラーが変わるし、コーラスも出てくるし。あと、サウンド面でもアコギとエレキで静と動を表現したり、リズミックな歌からバラードに変わるとか、そういうところは最大限に活かしましたね。長い曲であるからこそ、決して飽きさせない、聴き応えのある楽曲にしようと心がけましたよ。

「組曲: 時の方舟」はどちらかと言えば、ポップな短い曲が連なっている感じであってマニアックな印象はないです。続きましては、『天地創造』収録曲の歌詞の話を訊きたいと思います。「Funky Cat」「Time Machine 〜恋のS・O・S」、あと既発シングル曲ではありますが「振動α」、この辺の歌詞は実に瑞々しい恋愛観を描かれているじゃないですか。

坂崎
瑞々しいねぇ(笑)。

(笑)。こういう若さ漲る歌詞を書けるのはどうしてなのかと、単純に思ったところです。

坂崎
ムラムラしてるわけです(笑)。
高見沢
違うって(笑)。さっきも言ったように3人のヴォーカリストがいることがTHE ALFEEの強みなので、客観的に見るわけですよ。ずっとやってきましたから、僕の声、坂崎の声、桜井の声それぞれにいいところがあるじゃないですか。「Time Machine 〜恋のS・O・S」の場合は桜井をメインヴォーカルに想定してたんですけど、80年代の歌謡曲やJ-POPを今風に作ってみたら面白いかなって。桜井の声って艶があるから、ああいう楽曲にはぴったりなんですよ。他の人が歌うよりも、桜井が歌うとより曲の良さが出る曲を目指しましたからね。それが「Time Machine 〜恋のS・O・S」です。

確かに「Time Machine 〜恋のS・O・S」は男性アイドルが歌うナンバーのようですよね。

桜井
これは“お前が歌いたいように歌え”と言われて、ただ歌入れしただけなんですけど、曲の雰囲気がすごく自分に合っていることは感じましたね。だから、そんなに考え込まないで歌えました。
坂崎
桜井ならではの歌だよね。

あと、若さ漲るところで言えば、「Funky Cat」のオープニングですよね。《突然彼女にふられた》で始まる歌ってなかなかないと思います(笑)。

高見沢
なかなかないですよね(笑)。でも、そういうのって突然じゃないですか? …突然か、フェードアウトのどっちかしかないけど。

この辺は高見沢さんご自身のかつての恋愛体験を反映させている?

高見沢
自分の体験を歌にしたら2、3曲で終わってしまいますよ(笑)。これは想像の世界ですね。そういう疑似恋愛のイメージを構築しながら作りました。「Funky Cat」は坂崎が歌っていますから坂崎を連想して。
坂崎
突然ふられたんです(笑)。
高見沢
でも、コイツ、こう見えて悪い奴なんですよ(笑)。

(笑)。坂崎さんとしては「Funky Cat」の歌詞の内容についてはどうとらえていらっしゃるんですか?

坂崎
僕は歌う時、内容はあんまり気にならないというか。どっちかと言ったらテクニカルのほうですね。
高見沢
あぁ、そうだよね。音程とか。「Funky Cat」はリズムとか細かいよね。
坂崎
そうそう。だから、歌詞は出来上がったあとで聴いて“突然ふられたんだ!?”みたいな(笑)。僕はあんまり感情移入しなくて…特にレコーディングの時は入らないですね。むしろ、淡々と歌ったほうが自分らしさが出るみたいなので、歌詞は意外とあとで読んで内容を知るというか。「Funky Cat」の場合はリズムですね。
高見沢
リズムの乗りがいい人が歌ったほうがこういう楽曲はいいので。
坂崎
高見沢プロデューサーから注文がきましたよ。“今回のアルバムには16ビートがあるぞ”って。で、“16かぁ…。久保田利伸の曲を聴いておこうか”って(笑)。
高見沢
あははは。あっちは本物で、俺たちは偽物だから(笑)。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着